日頃,供述調書を目にするにあたって疑問に思っていたことだったが・・・。



<最高検>供述調書に容疑者らの割り印指示 ミス相次ぎ


全国の検事や警察官が作成した容疑者や参考人の供述調書に、訂正前の誤った調書が訂正後のものと一緒にとじ込まれていたり、ページ数が連続していないなど、ミスが相次いでいることが分かった。法廷で弁護側から「容疑者の知らない間に、一部分をねつ造したのではないか」と追及された事件もあり、事態を重視した最高検察庁は、調書の全ページに、各ページをまたぐ形で、容疑者らの割り印を求めるよう、全国の各地検に指示した模様だ。

 これまでの調書にも、検事や警察官が各ページに割り印を押していた。それでもミスが相次いでいるための措置で、今後、各地検が作成する調書には、検事、容疑者による2種類の割り印が押印されることになる。

 調書は通常、パソコンで作成した文書を印刷。1通の調書としてとじ込み、末尾に容疑者らの署名や押印を付して完成させる。各ページの下部にはページ数が記載される。

 関係者によると、最近見つかったのは、調書の途中で突然、ページ数が飛ぶケース。「1、2、3」と連続したページ数の次に「37ページ」などといった不連続なページが現れ、再び「4、5、6……」と戻っていた。また、印字後に誤字や脱字が見つかり修正したのに、訂正前の調書と一緒にとじ込んで、法廷に提出したミスもあった。気付いた被告の弁護士から「被告に不利な調書を勝手に作成し、真正なものと差し替えたのではないか」と追及されたこともあったという。

 容疑者らによる割り印の導入を巡っては、法務・検察当局がここ数年、内部で論議を続けてきたという。

 実施すると、在宅の容疑者や参考人の場合は印鑑で済むが、逮捕・拘置中の容疑者の場合、取調室に印鑑を持ち込めない規則になっていることから、指印を求めざるを得ない。このため複雑な事件の場合、調書は数百ページに及び、そのすべてに指印を押させることについて、第一線の現場からは「容疑者との信頼関係が崩れ捜査に支障が生じる」との反対論が出ていた。

 だが、ある法務・検察幹部は「支障が生じる可能性はあるが、ミスを防ぎ疑念を払しょくするためにはやむを得ない措置」と話している。

(毎日新聞 12日03時01分)


被疑者が逮捕・勾留されると警察や検察による取調べがはじまり,その供述は「供述調書」と呼ばれる書面におこされる。これは被疑者が供述した内容をそのまま書き写すといった代物ではなく,その要旨を警察官なり検察官といった捜査官が作文するわけ。


そして,その作文を最後に被疑者に読み聞かせ,その内容に間違いないということであれば,その書面の最後に署名指印させ,その後に取り調べに立ち会った捜査官が署名押印することになっている。


この供述調書は,A4の紙に横書きで,手書きされるか,ワープロで打たれ,通常,複数枚に及ぶので,記事にあるように各枚葉に差し替え,偽造を防止するために丁数を付し,契印をほどこす。

この契印は捜査官の印である。


とすると,差し替え,偽造を防止するために契印を施すにもかかわらず,末葉の被疑者の署名指印以外は実はいくらでも差し替え可能であることになる。


なにをいまさらと思う。


取調べの可視化という議論も重要だが,もっと基本部分を検討すべきでなかったか。


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