成績優秀な人ほど要注意!
一度の失敗で“うつ”になるエリートたち
http://diamond.jp/articles/-/8178
エリート社員に急増する
「非うつ病性うつ病」とは
社のエリートだと思われてきた優秀な会社員が、長期間休職した末、退職して地域の中に引きこもっていく。
休職期間中は、人事担当者が彼らを会社の健康管理室や街の開業医に紹介し、「うつ病」などの診断名で、休職扱いになることも多い。しかし、その実態は、現代型のうつ病である「非うつ病性うつ病」、あるいは、新たなタイプの「パーソナリティ障害」ではないかとも言われている。
このように最近、就労者から、新しい「引きこもり」層が生まれる背景には、企業側の対応上の問題についても取り沙汰されている。
「会社を休職し、退職していく人たちに話を聞くと、皆、社会が怖いと言う。現実の世界は、脅威に満ちていて、自分に迫害を加える。社会は、自分の自尊心を傷つける対象なんですよ」
こう解説するのは、『パーソナリティ障害(人格障害)のことがよくわかる本』(講談社)などの著書がある、東京都渋谷区の「市橋クリニック」の市橋秀夫院長。
プライドが高くて、傷つきやすい人たちが増えてきている。同時に、ちょっとしたことでキレやすい傾向なのも、最近の特徴という。
市橋院長は、こう続ける。
「企業に対するロイヤリティが低くなってきていて、自己中心的な考えに基づいて行動する人たちが多い。上司との親密なコミュニケーションを拒否する。あるいは、同僚間でも孤立する。そういう人たちが、会社内で多数派になってきているんです」
優秀な人ほど要注意?
一度の挫折で「引きこもる」人々
そんな彼らに話を聞くと、子供時代、判を押したように、似たようなストーリーがあるという。
中学生くらいまでの成績は、いつもトップクラス。ところが、有名進学校に入り、初めての試験で、順位が中の上くらいに落ちてしまう。有名進学校で中の上であれば、本来ならいい成績のはずなのに、その人にとっては、ものすごい衝撃を受けることになる。
「そこで考えるのは、もっと勉強して上がっていこうではない。勉強を断念してしまう。さらに成績が下位のほうに下がってくると、今度は学校に登校できなくなるのです」
一方で、学校時代をそのまま乗り切ったとしても、会社に就職してから、その葛藤が噴き出る人もいる。
勝ち負けの世界の中で、常に相手がいて、自分が相対化されて、「あいつよりも優れているのかどうか」を常に意識せざるを得ない。
「会社に行けば、叱られたり、業績を問われたりします。しかも、最近、企業の業績評価は、厳しくなってきていて、項目別に、仕事の達成度、目標設定、リーダーシップなどをチェックされ、査定の結果が出る。一旦、失敗し始めると、それまで満点近い評価を取り続けてきたような人が、次のトライアルを止めてしまって、ゼロになってしまう。勝ち負けの世界だけでしか生きられないから、自分が目標を達成できそうもないと思った時点で、あきらめてしまうのです」
会社に入れば、結果を求められる。その中で、プロセスを大事にするとか、プロセスを評価する考え方が希薄になってきた。
こうして企業は衰弱が起こってくる。しかし、経営者も、そのことに気づかずにいる。
常に、結果を出し続けなければいけないという強迫観念のもとで育った青年たちが、結果を出せなくなると、自暴自棄になるか、引きこもるかしかない。
いつ、引きこもる要因がはじけるのかは、早いか遅いかの違いがある。いずれにしても、初めて大きな挫折があったときに、問題が顕在化するという。
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