59、太陽光浴び1日1万歩 (テーマ睡眠) | NPO法人生涯青春の会

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              20061217日 健康情報資料室から
        

ベランダの花に水をやる福岡さん(東京都調布市の自宅で) 夫が眠りについた静かな夜、本を読んだり、思いつくまま文章を書いたり……

 東京都調布市の福岡みちよさん(74)にとって、午前0時から2時までは、1日の終わりの「ぜいたくなひととき」だ。

 深夜2時に眠り、朝起きるのは8時。しかし、10年ほど前から寝つきが悪くなり、夜中に何度か目が覚めるようになった。

 一方、川崎市の芝尾和良さん(75)は、夜10時に寝て朝5時ごろに起きる早寝早起き派。5年ほど前から4時ごろに一度目が覚めることがあったが、次第に2時や3時にも目が覚め、寝つきも悪くなった。

 2人とも睡眠薬は飲んでいたが、効果はいま一つ。そこで福岡さんは一昨年秋、芝尾さんは今年5月、睡眠治療が専門の「スリープクリニック調布」(調布市)をそれぞれ受診した。

 2人が院長の遠藤拓郎さんから受けた助言は同じ。「1日に1万歩以上、歩くこと」だった。

 福岡さんは夕方5時からの犬の散歩、芝尾さんは毎朝8時の散歩が以前からの日課。散歩は、これまでと同じ時間帯に続けるよう遠藤さんから勧められた。

 太陽光など明るい光を日中に浴びると、夜に睡眠を促すホルモン「メラトニン」が多く分泌され、眠りやすくなる。ところが高齢になって外出する機会が減ると、メラトニンの分泌が減り、不眠になりやすい。

 散歩で体温が上がると、夜に体から熱が放出されて体温が下がり、眠りやすくなる。この運動の効果に加え、日中の散歩には、光を浴びて夜にメラトニンが増える二重の効果がある。

 ただし、朝起きて2時間以内に強い光を浴びると、睡眠時間が早くずれる。つまり、寝る時間も起きる時間も早くなる。逆に夕方以降に強い光を浴びると、遅い方にずれる。

 一般に、不眠の人は「朝起きたら光を浴びて」と指導されることが多い。しかし、福岡さんのように夜更かしが身についた人や、朝に目覚める時間が早すぎて困る人には、起きてすぐの光は逆効果になるのだ。

 「高齢者は早寝早起き、とは限らない。生活スタイルに合わせた指導が大切です」と遠藤さん。

 福岡さんも芝尾さんも歩数計を着け、散歩の時間が増えたうえ、外出時は努めてバスなどに乗らず歩くようになった。毎日欠かさず1万数千歩。夕暮れ時に散歩する福岡さんは、日中には草花の手入れを1~2時間楽しみ、太陽の光を十分に浴びている。

 2人とも寝つきが良くなり、夜中に起きる回数も減った。「歩くのが楽しいです」。共通した感想だ。

 夜間の照明の注意点 夜、明るい蛍光灯の光を浴び続けると、睡眠時間が後ろにずれ、寝つきが悪くなる恐れがある。夜は蛍光灯2本のうち1本を消す、間接照明にする、読書の時は本だけに照明を当てる、など工夫したい。昼と夜の光はメリハリが大事だ。

20061129 読売新聞)