イケメン妖怪スティーブン・ドーフ小僧が、生き別れの一人娘を探して大冒険を繰り広げる、超スペクタクル3Dアクションムービ(殴)
…痛、痛いです、ごめんなさいホント、すみません。ちょっとやってみたかっただけなんです、ゴメンナサイ…。
気を取り直して。
ハイ、本物はコッチ。
「マリー・アントワネット」「ロスト・イン・トランスレーション」のソフィア・コッポラ監督最新作。あるハリウッド俳優の日常と、一人娘とのひとときを描く。
明確なストーリーはなく、これといった目的やカタルシスもない。にもかかわらず、何故か胸にチクリと針を落とされたような痛みを覚える、そんな映画。
監督の幼少期の思い出から着想を得たという本作。俳優としての名声があり、フェラーリを乗り回せるだけの経済力を有し、ついでに女にもモテる。市井の民が欲するほとんどのものを持ち合わせながら、満たされる事のない寂寥に苛まれる男の姿を、アンニュイなタッチでキャメラに収めている。
冒頭、車でコースをひたすらグルグル回るだけのシーンや、カフェでタバコをふかすだけのシーン等、一見ムダとも思える何気ないカットが、男の空虚たる胸中を的確に表現。特に、序盤に登場する双子の出張ポールダンサーには、その派手な出で立ちとセクシーなダンスに反比例して、なぜか言いようのない侘しさがこみ上げてくる。
いつの間にか眠ってしまった主人公を残し、そそくさと組み立て式のポールを片付けて帰る二人の後ろ姿は、まるで甘い夢の世界から現実へと連れ戻されるような、残酷さすら孕んで見えた。
ほとんど説明的なセリフもなく、必要最低限の、しかもその多くが他愛のない会話な点も、また素晴らしい。過剰なほどの情報量が正義だと信じられている昨今、「主人公の離婚の原因なんざ、本人達が知っていればそれでいい」と言わんばかりに、余計な箇所をバッサリとオミット。あくまで日常生活の中の、日常会話の範囲内で物語を構築していくその手腕と潔さに、高いセンスを感じた。
過度な演出に頼らず、おおよそキャメラワークとカット割りだけで、ここまでキャラクターの心模様を映し出せる監督がいたとは。俳優陣の活躍もあっての事なのは当然だが、こういう手法は我が国の十八番だと思っていただけに、少々複雑な気持ちである。
個人的には、北野武監督か荻上直子監督の撮り方に似ていると感じたが、資本力のある向こうの映画界が、今後もこうした良作を連発してくるようなら、邦画はますます持って窮地に立たされてしまうと危惧するのは、小生だけか。
変にハリウッドアクション真似て、黒い玉追っかけてる場合じゃないな。クワバラクワバラ。
恥ずかしながら、主演のスティーヴン・ドーフの事はまったく存じ上げなかったが、調べてみると、大作映画にはほとんど出ていないらしい。あーなるほど。
なんでも、本人もハリウッドの大作を嫌悪している面があるそうで、かの「タイタニック」に主演オファーが来た際もあっさり蹴り、そのためディカプリオ主演が決まったのだとか。
それから、娘役のエル・ファニング。名字を聞いてまさかと思ったが、やはりダコタ・ファニングの妹さんだそうな。
姉の方は、最近某吸血鬼美少年の映画で白塗りオバケを演じているが(違)、彼女も負けず劣らず、いい芝居をする。むしろ後半、車内で涙を流すシーンを観る限り、姉より上手いんじゃないかと思ったりもした。
とにかく、今後の活躍が期待される。
(そういえば作中、その吸血鬼美少年の話をする場面があったが、あれはネタか?)
制作スタッフには怒られるかもしれないが、キッチリとした起承転結がないので、DVDのチャプターで適当なところを選び、ボーっと眺めるだけという鑑賞法もアリなんじゃないかと小生は思う。
苦手な人も多いと察するが、30半ば以上の男なら、過去の後悔や失敗や未練がいろいろ思い出されて、思わず胸をキュッと締め付けられる事ウケアイ。
それにしても、ソフィア・コッポラは何故にこうも男にしか分かり得ない感情を、ダイレクトに映像化できたのだろう。やはり血か?
そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、
☆☆☆☆★
星4つ!!
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