御無沙汰しております。
kakoです。
SCまだ更新出来てない・・・ごめんなさい~
頑張ります。
そんな中、素敵なリクエストを頂きました。
快青です。
☆壁ドン(キッド)
☆手の甲キス
☆ジェラ快斗(無理矢理押し倒す)
☆びしょ濡れ青子を抱きしめる
素敵すぎるリクエスト。
地味に制覇していこうと思いますので乞うご期待。
Rさん、リクエストありがとうございました。
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私の手に触れるもの
ふと舞い降りた君に、何も言えなくて。
トクン、トクンと心臓が鳴る。
身体も動かない。
静かに近付いてくる姿に、逃げ出したい半面もっと近付いて欲しくて。
頭の中は何も考えられなくなっていた。
あぁ、君が今ここにいる。
「・・・・こんな遅くに散歩ですか?」
あと2メートル位の所まで彼が近付いてきてゆっくりと問いかけられた。
「・・・・っそ、そうだよ、悪い?」
突然の事にうまく反応出来なくて声が上ずった。
「あまり感心しませんね、女性の夜の一人歩きは危険ですよ。」
「・・・・・。」
静かな夜だ。
周りは寝静まる時間。
歩きなれた住宅街も電気のつく家はほとんど目に入らなかった。
暗く街灯だけが灯された道に彼の白い衣装がぼやけて浮かぶ。
待っていた、この時、この瞬間を。
「・・・・あなたが私を一人にしているくせに。」
「・・・・・っ。」
青子の一言に彼は僅かに身体を動かした。
卑怯だと言われようと関係なかった。
「・・・・あなたが予告状を出した日はお父さんは忙しくて帰ってこない事も増える・・・それに、青子の幼馴染も必ずあなたが世間を騒がせている時青子のそばにいてくれないんだ。」
「・・・・っそれはー・・・。」
「別に怒ってない・・・怒ってないよ、青子は。」
彼は俯いて表情を見せない。
でもこうして会えた今。
ずっと心に抱えていたものを吐き出してしまいたかった。
ぶつけてやりたかった。
自分という存在がいることに・・・・気付いてほしかった。
「でも・・・どうしても嫌いになっちゃう。」
何故だか目頭が熱くなった。
いつもさんざん口にしてきた言葉なのに。
本人に伝えるのはなんて辛いんだろう。
けれど止められるはずがなかった。
どうしても言いたかった。
胸が苦しくなって両手でセーラー服越しに胸を鷲掴む。
「・・・・ごめんなさい・・・・っ・・・・。」
残酷すぎる言葉。
初めて人に本気で「嫌い」と伝えた。
でもそれは自分には大分荷の重いものだった。
「・・・・っ青子を一人にしないで・・・。」
俯いた地面が円を描いて濡れていく。
フッ
「・・・・・っ?」
次の瞬間、頭に何かが乗る感覚。
前髪が目にかかり、視界が塞がる。
「・・・・何?・・・やめっ・・・・。」
「どうかそのまま聞いて下さい。」
慌てた青子の言葉を遮るように落ち着いた低い声が静かな夜に響いた。
「・・・・あなたを一人にしている私はきっと世界で最悪の犯罪者です。」
「・・・・・。」
頭に乗ったものをとろうとしていた手を止めておろした。
彼の声は切なく鼓膜を刺激する。
「ですが、どうしてもまだこの仕事を終えるわけにはいかない・・・・・きっとこれからもあなたを私は一人にしてしまうでしょう。」
「・・・・っ!!」
突然左手に何かが触れる。
それが彼の手袋越しの手だと気づくのにそんなに時間は必要なかった。
視界が塞がっているため身体全体が敏感に反応する。
自分の指にそっと触れる彼の手。
囁かれる声。
その一つ一つが青子の身体の中心を疼かせる。
「ですが・・・・約束します・・・・私の仕事が終わった時、必ずあなたから孤独を奪いに行くと。」
「・・・・どうやって?」
「それは、その時になれば自ずとわかるはずですよ。」
「・・・いつになる?」
「・・・・明日かもしれないし・・・数か月先かもしれないし、数年後かもしれないし、はっきりとした時間は言えません。」
「そんなに我慢出来ないよ・・・・。」
「ではもう一つ約束しましょう・・・これから私が予告をした時、あなたに孤独を感じさせない魔法をかけると。」
「・・・魔法?」
「そう、魔法です・・・・ここに誓いましょう・・・孤独の代わりに、小さな幸せをお届けすることを・・・。」
「・・・・・っ。」
左手の手の甲に柔らかな感触にびくっと身体が跳ねる。
「次に3秒数えたら、その証拠をお見せしましょう。」
「・・・・まっ待って・・・・!」
「どうか、もうこんな夜遅くにで歩いたりしないで下さいね。今夜はあなたと話す事が出来て良かった・・・・。」
そっと左手に触れていたものが離れた。
「3」
「2」
「1」
パチン
と指を鳴らす音がした途端、頭に乗っていた感覚が消えた。
ゆっくりと目を開くとそこには何もなくてただの暗闇が広がっていた。
彼の姿もない。
「・・・・何よ・・・・何も変わらないじゃない・・・・嘘つー・・・・っ。」
「・・・・・青子?」
「え?」
後ろから名前を呼ばれて驚いて振り向くと、そこにいたのは・・・
「かっ・・・快斗?」
「お前、こんなとこで何やってんだよ?」
「かっ快斗こそ・・・・。」
「俺は寺井ちゃんとこに用事があって帰ってきたとこだよ。」
「そっそうなんだ・・・。」
突然の幼馴染の登場に頭がおいつかないでいると快斗は小首を傾げてからあきれ顔で口を開いた。
「たくっ・・・こんな遅くにで歩いてたらお子ちゃまのアホ子だって何があるかわかんねーじゃねーか・・・しょうがねーから家まで送ってやるよ。」
「何よ、その言い方~・・!!」
「ほらっ、早くしろよ。」
「え?」
快斗は青子に右手を差し出して佇む。
当然のように手を繋ごうとする快斗に戸惑う青子だったが、どこか身体が温かくなるのを感じる。
そっと手を重ねる。
「・・・・・?」
その時青子の頭に何かがよぎる。
先程まで自分の左手に触れていた感触を再び感じたのだ。
でもこの手は先程の人物とは全く違う・・・・・違うはず。
「・・・・・まさか・・・・ね?」
青子が呟くと、快斗は訝しげに青子を見た後、前を向いて歩きだした。
繋がれた手はやはり温かい。
先程までの孤独を一気に消してくれた。
あぁ、本当に自分は魔法にかかったのかもしれない。
等と思う自分をおかしく思いながらも、なんとなく次に同じ夜があっても、一人で朝を待つ事が出来るかもしれないと予感していた。
FIN
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あとがき
リクエストの中から一つ。
「手の甲にキス」でございます。
まずこのリクエストを頂いてからなんとなくイラストを描きました。
そこから生まれたこのお話。
何だかありきたりのよーな、よくわからん話ですが・・・・。
楽しんでもらえると嬉しいです。
リクエストありがとうございました。
2015.06.14 kako