ご無沙汰しております。
気がつけば、2月も半分過ぎていまして「あれ、この間ブログの更新していなかった!!」と自分でも驚いております。
体調は「普通に悪い-2」くらいで、まあ辛かったこともありますが
薬局のレセコン(レセプトコンピューター)の新機種の入れ替えがありまして、これが結構大変な作業です。
直接はタッチしないようにしていてもやはり疲れて、自分の脳が‘新しいことを受け付けられなくなっている‘事を実感いたしました。
や・やばい・・・、本気で脳の血管が枯れ始めているかも・・・
さらに下の娘の「花の女子大生」になるための‘受験→合格発表‘がありましたので、
心も体も、余裕がなく苦しんでおりました
![涙](https://emoji.ameba.jp/img/user/so/soukou/12762.gif)
まあ娘は念願の「花の女子大生」になることが決まりましたので、ホッと一息ついております。
そんな中、薬局で「ヤーズ錠に関する勉強会」がありました。
私の勤めている薬局は、婦人科クリニックからの処方箋を多く受けています。
子宮内膜症治療薬である低用量ピル、ヤーズ錠・ルナベル錠に関しては、取扱量が県内でも5本の指に入るくらいです。
昨年末にヤーズ錠服用中の患者さんが死亡されたことは知っておりました。
暫くして新聞報道が出まして、服用中の患者さんがずいぶん心配されるようになりました。
ー朝日新聞デジタル版より抜粋ーーーーーーーーーーー
『ピルの副作用、血栓に注意を 5年で11人死亡例2013年12月17日』
【阿部彰芳】生理痛の治療や避妊でピルをのんだ後に、血の固まりができる副作用によって、この5年間で11人死亡し、重症例が361件報告されていることがわかった。日本産科婦人科学会(日産婦)は緊急に注意を呼びかけたほか、厚生労働省研究班も実態調査に乗り出した。
医薬品の安全を管理する独立行政法人の集計などによると、2008年~13年上半期に、低用量ピル11品目で、血の固まりが血管をふさぐ血栓の重症例が延べ361件、副作用として報告されていた。死亡は11件で10代1人、20代2人、30代4人、40代1人、50代2人、不明1人だった。
血栓は血の流れが遅い静脈にできやすく、ピルを使わなくても10万人あたり年5人の頻度で起きる。ピルはこのリスクを3~5倍引き上げる。ピルに含まれる女性ホルモンが血液を固める成分の合成を促すためだ。副作用の報告はピルとの因果関係が不明の例も含むが、08年の33件から12年の105件に増え続けていた。
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私個人的には、こういう類の報道は「信用性が低い」といつも感じています。
確かに昨年、ヤーズ錠を服用中の患者さんが死亡されたことは事実です。
余り知られていないと思いますが、各薬局・医院には「緊急な事態」はFAXにて連絡されるシステムになっていますし、
その薬を取り扱っている医院・薬局には、製薬会社の担当者が資料を持って説明にきます。
意外と報道される内容は「その症例のある一面だけ」を大きく取り扱っており、
正しい医学的根拠のある報道ではないことが多いのです。(いや、ほとんど無いと言ってよいと思いまあす)
ですので、本日は
①死亡にいたるような重篤な副作用が起こった場合、製薬会社・医療者はどのような動きをするのか
②、私自身も苦しんだ「月経困難症」の治療薬についての正しい見解
についての紹介をしたいと思います。
「ピルの副作用について」製薬会社(バイエル社)の方より、説明がありました。
今回ヤーズ錠は「ブルーレター」を出しました。
・・・ふふっ、面白い名前ですよね。「スカーレットレター」を連想しちゃうのは、私だけなかぁ・・・
医薬品の緊急安全性情報には、2種類あります。
<イエローレター>と<ブルーレター>です。
★イエローレターで対応するのは「緊急かつ重大な注意喚起や使用制限が必要な状況」
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140216/15/syokunin-zaki/fb/99/j/t02200305_0309042912848348443.jpg?caw=800)
参考資料
★ブルーレターは「一般的な使用上の注意の改訂情報よりも、迅速な注意喚起や適正使用のための対応の注意喚起が必要な状況」
→つまり、注意を徹底し、正しく使えば制限をかける必要がなければ、ブルーレターになるという考え方です。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140216/15/syokunin-zaki/d9/55/j/t02200310_0596084012848348444.jpg?caw=800)
参考資料
★ いすれの場合も、メーカーは、対象製品が納入されている医療機関や薬局へ、1カ月以内に情報が到着していることを確認しなければならない
以上★は厚生労働省 緊急安全性情報作成基準
ですから、ヤーズ錠は「定期的に血液検査をする必要性はないが、経過観察に気を付けておかないといけない」お薬です。
では「定期的に血液検査が必要な薬」とはどんなものでしょうか?
例をあげてみます。
このお薬も死亡例が出たお薬です。肝臓に負担がかかりやすいタイプですので、かなり注意が必要です。
・・・ラミシール®錠125mg「塗り薬では治療が困難な爪白癬(爪の水虫)の治療薬」の場合…
ラミシール錠®の添付文書に記載のとおり、重篤な肝障害及び血液障害により死亡に
至った例も報告されています。
ラミシール錠®のご処方に際しては投与前に肝機能検査及び血液検査を行い、
投与中は随伴症状に注意し定期的に肝機能検査(投与開始後2ヶ月間は月1回)及び血液検査 を行うなど十分に患者様の状態を観察していただきますようお願い致します。
具体的な検査項目は以下の通りです。
<肝機能検査・血液検査項目>
・肝機能検査:AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTP、LDH、総ビリルビン
・血液検査:赤血球数、血小板数、白血球数(必要に応じて白血球分画)
と、具体的に検査項目の書かれた文書が送られ、取り扱いがある医院・薬局には製薬会社の担当者が訪問したりしてくれます。
しかし、ヤーズ錠の場合は
「必ずしも、血液検を定期的にしなくても良い」薬ですが「重篤な副作用が出ることがあるので、注意して患者さんを診てください」
というお知らせをしますよ、という製薬会社が自ら出した注意喚起です。
低用量ピルが「子宮内膜症に伴う月経困難症」で保険適応になったのは、ルナベル錠が初めてで2008年6月でした。2010年12月からは適応が「機能性月経困難症」になりました。
その後2010年9月に、ヤーズ錠が「月経困難症」治療薬として発売。
これは、ザックリ言ってしまえば、以下の目的で発売されました。
・従来の低用量ピルの副作用での頭痛・吐き気等の不快感の軽減。
・休薬期間が4日。28錠シートの最後の4錠が‘偽薬(フラセボ)‘になっているため、飲み忘れ防止効果の期待。
そもそも低用量ピル(OC)とは 卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤で両ホルモンの働きで排卵を抑制し避妊効果を発揮します。
排卵が抑えられる → 子宮内膜の増殖も抑えられる → 生理痛や出血が軽くなる
という仕組みです。
低用量ピルは卵胞ホルモンの量を 50 μg 未満に抑えたものをいい、50 μg のものを中用量ピル、50 μg より多いものを高用量ピルといいます。
卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール、略して‘EE‘)の量が基準です。
低用量ピルには、いろいろな種類の薬がありますが、違いは黄体ホルモンの種類で決まります。
ホルモン剤を服用すると、結構な高頻度で「吐き気・倦怠感」が出て寝込む方がいらっしゃいます。
副作用の個人差の大きい薬としてホルモン剤は、私の中の5本の指に入るお薬です。
では、比較してみます。
ルナベル配合LD錠 :EE 0.035mg/錠 ノルエチステロン 1㎎/錠
ヤーズ配合錠 :EE 0.020mg/錠 ドロスピレノン 3 mg/錠
ルナベル配合ULD錠 :EE 0.020mg/錠 ノルエチステロン 1㎎/錠
何がどう違うか、一言では言えないモノがありますね~。
ですから、「ヤーズ錠だけが副作用の強い薬」ではないことをご理解いただけたでしょう。
では、低用量ピルでの<重篤な副作用=静脈血栓塞栓症(VTE)>の原因はと云うと
OC使用によってVTEリスクは3~5倍増加するが、エチニルエストラジオール(EE)の用量との関連は不明である
~低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(第2版) より
もっと情報の欲しい方は ♥♥ 低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ ♥♥ をご覧ください。
結論から言いますと、どのような名前の低用量ピルでも次の「A・C・H・E・S」に心当たりがあれば
「即中止して、検査をする」事が大切です。
A:abdominal pain
<激しい腹痛>
C:chest pain
<激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み>
H:headache
<激しい頭痛>
E:eye / speech problems
<見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害>
S:severe leg pain
<ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている>
不幸にもこの副作用でお亡くなりになった方の中は、薬の副作用とは考えすに「整形外科」「脳神経外科」を受診していたこともわかっております。
しかしこのような副作用が出る確率は「とても低い」と言って間違いありません。
それよりも、有用性の方がはるかに出ています。
※OC服用よる、避妊以外の効用発生頻度が減少したと報告されている疾患
✿月経困難症 ✿良性卵巣腫瘍
✿過多月経 ✿子 宮 体 癌
✿子宮内膜症 ✿卵 巣 癌
✿貧 血 ✿大 腸 癌
✿良性乳房疾患 ✿骨 粗 鬆 症
✿子宮外妊娠 ✿尋常性ざ瘡(にきび)
✿機能性卵巣嚢胞 ✿関節リウマチ
~低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(第2版) より
20年以上前、生理痛で悩んでいた私は婦人科で「子宮内膜症」と言われましたが、当時はピルの有用性なんて事は言われておりませんでしたので
「はい、痛み止め飲んで我慢してね」でした。
当事人以外、この苦痛を理解してくれる人はおりません。
しかし、毎月毎月いらっしゃる「大切なお客様」は、本人の身体だけでなく精神的にも悪いものです。
それどころか影響は「ママのヒステリー」となり、家庭にも波紋を及ぼしている事が多々あります。
(…かなり思い当たる我が家…今は娘のヒスですけど)
この悪循環がお薬によって改善され、家庭の平和が訪れるなら「素晴らしいお薬」ではないでしょうか?
服用中の患者さんが「家族から止められた」とおっしゃるケースもよく耳にします。
また、服用開始してからの数ヵ月は不正出血や吐き気・頭痛が起りやすく「驚いて止める」方もいらっしゃいます。
不正出血の回数は、服用を続けていけば治っていくものですし、
むかむか感・頭痛が取れない方は、別なお薬に変えて様子を見れば「合うお薬」が見つかると思います。
保険適応でなくとも、婦人科に行けば処方してもらえます。
お薬の値段はあまり変わりません(自費薬なので、医院・薬局によって少し差はあります)
なにか思いつくまま書いてしまいましたが、ご理解いただけたでしょうか?
最後に 公益社団法人 日本産科婦人科学会が平成25年12月27日付けで出したお知らせの最後の部分を引用して終わりたいと思います。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
~低用量ピルの副作用について心配しておられる女性へ~
低用量ピルおよびその類似薬剤の有益性は大きく、女性のQOL向上に極めて効果的であります。
しかし、一方で静脈血栓症という有害事象もあります。
低用量ピル内服中の静脈血栓症の発症頻度は低いものの、
一旦発症すると重篤化するケースもありますので、服用中に上記の症候がみられた場合は、
ただちに服用を中止し、処方元の医療機関を受診してください。
早期の診断、治療により重症化を防ぐことができます。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
今回は、新生血管シリーズをお休みさせていただきました m(_ _ )m
早く冬眠から目覚めて、続けていきますのでよろしくお願いいたします。
byざき
^^^^^^^^^^^^ ここからは‘おまけ‘です ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
冬眠しながらも、手はうずうずしているので「何かつくりたいな~」と思い立ち
六角形でドーム型が頭に浮かびました。
チマチマ設計しながら作っていたら、いつの間にか完成しました
![音譜](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/038.gif)
お披露目させていただきま~す。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140219/01/syokunin-zaki/ed/f7/j/t02200211_0422040512851004184.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20140219/01/syokunin-zaki/15/23/j/t02200164_0540040212851004185.jpg?caw=800)
かなりの自己満足に浸りましたが、とある可愛い小学4年生の女の子に
「これ、何を入れるモノ?」と聞かれて、内心トッキリしました。
…それは考えていなかった…
慌てて「あっ、何入れてもいいよ」と笑ってごまかしましたが、
実用性のなさに気が付いた貴重な作品となりました。
たまには良いですね。
本当に「お飾り」ですけど、楽しかったです