においで売り上げを上げることへの疑義 | 昭和の鬼平が物申す

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鬼平が平成の世相を斬る

月曜日から木曜日まで毎週放送されているNHKのクローズアップ現代で「広がるにおいビジネス」が紹介された。

消費不況が続く中、従来の視覚や聴覚ではなく、嗅覚に訴えかけるビジネスに注目が高まっている、という内容だった。

この分野に興味を持っているのは、大手航空会社や自動車メーカー、さらに、進学塾やパチンコ店などで、幅広い業種がにおいを活用して、イメージアップや販売促進を狙っている。

こうした「においビジネス」を可能にしたのは、記憶力を高めたり、気分を高揚させる効果があるとされる能性アロマや、10時間以上も香りを長続きさせる最新のにおい噴霧器の開発だ。

パチンコ業界的に興味を惹かれるのは、アメリカ・シカゴのアラン・ハーシュ博士(嗅覚味覚療法研究財団)が15年前にカジノで行った大規模実験だった。カジノでAとBの違う匂いを流した。この2種類の匂いでどれだけ滞留時間に差が生まれるか、という実験だった。

実験の結果、Aという匂いでは、スロット客の滞留時間が長くなり、売り上げが53.4%上がった。ちなみにBという匂いでは18.7%のアップだった。この実験で使われたのが柑橘系の香りだった。居心地がよくなり、気分が高揚して、ついつい長いしたくなり、においによって売り上げがアップされることが実証された。

このアメリカのカジノで使われている柑橘系のにおいを採用している業界として、パチンコ業界最大手が紹介された。

短く編集されたインタビューで副社長は「われわれはエンターテインメントビジネスなので、お客様が入場したときにまず、高揚感を高めていただきたい」と答えている。

これを見た視聴者はどう思うだろうか? パチンコ店はそこまでして、売り上げを上げたいのか、と反感を買ったりしていないだろうか。

ちなみに、弊社のトイレにはパチンコ依存症の注意を呼びかけるポスターを貼っている。