先日,自車運転中に進入禁止区域への侵入により交通違反で検挙され,警察官に車内を点検された際に大麻が発見され,御用となった被告人の話をブログでとりあげた。


同被告人は,友人とともにその日,車内で大麻をアルミホイルで巻いたパイプを回し飲みする方法で吸引していたことなどから,友人との大麻共同所持で起訴された。

被告人は,共同所持を否認して,大麻は自分だけで所持していたものだったと争った。



実は,大麻を使用すること自体,罰する規定はないのだ(誤解がないように注記しておくと,厳密にいうと,大麻の所持が許されている「大麻取扱者」,つまり,都道府県知事の免許を受けて,大麻を研究する目的で大麻草の栽培などをする者がその目的以外の用途に所持していると罰せられるおそれはある。)。


大麻の拡散を防ぐために所持のみを禁止している。

これに対して,覚せい剤は所持もその使用も禁止されている。

大麻取締法で処罰するためには,所持の意思,事実を証明しなければならない。


つまり,大麻を持っている人間に誘われて,たまたま一時的に大麻を回し飲みしただけでは罰せられないのだ。


判例は,大麻パーティなどを催して喫煙する場合に,それに参加したメンバーは,あらかじめ用意された大麻を喫煙する意思でその場に参加するので,これを全体的に見ると共同して所持していると評価してよいとしている。


で,今回のケース。

被告人は自らの出費で大麻を購入し,これを自分だけで楽しむこともあったし,友人と楽しんだこともあった。

検挙された当日は,車で出かけたものの大麻を吸うという明示,黙示の了解があったわけではなかった。

吸い終わった残りの大麻は,被告人の名刺入れに入れて車に隠した。

難しいところではあるが,被告人と友人の供述から,以前にも多数回,喫煙したことや残った大麻を捕まらなければ二人で喫煙するつもりだったことなどがうかがられることから,共同の所持を判決で認定した。

いずれにしても,初犯で執行猶予付き判決相当の事案であった。