松花堂昭乗研究所 平成27年度 研究報告会 を開催しました | ~松花堂昭乗研究所~

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こんにちは。

松花堂昭乗研究所ですビックリマーク


4月9日(土)、松花堂昭乗研究所の平成27年度研究報告会を開催しました。


例年、研究報告会は年度末の3月に開催していますが、平成27年度は例外的に、年度をまたいで4月の開催となりました。

変則的な日程となりましたが、多数のご参加を頂き、ありがとうございました。


当日は6名による報告が行われました。

当会の報告では、それぞれの持ち時間を30分としています。

報告者は短い時間内に、いかに内容をまとめるか、とても苦心するのですが、それだけに、どの報告も凝縮された内容に仕上がります。


報告(1)は、川畑 薫(松花堂美術館)より、

「松花堂昭乗と百人一首-関大本『三部抄』所収『百人一首』の紹介ー」

と題した報告。


報告では、ほぼ紹介に留まりましたが、昭乗の「百人一首色紙帖」の制作を考える上で、貴重な資料といえるものです。乞ご期待。



報告(2)は、土井 三郎氏(松花堂昭乗研究所研究生)より、

「昭乗と和漢連句の世界」

と題した報告。


『俳諧塵塚』所収の「和漢連句」の紹介です。

その連衆には江月、遠州、そして昭乗などが同座していることが注目され、興行された時期は明記されていませんが、寛永初期である可能性が高いことについて指摘。
昭乗の周囲で楽しまれた和漢連句(聯句)の世界へ誘うものでした。



報告(3)は、奥山 邦彦氏(研究生)より、

「12月13日付『某書状』(泰勝寺蔵)について」

と題した報告。


八幡市内にあります昭乗の菩提寺である泰勝寺様ご所蔵の「たきもと様」宛書状について、差出人および年代について考察するもの。

庶愛親王が南都一乗院にて得度し、尊覚親王となられた時期(元和4年)の書状であること、

差出人は松花堂昭乗、宛先の「たきもと様」は昭乗の師・実乗(当時の瀧本坊住職)であったこと、

をくわしく検討する内容。



報告(4)は、谷村 勉氏(研究生)より、

「中村久越と加賀藩の関わりについて」

と題した報告。


松花堂昭乗の書の門人で、高弟のひとりである中村久越について、未紹介の資料をもとに報告するもの。

これまで知られていなかった八幡と久越のかかわりと、一部では知られていますが加賀藩主・前田利常公に、俸禄を受けていたいたこと(明治まで代々続く)について、未紹介資料をもとに、紹介する内容。





報告(5)は、杉 志努布(当館)より、

「『松花堂会』と明治大正の茶人たち」

と題した報告。


昨秋、松花堂美術館で開催した展覧会「館蔵品展Ⅱ」にて小特集としてクローズアップした「松花堂会」について、改めて報告するもの。

昭和の初期にあって「松花堂会」が、「大師会」、「光悦会」と並び称される茶会であったことは、現在ほとんど知られていません。

松花堂昭乗の名のもと、「近代数寄者」と呼ばれる実業界の人々と八幡地元の人々が、茶の湯文化と八幡を盛り上げたことは、とても意義あることであったといえます。




報告(6)は、並木 晴香(当館)より、

「目録にみる松花堂昭乗作品の利用法」

と題した報告。


現在、松花堂庭園・美術館では「松花堂昭乗データベース」を公開しています。


その中に、一般公開に至っていない準備中の項目があります。

それが「売立目録」という項目です。

馴染みのない言葉ですが、明治以降に開催された美術品の入札会の作品目録を指します。

作品のカタログとはいえ、「単なる作品カタログ」と片づけてしまってはもったいない。

作品研究の上ではとても価値のある情報となります。

当館で現在進めいている情報収集の現状と課題、そしてその利用法を紹介するもの。




合計6人が報告するという松花堂昭乗研究所初めての挑戦でしたが、皆さんのご協力のおかげで無事に終了いたしました。


ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

そして報告者のみなさん、おつかれさまでした。

また来年もお願いいたしますニコニコ