12、社説:内閣支持率急落 政権自壊が止まらない | NPO法人生涯青春の会

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毎日新聞 2010419日 毎日

 危険水域を思わせる数字である。毎日新聞が17、18の両日に実施した世論調査によると、鳩山内閣の支持率は33%と先月の前回調査に比べ10ポイント落ち、不支持が52%と過半数に達した。


 鳩山由紀夫首相自らが5月末までの決着を明言する米軍普天間飛行場の移設問題は展望が開けず、他の重要課題も迷走が目立つ。国民は、首相の政権運営能力そのものに疑問を抱きつつあるのではないか。首相は「普天間」に政権の命運を懸ける覚悟で臨み、内外の諸課題にのぞむ指針を明確に示すべきだ。八方美人的な対応を続けているようでは、政権の自壊に歯止めはかかるまい。


 発足時は8割近い支持率だったことが信じられないような急落だ。今回、内閣を支持しない人のうち、最多の40%が首相の指導力不足を理由に挙げている。「政治とカネ」の問題のみならず首相自らが混乱を拡大しているかのような政権運営が国民の不信を招き、理念や政策を訴えても「聞く耳」を持たぬ状況に近づきつつあるとすれば、深刻だ。


 特に普天間問題をめぐり首相が約束する5月末までの決着ができない場合、53%が「退陣すべきだ」と答えたことは重い。さきのオバマ米大統領との10分間の首脳会談も不発に終わったとみられ、政府が検討しているとされる鹿児島県・徳之島への機能分散にも地元で反対する動きが広がっている。

 ところが客観情勢が厳しさを増しているにもかかわらず、首相は米側、移転先双方の同意も含めた期限内決着を改めて明言した。その意味で確かに発言はぶれていないが、さきの「3月決着」のような撤回はもはや許されないという自覚が必要だ。


 郵便貯金の預け入れ限度額問題にみられたように、閣内のバラバラも目に余る。確かに閣僚の意見が食い違うことはあるかもしれないが、あくまで首相の基本方針は踏まえるべきだ。ところが多くの場合、連立や与党事情への配慮から首相の指針がはっきりせず、閣僚が勝手に発言しているのが実態ではないか。

 一方で、負けず劣らず危機的なのが自民党だ。政党支持率は依然として伸びず「みんなの党」に急追されている。谷垣禎一総裁らは離党騒動への対処に追われ、次期参院選に向けて民主党に対抗し得る政策の旗を掲げられていない。これでは鳩山内閣が混乱しているからといって、政権復帰の期待感は高まるまい。


 今回の調査では支持政党について「ない」と答えた人が45%にも達した。民主、自民の2大政党が迷走を繰り返していては、国民は幻滅するばかりだ。このままでは、日本政治が沈没してしまう。

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毎日新聞 2010419日 231