Memorial address 1(快青) | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。

※死ネタです。閲覧には十分にご注意ください。


emorial address 1





強い雨の降る夜だった


雨に濡れて重くなったはずの衣装を軽々と着こなして


あなたは私の前に静かに立っていた


でもあなたの瞳と青子の瞳が交わる事はなかった



苦しそうなのに

辛くて辛くてしょうがない雰囲気を醸し出して

今にも堕ちてしまいそうだったのに





あなたは雨の中にまた飛び込んでいったんだ




一度もこちらに気付く事なく





一つの疑問が青子を支配した





あなたのもう一つの姿に気付いてしまったの

どうしようもなく

悲しくて

どうしようもなく

胸が痛かった




どうして私を騙していたの


どうしても何も言ってくれなかったの





あなたを信じていたつもりだった

けど信じられなくなっていた

信じたいのに・・・





だってあなたは大好きなあなたで


大嫌いなあなただったから





あなたは相変わらず何も教えてくれない

それが嫌で

辛くて

青子は嫌な胸騒ぎのする中

眠りについたの

その夢の中でも

青子は悲しんでた

とてもとても悲しい夢

眠りながら青子の頬には涙が伝ってた







朝・・・



ふと目が覚めた

静かな朝だった

まるで人など誰も存在しない様な

淋しい静かな朝だった




悲しい夢を見ていた



それはわかっているのにどうしても夢の内容は思いだせなかった





その時突然電話を知らせる機会音が鳴り響いた

ベットから起き上がり

音源の受話器を取った

何故か青子の胸騒ぎは治まるどころか

更に強くなっていた

そしてこの胸騒ぎの正体を知る事になる




ねぇ、快斗




どうして何も言ってくれなかったの?









「・・はい、中森です・・・・・おばさま?どうしー・・・えっ?」





ゴトッ





青子はおばさまからの話を聞くなり受話器を落としてしまっていた・・・



















「快斗が・・・死んだの。」



















あばさまが消え入りそうな声で青子に伝えた言葉が頭にこだました

受話器を落として

青子もその場に座り込んで

何が何だか理解出来ずにいた

青子の胸騒ぎは



何時の間にか止んでいた



その代わりに胸に大きな穴が空いた様に

ポッカリとしていた

青子は何をする気も起こらなくて

只 じっと丸めた体を壁に押し付けてた

青子は目を閉じる事すら・・・ましてや

泣く事さえせずに

ひたすら

目の前の床に落ちている受話器を見つめていた



時間が止まってしまったようだった

どれくらいそうしてたのかな

気付いたらお父さんが帰って来てて

青子の名前を呼んでた

凄く・・心配した声で・・・



「青子?!・・青子??」



肩を揺す振られてやっと視線をお父さんの目に合わせた



「・・おかえりなさい。」



只そう言って

また目線を受話器に戻した




「・・・出掛けるぞ。仕度をしなさい。」




お父さんが小さく囁いた

そのお父さんの言葉に青子も返事を返した



「・・どこ・・いくの?」



そう言ってお父さんを見たら

お父さんは凄く辛そうな顔で・・・

微笑した



「青子・・時間がない。早くしなさい。」



お父さんは明確な返答をしないまま

部屋から出て行った



嫌な予感が頭を過った



車に乗り込んで

行き先に着くまで・・黙って

自分の膝の上で握りしめている拳を見つめていた

目を閉じたら

また・・・悲しい夢の続きを見そうで恐かった



キッという音と共に車が止まった

ゆっくり窓からおそらく行き先であっただろう

辿り着いた建物を見上げた





―江古田中央医院・・・





青子の嫌な予感は的中した



「青子・・降りなさい。」



青子より一足早く車から降りたお父さんが

青子の座っている座席のドアを開いた

青子は降りたくなかった



もし降りたら

確信を得てしまいそうだったから



さっきから自分でもちゃんと気付いてた

でもやっぱり認めたくなかった

だから何も出来なかった

何かしたら例えどんな小さな事でも

この胸騒ぎの答えに行き着いてしまいそうで

青子は信じない

信じないもん



これが青子の本心



けどこの場に辿り着いた瞬間

青子は思考が鈍った

仕方なく車から降りて

鉄の塊の建物の中に入った時

青子は気分が悪くなった



青子・・・是以上中に行きたくないよ

何があるっていうの

足を進めたくない



・・・いくらそう思っても

青子の足は止まらなかった

何でだろう

嫌な筈なのに

誰かに後ろから押されているみたいで

言う事聞かない



医院のナースステーションでお父さんが看護師さんと会話をしていた

青子の足はお父さんを置いて

やっぱり進むの

勝手に動くの

引き寄せられるみたいで

気付いたら他の病室とは少し離れた部屋の前に辿り着いた

やっと止まる足

青子は何も考えず勝手に動く自分の腕に従って

ノブを回してた



冷たいドアだった





ドアの隙間から青子の目に入ってきたのは

冷たい部屋の中にたった一人

白い布に覆われて横になっている人だった

誰かはわからない

でもねその人動かないんだ

だってこんな冷たくて暗い部屋に・・

溶け込んでしまってるんだもの

あぁ・・・

この冷たい雰囲気

あの悲しい夢に似てるな



青子の足はまた勝手に進んで

その人の横に青子を立ち止まらせた





嫌なのに

嫌なのに





その人はやっぱり動かない

そして・・その人は白い布を顔に覆っていた

ゆっくりその布を

めくった





嫌なのに

嫌なのに













その人は青子の幼馴染













胸騒ぎはまた一気に消えて

今度は痛みが走った



今 青子の目の前で・・

白い服を着て

白い布に覆われて

全く動かないのは

他の誰でもない

けど他の誰より信じ難くて・・・

ううん

きっとこれは違う人なんだよ

そう思いたかった

でも青子はね

その人を誰より一番知ってるの

だからこの人を違う人だって思おうとすればする程

その人だって証拠が見つかるの

どうして青子はあなたをそんなに知ってるの

あなたの事を知っているのが嫌になるなんて

青子は自分が信じられない



その人の頬にそっと触れた



あまりにも冷たくて・・冷たくて・・・





「・・ぃ・・かぃ・・快斗・・?」





青子はついにあなたの名前を口にした

信じたくないのは今も一緒

まだ信じてない

例えどんなにあなたの証拠があったとしても


この冷たい人があの温かいあなただと・・・



認めたくない



ねぇ・・答えてよ

あなたが答えてくれれば分かるの

違う人だって言って



お願いだから

お願いだから



どうして・・

どうして何も答えてくれないの

どうして動かないの

どうしてあの真っ直ぐな青い瞳で・・見てくれないの

あなたは本当に・・・



「・・・快斗なの?」



返答はない



「・・ねぇ・・快斗なの?」



やっぱり返事は無くて



「・・・っ答えてよぉ!!!」



大声で叫んでその場に泣き崩れた



「・・・っ・・。」



初めて見せる涙

ふいにもう一つのあなたの姿の存在を思い出した



決して明かされるこのなかった

あなたのもう一つの姿


それは白い大怪盗

気障な紳士を演じてて手品の腕は一級品

そしてその怪盗は



神出鬼没なんだよ



だったら今すぐ此処に現れてよ

嫌いだけどその姿で現れてよ



何で黙ってたのよ

何で言ってくれなかったのよ

すごく胸が痛かったんだよ

もう一つのあなたを知った時

青子まだ何も聞いてないんだから

全部話して貰うつもりだったのに

なんでよ・・どうしてよ・・・・



「何で黙ってたの・・。」



「何で何も言ってくれないの。」



「何で動かないの。」



「何で冷たいの。」



「何で青子を見てくれないの。」



「何で青子って呼んでくれないの・・いつもみたいにアホ子って呼んでよ。」



「・・・・何で一人で行っちゃうの。」



「青子・・まだ快斗に言ってない事あるんだよ。」



「聞きたくないの?」



返って来るのは痛い沈黙

青子は目から一杯の涙を流して ちょっと起き上がり

そして快斗の顔にそっと近づいて






口付けるー・・・















「好きだよ・・・。」







青子は微笑む





「・・・何とか言ってよ。」




青子にだけ言わせないで




「女の子に恥じかかせないで・・・。」





快斗も教えてよ

青子の事どう思ってたの

只の幼馴染だったの?



ねぇ・・・嘘でいい

嘘で構わないから聞かせて





快斗は青子を・・・・・・・好きだって・・・





一度でいいから





たった・・・・一度で構わないからー・・・・・・・






是が青子の初めてのキス

きっと是が最初で最後のキス

あなたは

青子の心に一番痛くて・・絶対に消えない傷を残して

二度と逢えない場所へ行って







一人・・・星になった







ドアの入り口で

おばさまが泣いてて

お父さんが肩を貸していたー・・・・





NEXT



後書き:::



前サイトでの裏ページにて公開していました。

初の死ネタです。


少し修正しました。


こういう内容のお話は書くことに抵抗があります。


気分を害した方・・・申し訳ありません・・・

暗い・・・こんない暗いのにまだ続いちゃいます・・・・。

2004.08.30. 作品でした。


8年前とかとんでもない・・・・・。




2012.05.01 kako 修正