ギリシャだけではない 危機連鎖の恐怖 | NPO法人生涯青春の会

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41、第1特集:欧州崩落

 日本の財政も潜在的な恐怖が内在しているので、ギリシャの 危機連鎖の恐怖をここに収録します

                   管理人

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 ◇ギリシャだけではない 危機連鎖の恐怖

2010410日 毎日新聞

 ◇白井さゆり(しらい・さゆり=慶応義塾大学教授

 欧州発のソブリンリスク(国家の信用に対するリスク)が、世界の経済と金融市場を揺るがせている。ギリシャの財政赤字を懸念して、ギリシャ国債が格下げされたことなどをきっかけに、ユーロが売られ、世界の株式市場でも株価下落が相次いだ。

 ギリシャは4~5月に約200億ユーロ(2兆5000億円)の国債償還を迎える。ギリシャが国際金融市場で資金調達できなければ、最悪の場合、デフォルト(債務不履行)という事態に陥ってしまう。欧州連合(EU)は3月25日、ユーロ導入16カ国の首脳会議を開き、緊急時に各国と国際通貨基金(IMF)が協調で融資する支援策で合意した。危機対応の枠組みが示されたことで、市場には一応の安心感が広がった。

 しかし、ギリシャの財政再建はこれからであり、財政赤字を抱えている国は他にも多い。すでにPIIGS(ピッグス=ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)、STUPID(ストゥーピッド=スペイン、トルコ、英国、ポルトガル、イタリア、ドバイ)という言葉が市場で飛び交い、次のターゲットとして取りざたされている。欧州危機が収束したと考えるのは早計だ。

 ◇危機のシナリオ

 想定される危機シナリオとして、まず、ギリシャの財政再建が順調に進まないという可能性がある。ギリシャは今年1月中旬に、財政赤字を2009年見通しの国内総生産(GDP)比12.7%から、12年までに3%以内に抑え、そのために10年は8.7%まで下げると宣言した。この赤字削減が思うようにいかなければ、欧州全土が経済危機に陥るリスクがある。

 もし財政赤字が改善しなければ、ギリシャの国債がさらに格下げされ、国債の買い手がつかなくなって長期金利が高騰する。金利高騰は同国で銀行危機を招くだろう。ただでさえ緊縮財政によって景気回復の足取りは鈍い。10年の経済成長率はマイナス2%程度が見込まれ、その後も大きな景気回復は望めないなかで、金利が跳ね上がれば企業の資金繰りは悪化し、銀行の不良債権が増える。同時に銀行も資金調達難に直面し、信用収縮が加速するだろう。(本誌に続く)