114127分配信 医療介護CBニュース


 国内で流行した場合、最悪で約64万人が死亡すると予測されている新型インフルエンザに関連して、世界保健機構(WHO)がこのほど発表した「感染確定症例数」(17日現在)によると、200311-091月までに15か国で確認された「ヒトの高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)」の確定症例数は393件、死亡例数は248件だった。


 最も多かったのは、インドネシア(確定症例139件、死亡例113)で、次いでベトナム(107件、同52)、エジプト(51件、同23)、中国(31件、同21)、タイ(25件、同17)―などの順。

 確定症例数の約9割が、これら5か国で発生していることについて、WHOの報告書は「最も重要で、かつまだ答えの分からない疑問は、なぜ、03年より動物の間では60か国で集団発生が起こっているにもかかわらず、ヒト症例の90%(0311-085月までに報告された症例中)5か国のみから報告されているのかという点である」としている。
 その上で、「今後さらに調査する必要がある」としながらも、「小集積事例における症例のうち90%以上の症例が血縁の家族内に発生している事実が、この疑問の答えの一部を示しているのかもしれない」と指摘している。

 近年、鳥インフルエンザ(H5N1)が変異し、新型インフルエンザが発生する可能性が危惧されている。国立感染症研究所感染症情報センターによると、新型インフルエンザとは、人類のほとんどが免疫を持っていないために容易に人から人へ感染し、世界的な大流行(パンデミック)が引き起こされ、これにより大きな健康被害とこれに伴う社会的影響が懸念されるもの。
 同センターでは、「新型インフルエンザ発生時には、感染の広がりを抑え、被害をできる限り小さくするために、国や自治体における対策はもちろんのこと、一人ひとりが必要な準備を進め、実際に発生した際は適切に対応していくことが大切」と注意を呼び掛けている。