私には娘たちとの葛藤を抜けた後、母親への葛藤がやって来ました。
母に苛立ちを感じ出し、私の心は母を受け止めれなくなっていきました。

(→こちらの記事①母への葛藤)

 

 

葛藤を感じながら実家に帰省したある日の午後、

私は体調不良で最低限の家事をこなすのがやっとでした。

母にイライラしながら家事をこなし2階で横になっていた時、

1階にいるはずの母から電話です。


「えっ、お母さん。どこにいるの?体調は?」


母は見た目はとても元気ですが、難病の持病を抱え、

痛みから寝込む日もありました。


「今、薬局におるんよ。

薬剤師さんに、この電話であんたの体調を説明して。

私がお薬買って帰るき。」
「お母さんも、あんまり体調良くないのに、何をしゆうが!

いらんことして。

また、悪くなるよ!」
「まあ、そう言わんと。薬を買って帰るきね。

お母さんは大丈夫よ。

で、あんた、具合はどう?」

 

 

電話を切った後、私は、はっとして、娘の言葉を思い出しました。

 


「お母さんはね、受け取り下手。

人の愛や優しさは『ありがとう』でいいんよ。

受け取ろうね。
受け取るのが相手への思いやり、お返しなんよ。

間違わないようにね。
素直になろうね。」

 

 

あっ、私は母を心配をしているつもりで、母の気持ちを無視していた。
母の気持ちを受け取っていない。「ありがとう」も言っていない。


私は、「いい娘」として何をすべきか、で頭の中がいっぱいになり、

それがしんどくなり重たくなっている。
「私が両親の面倒をみるんや。私がしっかりするんや。恩返しをするんや。

娘の私が、私が、私が、、、」

 


苛立って、怒ってばっかりだ。
心配という名の自分の気持ちを一方的に押しつけている。

 


やっと、大切な事に気がついたように思いました。

 

 

薬を持って帰ってきた母に素直に「ありがとう」が言えました。
そして、姉の代わりになろうと頑張り過ぎて、

「私が面倒を見る人、母は看られる人。」
と勝手に決めて、思い込んでいた事に気がつきました。

私はずっと母の親みたいな気持ちで上から目線で接していた事に気がつきました。

 


私はその日、甲斐甲斐しく世話をする母に甘えて、薬を飲んでぐっすりと寝ました。
久しぶりに母の娘に戻ることが出来、頑張らなくちゃ、

と力んでいた私の心は柔らかく温かくなりました。

 


母の優しく私を心配する声が心に響いてきました。
なんだか、心はほっと安心していました。

 


「いい娘」から離れ、ただの娘に戻ったのは本当に久しぶりでした。

「そうだ、私はお母さんの娘なんだ。ただ娘でいいんだ。」

 

 

家族みんなでゴロゴロしてテレビを見ていた小さい頃の風景。
熱が出るとおぶって寝かせつけてくれた母の背中。
母とお揃いの服を着た姉と私の自慢げな顔。
家族みんなで食べた手作りクリスマスケーキの味。
母が作るおやつを姉と2人で頬張る午後のテーブル。

 

 

幼い頃はわがままを言って甘えて。

そんな時間がいっぱいでした。

母は、母のやり方で、全力で愛情を注いでくれました。
母や家族で過ごした優しい温かい時間が私の心に染みこんで来ました。


両親が歳を取ってからは忘れていた気持ちでした。
姉が亡くなってからは、頑張り過ぎて、すっかり娘である事を忘れていました。
本当に久しぶりの気持ちでした。

 

 

私は憑きものが落ちるように、苛立ちが薄くなっていきました。
母も娘が何となく優しくなり、頼ってくれるようになり嬉しそうです。

 

 

両親も高齢になり、

出来ない事も増えて娘の役割も若い頃とは異なってきましたが、

娘という事は変わりありません。

私は母の娘であり、親ではありませんでした。

 


母への葛藤はまだ途中経過ですが、

それは、私自身の問題となりました。

母は、母自身の問題を抱えて残りの人生を懸命に生きているんだ。と思えるようになり、

また、少しづつ、私に優しい気持ちが戻ってきました。

 

 

頑張り過ぎる私に娘からの忠告がありました。

 


「お母さんはおじいちゃんとおばあちゃんの問題を全て抱え込み過ぎだよ。
それはね、お母さんの考え違いだよ。

要らないお節介。
2人はね、最後のラブストーリーの最中。

どんなストーリーにするかは、2人が決める事でお母さんが決める事ではないよ。

邪魔をしてはいけないよ。
お母さんは娘。役割が違うよ。」

 


本当にびっくりしましたが、私は母と共依存の関係になっていたと目が覚めました。

 


母の心の問題を解決するのは母で、私ではないんだ。
母娘といえども、別々の人生。

尊重はしても、コントロールするものではないと。

 

 

母にも、その話しを伝えました。
それから、母は「お父さんを何とかして。」と訴えて来ることが少なくなりました。

母なりに父への考え方や母自身を変化させているように思えます。

 

 

来月も帰省します。

お洒落なすだれを一緒に探す約束になっています。

 


私は娘としての時間を取り戻し、優しく温かい心を感じる事が出来たことがとても嬉しく、

新しい気づきでした。


まだまだ、両親との関係は途中経過で、これから山あり谷ありと思いますが、

その都度、気づいていくんだと思います。
「ありがとう」と「私は娘」を忘れないようにしていきます。


娘たちや両親に感謝しています。


ありがとう。本当にありがとう。

 

 

 

 


今日も読んで頂きありがとうございます。


あなたの心が平和でありますように。


あなたが幸せでありますように。

 

 

 

 

「俺、かん太。宜しく!!」
「父ちゃんの遊び」

 

父ちゃんが俺を立て膝に乗せたゾ。
オイ、男同士、顔を眺めてどうするんだよ~?
父ちゃんはたまに不可解な事をするゾ。
父ちゃん、オイ、オイ、手離すなよ~。こえ~ヨ。
父ちゃん、両手を振って何してんだよ!
揺らすなよ、こえ~ヨ!落ちるゾ。俺を押さえろよ。
「お~、かん太。お前も手を振って、楽しいか?」
ちげ~ヨ。こえ~から、バランス取ってんだよ~。
「お父さん、この前見た、動物テレビでしょ?」
「でもね~、あれ、猫よ。」
「お父さん、かん太くん、怖がっていない?」
母ちゃん、助けてくれ~。こえ~んだよ。
「バカ言うな~。かん太は喜んでいるゾ。ほら見ろ。」
「せっかく、かん太と遊んでいるのに、母さんはあっち!」
「かん太、もう1回やるか?」

父ちゃん、マジで、こえ~んだよ!
このバカ親父!俺のこの顔を見ろよ!


「かん太、そうか。もう1回か。」