12月5日 米国発 金融危機関連情報 (77)
―――民主主義社会改め企業主義社会―――
報道
1、米主要企業11月18万人削減 12月4日 日報
2、 製造業 非正規社員、主要38社2万1000人削減 日経
3、日本IBMが社員1000人規模の削減か、労組が抗議 読売新聞
4、社説:雇用不安拡大 非正規から対策を急げ 中日新聞
12月4日の新潟日報によると、米国に主要企業は11月のみで18万人の社員の削減をしている。一方報道2の通り日本の主要企業38社で2万1000人の非正規社員の削減をしている。改めて非正規社員が企業の安全弁の位置にいることを証明している。問題は非正規社員の勤労者が38%にも達していることである。このような流れを作った政治の責任は大きい。民が中心の社会でなく、企業が中心の社会になっている。この後遺症がどのような形になって社会に表れていくか。
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1、米主要企業11月18万人削減 新潟日報
2、製造業の雇用調整加速 非正規社員、主要38社2万1000人削減
2008年12月5日 日経
製造業の雇用調整が機械、電機など自動車以外の業種に広がり始めた。コマツは来年3月末までに小山工場(栃木県小山市)の期間社員約400人を削減。国内全工場で12月から操業日を月間2―4日減らす。東芝や富士通は半導体部門の非正規社員を削減する。日本経済新聞社が4日までに集計した主要製造業38社の派遣・期間社員の削減数は約2万1000人に達した。非正規社員を中心にした雇用調整が急速に進んでいる。
コマツは建設機械用エンジンなどを生産する小山工場で、約400人の期間社員全員を削減する。同社は国内10工場で約2000人の期間社員を抱えるが、他工場でも順次期間社員を減らし、削減規模は500―1000人規模になる見込み。 (07:00)
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3、日本IBMが社員1000人規模の削減か、労組が抗議
2008年12月4日03時12分 読売新聞
日本IBM(本社・東京都港区)が、業績悪化の影響で大規模な正社員削減を進めているとして、同社の労働組合「全日本金属情報機器労働組合日本アイビーエム支部」が3日、都内で記者会見し、同社に抗議していることを明らかにした。
同社の正社員は約1万6000人だが、同労組は、入手した同社の内部資料をもとに「正社員削減は1000人規模で、最終的には3000人に上る可能性もある」としている。
正社員削減は10月から始まったといい、同労組によると、退職に応じない社員に何度も上司による面接が繰り返され、「48時間以内に退職を表明しないと解雇する」と言われたケースや、上司が男性社員の妻に「ご主人を辞めさせてください」と電話してきたケースなどがあったとしている。
同労組には、これまでに70~80件の相談が寄せられているという。同労組は正社員削減の理由を、今年7~9月期の利益が前年比マイナスになったためと推察している。
正社員削減について、同社の広報担当者は「社員に対し、社外への転出も含めた人事プログラムを実施中だが、詳細は言えない」と話している。また、「退職を勧奨したり、強要したりはしていない」としている。
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4、社説:雇用不安拡大 非正規から対策を急げ
2008年12月2日 中日新聞
景気後退の大津波が雇用者を直撃している。とくに弱者と呼ばれる非正規労働者は来春までに三万人以上が失業すると予想されている。政府も緊急対策に乗り出す方針だがスピードが重要だ。
麻生太郎首相は一日、正規・非正規社員の区分を廃止した東京の生活雑貨店を視察した。また午後は御手洗冨士夫日本経団連会長ら経済界代表を官邸に呼び、来春闘での賃上げと今後の雇用確保を要請した。
賃上げ要請は今年三月、当時の福田康夫首相が行った光景とダブる。効果は不透明だが、政府が景気対策の一環として賃上げと雇用を取り上げるのは当然である。
世界的な金融危機で日本経済もほぼ確実に不況に陥った。とくに地域経済で圧倒的な存在である自動車や電機などの不振は深刻だ。それが雇用を悪化させている。
厚生労働省によると十月から来年三月末までの間に派遣労働者約二万人を筆頭に期間工や請負など非正規労働者が三万人以上も職を失うという。雇用の調整弁としての“使い捨て”が現実化した。
非正規労働者の存在はすでに巨大である。総務省の労働力調査では雇用者の33・5%、厚労省の就業形態調査では37・8%に達している。今後、失業者が増えれば社会不安は一気に高まるだろう。
雇用保険の失業給付受給者は九月に約六十万六千人と一年四カ月ぶりに増加に転じた。有効求人倍率は約四年ぶりの低水準に落ち込み、完全失業率は来年以降4%台半ばまで高まると予想される。
政府は現在、新たな雇用対策を検討中だ。与党のプロジェクトチームでは雇用保険の適用範囲の拡大や就職支援、職業訓練の強化などを検討している。また失業と同時に住宅退去のケースもあるため住宅支援も取り上げる方向だ。
さらに雇用調整助成金制度を拡充して内定取り消しを防ぐ措置や「ふるさと雇用再生特別交付金」の増額なども検討している。
雇用対策を充実させることは結構だが重要なことは経済対策と同様、実施するタイミングである。
十月末に発表した追加経済対策では二十五-三十四歳の年長フリーター約九十二万人への支援対策を盛り込んだ。企業と個人が負担する雇用保険料も引き下げる。
だが本年度第二次補正予算案の国会提出は来年一月である。経済対策は主要国が行っているようにスピードが鍵だ。緊急雇用対策こそ、実行を急がねばならない。