103、新型インフル:感染拡大抑制などに重点 侵入阻止は不可能


                              2008年12月04日 14:35


                      毎日新聞 2008年11月28日
 
 政府は28日、新型インフルエンザに対する国の対策の基本になる行動計画を全面改定した。従来の計画より「ウイルスの国内侵入を防ぐのはほぼ不可能」との前提で(1)感染拡大を抑制して健康被害を最小限にとどめる(2)社会・経済を破たんに至らせない--と目的を明確化した。一般から意見聴取したうえで、年明けに正式決定する。
 また厚生労働省の専門家会議などが策定した指針を格上げして10分野のガイドラインを新たにまとめた。内閣府は「これで対策の一応の全体像が示せた」としている。
 05年12月に策定された行動計画は、世界保健機関(WHO)が宣言する世界的な流行段階(フェーズ)で対策を分類していたが、新たに国内の状況に応じた5段階に整理し直した。従前の大きな対策の一つだった「封じ込め」は、地域の完全封鎖が困難なため「まん延防止」に改めた。
 対策は各段階で▽ワクチン▽医療▽社会・経済機能の維持、など9項目にわたる。医療では、国内発生早期には感染者全員を入院させる一方、感染拡大期には病床確保のため重症者以外は在宅療養に切り替える体制を明記。鳥インフルエンザウイルスから作ったプレパンデミック(大流行前)ワクチンを効果次第で未発生期から接種することや、タミフルなどの治療薬の備蓄量を人口の45%分に引き上げる方針も示した。
 被害想定は変更せず、人口の25%が感染して致死率が中程度(0.53%)の場合、最大64万人が死亡、1日の入院患者は発生5週目に10万1000人に達し、社会人の4割が欠勤すると見込んだ。【清水健二】