BRTで奇跡の一本松へ | 車内販売でございます。

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 今回は、車内販売とは違う話。

 以前から、岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」を見たいと思っていた。大震災で津波に襲われて、海岸に拡がる松林が流されてしまったが、1本だけ残ったのが「希望の松」だ。

 この「奇跡の一本松」を見るために、BRTに乗って現地に行った。

 往きは、仙台から東北本線で小牛田に、そこからディーゼルカーで気仙沼線に乗り柳津まで進む。そしてこの柳津から先が、震災の被害が残る区間だ。

 

 BRTの車両は、普通の路線バスだ。BRTとは「バス ラピッド トランジット」のことで、 バス高速輸送機関という意味だ。

 元の線路で被害がなくて使える部分を舗装して、バス専用の道路にするのだ。そうすれば渋滞に巻き込まれず信号で止まることも少なく、定時運行がしやすい。

 ディーゼルカーから降りた客11人のうち、10人が柳津11:38発のBRT気仙沼行に乗り換えた。

 運よく一番後ろの席が空いていた。他の席より一段高く、バスの後ろも撮りやすい席だ。

 下の写真は陸前階上駅のホームだった場所。もともと単線だったので、バスがすれちがえるのは、一部の待避所だけだ。



 BRTが停車する駅は、写真のようにバス停みたいな場所だ。下の写真は志津川駅。

 南三陸町の志津川駅には、2012年に出かけたことがある。当時の志津川駅のホームに立って撮った写真はこちら。↓ 

 大震災から1年以上経っても、復興には程遠くて悲惨さを実感した。その時の詳細は、こちら↓。

http://ameblo.jp/syanaihanbai/entry-11748403189.html
 今回は、バスの中から見ただけだが、街の中心部は仮設店舗が増えたくらいで、地域全体が道路工事中で2012年とほとんど変わっていなかった。

 本来は陸前高田に行くには、一ノ関から大船渡線の方が便利だ。しかし、南三陸町の様子をもう一度見たくて、そして合同庁舎にもう一度手を合わせたくて、こちらから回っていった。


 BRTを南気仙沼で降りて、速攻で「気仙沼 海の市 シャークミュージアム」を見学。ここでは、サメの他に震災からの復興に向かう姿も知ることができる。

 今日の昼食は、駅弁や車内販売の利用は無理なので、海の市で「フカヒレまん」を食べた。


 私が乗った気仙沼14:29発の盛行きBRTは、座席と乗客の数がちょうど一致した状態で発車した。 

 BRTが停まる「奇跡の一本松」駅で14:57に降りた。気仙沼行停留所付近には、上の写真のように、綺麗な花が咲いている。

 他にも6人の客が降りたが、1人か2人で来た年輩の個人客ばかりだ。「お宅も一本松ですか?」「ええ、テレビで見て一度は行きたくて」などと盛り上がっていた。私も混ざりたかったのだが、私だけ34分後の15:31のBRTで折り返すハードスケジュールなので、はや歩きで一本松に進むことにした。盛行き停留所からだと12分、気仙沼行停留所からだと10分ほど離れているから、34-(12+10)=12分と短時間しか一本松の現地に立てないのだから仕方ない。
 一本松を見て戻る人20人くらいとすれ違ったが、早歩きで9分ほど歩いて、とうとう着いた。これが一度見たかった「≪希望≫の一本松」だ。周囲が壊滅したこんな場所で、1本だけ立っていたら、暗闇の中で一筋の光が見えてきそうだ。

 周囲は静かで、人は誰もいない。南三陸町の合同庁舎とは位置づけは大きく異なるが、ここでも手を合わせて祈りたくなった。


 復興のために、一本松付近も、山を切り開いて、土砂を海岸付近に盛る工事が進んでいる。景観は低下するが、また津波が来ても安全な場所にするためには仕方ないと思う。


 帰りは、気仙沼から大船渡線で一ノ関に向かった。一ノ関からの東北新幹線では、もちろん車内販売を利用した。

 この時に食べたのが、「南部田舎御膳」だ。もともと好きな弁当だったが、空腹だったから、本当に美味かった。ビールと一緒というのも最高だ。


 時間もお金もかかったが、行って良かった。宿泊しないで土産も買わず、「フカヒレまん」だけしか現地に金をおとさなかったから、間接的に復興を支援したことにはならなかったけど。