5、【主張】英連立政権 新たな保守に期待したい | NPO法人生涯青春の会

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               2010.5.13 03:42 産経新聞



 英国総選挙で第一党となった保守党のキャメロン党首が首相に就任し、第三党の自由民主党との連立政権が発足した。



 3期続いた労働党政権が終幕し、13年ぶりの政権交代となった。しかも二大政党政治を伝統としてきた英国では、極めて異例の連立政権だ。43歳7カ月と、1812年以来では最年少の英宰相となったキャメロン氏がつくる新たな保守の潮流に期待したい。



 保守党と中道左派の自民党とでは政策の違いが少なくない。それでもキャメロン氏が連立政権を選んだのは、どの政党も下院の過半数を有しない状況下の少数与党では政権運営の行き詰まりが目に見えているからだ。



 キャメロン氏は連立交渉で副首相を含む5つの閣僚ポストを提示し、比例代表制を強く求めた自民党の意向をくんで小選挙区優先順位投票制導入を問う国民投票の実施を約束した。



 しかし、ふくれあがった財政赤字の削減や移民の制限、戦略核ミサイルの更新といった保守党の根幹政策では譲歩しなかった。



 英国政治の殻を破る連立の試みの背景には、従来の二大政党に満足しない中間層が拡大しているとの認識がある。党勢が一時大きく落ち込んだ保守党は、弱者への目配りや環境保護にも力点を置くようになった。



 キャメロン氏は「保守、自民両党が違いを乗り越え、共に働くことが強く、

安定した政府をつくる」と強調した。



 連立政権で実績を積めば、次は単独政権の可能性も大きくなってくる。連立による政策の制約を克服し、「思いやりのある保守」という理念をいかに肉付けするかを注視していきたい。



 オバマ米大統領がキャメロン新首相にいち早く電話し、米英の「特別な関係」を維持したいとじかに伝えたことは重要である。



 労働党のブラウン政権下では、イラク戦争に対する英国内の一部の批判を反映し、下院外交委員会が「対米関係は重要だが、特別との言葉は避けるべきだ」との報告書をつくった。オバマ大統領は「強固な米英関係が世界の安全と繁栄には不可欠」との認識から新首相に絆(きずな)の確認を求めたのだ。



 米英と価値観を共有する日本は、キャメロン政権の発足を機に世界の平和と安全を守る観点から、日米同盟の重要性を再認識しておきたい。