卵巣がんの化学療法~知られていないCBC外来通院の苦労話~ | 卵巣がんになった`zaki‘の空間遊泳

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2006年秋「悪性卵巣腫瘍の疑い」と告げられ、治療→再発転移を幾度も繰り返す。
◆受けた治療:手術4回・化学療法5ライン・放射線1回・がんカテーテル治療15回
◆現在: リムパーザ錠服用中
♫ 卵巣がんと長~くお付き合いしている、現役患者です。


ふつう「化学療法」と聞けば、『辛い・気持ち悪い・脱毛・しびれ・・・』と、身体に関する大変さを思い浮かべるでしょう。


でも、実はそれだけではない苦労があるのです。


「通院しての血液検査」が頻繁にあります。



 タキソールもパラプラチンも、どちらの薬にも‘骨髄抑制‘という重篤な副作用があります。



 この重篤な副作用とは、簡単に言ってしまえば「うっかりすると、死んでしまうことがありますよ」という恐ろしいものです。



 一番問題になるのは白血球数。


 通常の方のは、4000~9000と言われています。



 2000を切ると「危険」とされるので、血液検査を行ってどの程度下がっているかを見なければなりません。



 私が通っている大学病院には、火曜日と金曜日の午前中に『CBC外来』という特別枠があります。


 化学療法を受けて、3日ほどの地獄のような世界からやっと抜け出せて‘ほっ~‘とした頃から、この科に足しげく通わなくてはなりません。


 一般的には、治療後1週間後から通院検査が行われ、2週間ほど週2回様子を見ます。


 そして「はい、OKですよ」と言われて、やっと1週間ほど上向きの体調になり、食欲もなんとなく出てきた頃に、次の回の治療が始まります。


 ですから、私は4クールでしたが、その間の通院日数は50日は超えていました。



 何をそんなに検査するかというと・・・・

 
 CBCとは、血液検査の中の「血算」を指す言葉です。


 白血球(WBC)、赤血球(RBC)、ヘモグロビン(Hb)、血小板(Plt)を測定するのです。


 今日は真面目に、これらの説明をさせていただきます。


 ★まず、白血球(WBC)  →  炎症などの指標です。

 白血球には5種類あり、体の中でそれぞれの働きをして、さまざまな疾患で増減や異常を起こします。

  

 ・好中球 (白血球のうちもっとも多く、全白血球の60~70%を占めてます)

  この好中球が減少すると、病原体と戦う身体の抵抗力が低下して細菌やウイルスが繁殖しやすくなり、感染症が発症します。

 ・リンパ球
 ・単球
 ・好酸球
 ・好塩基球



 ★次に、赤血球(RBC)と、ヘモグロビン(Hb)  →    貧血の指標にします。


  赤血球成分の中心はヘモグロビンです。このヘモグロビンは、ヘムという色素がグロビンという球状の蛋白質と結合したものです。
 

  ヘモグロビンが赤血球中で不足した状態が貧血といいます。


  赤血球数の正常値は、成人男性で約500万個/μl、成人女性では約450万個/μlです。


  赤血球は骨髄で造られ、寿命は約120日くらいです。1日あたりだと約4~5万個くらいが新しく作られています。


  これが、薬の副作用で骨髄抑制を受けるため、下がってしまうのです。(白血球も同じです)


‘たかが貧血‘と思いがちでしょうが、この減少は個人差が大きいので危険な場合には輸血も必要になるんですよ。



 ★血小板(Plt)  → 止血の指標となります。


   血管が破れると、そこに血小板が集まって固まることによって 止血します。

  私事ですが、実はこのPlt値が「0」になった事があるんです…

  当然その時の白血球数は「*」=測定不能=ほとんど無し、という恐ろしいものでした。

 ある時の入院中、Dr.に「血小板値が低いので、今回は治療が受けられません」と言われた一人のおばさんが おりました。

 この方、最後の回だったらしく早く終わりにしたかったのでしょう。


「どうして!! いいでしょ、白血球が2000以上あるのに。せっかく来たんだから、注射受けていくわよ!!」

 と、大声でDr.に食って掛かっていました。


 …いえいえ、危ないですよ。もし、内出血したらどうします。止まらないんですよ~…・と、心の中でおばさんを止めていました。

 万が一、脳の血管がプチッと切れたら…。帰らぬ人になっちゃいますよ、って。


私は、この骨髄抑制が強く出る体質です。

大抵5日目には、下がっています。

下がると、無理やり白血球を上げる注射を打ちます。

ノイトロジン注とか、グラン注という名前のお薬です。

効能又は効果は「 造血幹細胞の末梢血中への動員」と書いてあります。

簡単にいえば「骨髄中で好中球(白血球)のもとになる細胞(前駆細胞)の増殖を促し、好中球が増えるのを助ける薬」です。

その細胞は、骨の中の骨髄にいますので、骨に痛みを感じる場合があります。

…私は再再発の治療の時から、この痛みを感じるようになりました。結構痛いです…


普通は連続3日打てば、何とか好中球は安全圏内に入ります。

でも私の「*」が出た時には、5日連続して注射したのに、次の週には下がってしまい大変な思いをしました。

この時は、タキソール → タキソテール に変えた時でした。

タキソテールの方が、骨髄抑制が強く出るのです。その分、痺れは軽減しました。

なので、肝臓転移(1回目の再発時)の時は2クール目から80%に減量して、DC療法をしました。


昨年3回目の再発をした後に「化学治療は、今度また再発した時にしてもいいですか?」

とお願いしたのも、この通院で疲れ果ててしまった経験があるからです。


でも、歳のせいでしょうか?

化学療法していないのに、身体は全然回復しません。


若い時とは、やっぱり違いますね。


でも、良いんです。

しぶとく、しぶとく生きていくコツは掴みましたので。へへっ。


今日も有難うございました。