韓国大統領選(9日投開票)で、下馬評通り極左の最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏(64)が勝利した。文氏の経済政策はなかなか興味深く、「政府主導で経済成長」を掲げている。(夕刊フジ)

 具体的には、警察官や消防士、医療・保育の公共機関職員を、新たに51万4000人採用。さらに、公共機関で働く約30万人の間接雇用(=いわゆる、派遣社員)を、直接雇用に切り替える。財源は、歳入の自然増や予算見直しに加え、「大企業や高所得者層向けの増税」で賄う。と、明らかに「反グローバリズム」的な経済政策が中心になっているのだ。

 韓国は、1997年からの「アジア通貨危機」と「IMF(国際通貨基金)管理」によって構造改革を強制され、グローバリズムの優等生として成長してきた。結果、正社員と非正規雇用、大企業と中小企業など、さまざまな所得格差が拡大した。

 過去10年で、正社員の月平均賃金は47%増加したのに対し、非正規は25%増にとどまった。また、正社員にしても、大企業と中小企業の給与差は2倍に達している。

 若年層失業率はILO(国際労働機関)推定で10%を超え、「恋愛」「結婚」「出産」「マイホーム」「人間関係」「夢」「就職」の7つを諦めざるを得ない「七放世代」が増大している。2015年には「ヘル・コリア」(地獄の朝鮮)と、韓国を卑下する表現が流行語になった。

 相も変わらず、財閥経済。財閥オーナーと、オーナー一族、そして財閥役員が、現代の兩班(ヤンバン=貴族)として振る舞い、多くの国民は過激な競争に敗れ、困窮していく。

 グローバリズムの蔓延(まんえん)で、特に若い世代(40代以下)に蓄積された鬱屈とした思い、いわゆる「ルサンチマン」(恨み)が文氏を勝利に導いたのである。20代から40代の文氏支持率は、常に50%を上回っていた。

 逆に、50代以上は朝鮮戦争の記憶もあり、北朝鮮に融和的な姿勢を見せる文氏に対し不信感を見せていた。

 韓国大統領選では毎回、「経済民主化」(=財閥経済からの脱却)が叫ばれ、そのたびに有権者が裏切られる状況が続いていた。韓国の若者たちは、「旧弊の清算」などと革命的としか思えない過激な公約を掲げた文氏が、「今度こそ、経済民主化を達成してくれるかもしれない」と、希望を見いだしたのであろう。

 ロシアの革命家、レーニンは自著『経済主義的ロマン主義の特徴づけによせて』で、共産主義運動指導者、カール・マルクスが講演において、西欧諸国における「古い経済生活」と「古い半家父長制的諸関係」を、資本主義が破砕したと解説し、さらに自由主義が「破砕」を促進するとも指摘した。「ただ、この意味でのみ、諸君、私は自由貿易に賛成するものなのである」と語ったと書き残している。

 マルクスは、経済自由主義-今風に書くと「グローバリズム」-だが、社会の基盤や秩序を破壊し、革命の機会を醸成するが故に、自由貿易を支持していたのである。

 まさに、現在の韓国は、グローバリズムにより既存の秩序が「破砕」され、特にルサンチマンが蓄積された若い世代が「清算」を求め、「革命家」を大統領の座に押し上げたように思えてならないのだ。

 北朝鮮に融和的で、かつ既存の秩序の「清算」を掲げる大統領が誕生したことで、韓国経済はかつて経験したことがない、混乱の渦の中にたたき込まれることになる。

 

引用元:http://www.sankei.com/world/news/170530/wor1705300022-n1.html

 

 

 

 

 

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