ただいま、おかえり。8 | S w e e t 

S w e e t 

主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。



俺、今までどんな風に生きてたっけ?

少し前までは憧れのシャーロック・ホームズのような人間になりたいと只がむしゃらに生きてた。

だから恐怖なんて二の次でまずは真実を追う事が楽しくて仕方なかった。

少しずつ、けれど確実な一歩を踏み出している自分に誇らしさなんてものを感じて、恐れるものなんてなくてひたすら前を見てた。

でも今は・・・。




さみしい。




真っ暗なトコにポツンとひとり。

前を向きたくても下しか見れない自分がいて。


怖くなった。



きっと何より誰より、傍にいて欲しい温かさを知ってしまったから。






なぁ、蘭。



あの日、お前に触れた時。




俺は最高に幸せだった。









第8話





こんな闇は初めてだ。
いくら時間が経っても、目は慣れることなんかなくて。
どこを見ても暗い暗い世界。


物音1つさえしない。


俺だって、ここに存在しているのかわからなくなるくらい。

何も考えられなくて。

何も感じなくて。





こんな状態が続くなら・・・・消えてしまいたい。











「・・・・・・いち・・・・・しんいち。」



急に、どこからか声がした気がしたんだ。
その声の主は昔から知っているものだった。


何故だか明るくなったように感じて






あー・・・・この声・・・、俺知ってる。










できることなら、もう一回・・・・聞きてぇなぁ。











「・・・・ん・・・・・くん・・・・・っ工藤君!?」



「・・・・っ?」



背中に激痛が走った。
頭の中もぐるぐるしていて視界が定まらない。
薬くせぇ。

病院?


白い天井にゆっくりと手を挙げていった。



あまりにも鈍いその動きに自分自身戸惑いを隠せなかった。
何があったんだっけ・・・・。



「工藤君!!・・・僕の事わかるかい?」


目の前に突然心配した表情の見慣れた大人が一人。


(・・・・たか・・ぎ・・・けいじ・・・・。)



酸素マスクをしているようで、声が篭っている。


「待ってて!今、先生呼んでくるから!」



バタバタと遠のいていく足音。


ゆっくりと響く自分の鼓動。


トクン・・・



トクン・・・













あ、俺。



生きてる。







また手を挙げて拳をつくり強く握りしめた。



約束・・・・守れる。





一気に浮かび上がる。
愛しい愛しい幼馴染の女の子。
今すぐにでもこの腕の中に閉じ込めてしまいたい。



長年これでもかというほど遠回りをしてきたけれど。

今なら・・・・素直になれると思う。


直球で想いを伝えられるはず。




でも・・・・こんな俺なんか呆れるかなぁーー。




今のこのタイミングを逃したら。


もう本当に終わりかもしれない。







我が儘かもしれないけれど。
勝手すぎるかもしれないけれど。







今すぐ会いたい。






なぁ、今何してるんだ?
今もどこかでお前は生きてて。
そんなお前の隣を見知らぬ奴がすれ違ってるかもしれない。
例え面識がないとしても。
そんなことさえ俺にとっては羨ましくて。
その見知らぬ奴と今すぐ交換して欲しいくらいで。


こんな病院のベッドで横になって身動きが取れないでいる自分が惨めで仕方ない。



ピッピッという電子音が微かに耳に届いて。
腕に伝う細い透明の管がゆっくりと透明な液体を俺へと送る。




遠くの方から足音が聞こえてきた。



そういえば・・・犯人はどうしたんだろう。
俺を撃ってから・・・証拠品は・・・・。


医者がきたら高木刑事達に事件の状況を聞かないとな。













医者に軽い処置を受けた。
予想以上に俺は危険な状態を彷徨っていたらしい。
それなのに今は信じられない程の回復だと驚かれた。
撃たれるの二回目だし・・・まさか免疫でもついたのか?
などとくだらないことを考えていると。


「工藤君!!」


高木刑事がすごい顔をして病室に飛び込んできた。
室内にいた医者と看護士に睨まれたことに気づき小さく頭を下げる高木刑事。
そんなに慌ててどうしたんだ?


「工藤君・・・突然なんだけれど・・・犯人が捕まったんだ!」

「えっ!?」

「君が倒れていたところにあったあの証拠品が鍵になって捜査が一気に進んでね・・・すぐに犯人が浮かび上がったんだ。東京で目撃されたという証言があったけれどやっぱりまだ犯人はこっちにいたよ。そしてついさっき、犯人が捕まったって連絡があったんだ。詳しい事はまた目暮警部から連絡が入る事になってる。」



「・・・・・・。」


そう告げられてから彼が大分傷ついた姿であることに気づいた。
スーツも泥まみれ。



あぁ・・・きっと彼にはとんでもない心配をかけてしまった。
そして感謝してもしきれないくらいかもしれない。


「それにしても・・・君に頼りすぎてしまって本当に申し訳なかった・・・どう言っていいのかわからないけれど。」


謝ることなんて一切ないのに。
全ては俺自身のせいなのに。
彼らしい。


「君が・・・生きていてくれたこと、本当に感謝するよ。」



「感謝されるような人間ではないですけれど・・・僕からも言わせて下さい。」



高木刑事はえ?と不思議そうな顔を浮かべた。

苦笑しながら伝えた。



「僕という人間を救ってくれて・・・ありがとうございました。」


お互いに安堵感が生まれて、室内に穏やかな空気が流れ始めた。


「君がこのままいなくなってしまったらって考えたらそりゃぁーもう、怖かったよ。」


高木刑事は椅子に腰掛けていつもの調子で話し始めた。



「蘭さんの宝物・・・奪っちゃう所だったからね。」

「・・・宝物・・・・?」

「君にとっての宝物は決まってるだろう?・・・それはきっと彼女にとっても共通だと思うけど。」


ニッと笑って言われた一言に。
目の前の彼に頼られようが・・・やっぱり彼は年上で。
自分よりも先に宝物を手にしているだけはあるのかもしれない・・・とそっと悟った。


その後、高木刑事は捜査本部に顔を出しに行くと言って出て行った。
ドアの前に一応見張りとして一人置いておくよと言い残して。


窓を見ると大分薄暗くなってきた。
今って何日で・・・何時何分だ?



撃たれた時・・・蘭に電話したのは何時だったんだろう?
どれくらい時間が経ったのだろうか。



じっとしていられなくて。
思わず起き上がった。


窓を少し開ける。
さぁーーっと風が入り込みカーテンを揺らした。

それを確かめると俺は点滴と一緒に部屋を出た。


ドアを開くが例の見張り役という人物は見当たらなかった。
トイレにでも行っているのだろうか。
まぁすぐ戻ってくれば大丈夫だろう。





とにかく今は。





声・・・聴きたい。



本当は会いたいけれど、それはきっと今すぐには叶わないから。



院内の公衆電話まで辿りつき、押しなれた番号を一つ一つ確かに押していく。
カチャという電子音が聞こえてからプルルと呼び出し音が流れる。


早く・・・早く。


「・・・・・・。」




結末は受話器が取られることはなく、留守だけを俺に伝えるというものだった。


携帯にもかけようと思った時、電話の後ろにある細長い窓が目に入った。
先程の薄暗さは姿を変えられ、キラキラと微かに星が輝き始めていた。


妙にその星空を愛しく思った。


綺麗だなぁ。



蘭も見てるかな。






再び受話器をとりボタンに手を掛けたとき。


「おーー工藤君!」

「目暮警部?」


片手を上に挙げて俺に存在を伝える人は目暮警部だった。


警部はちょうど俺に話しがあったらしく、そのまま病室ではなく院内の会議室へと導かれた。






警部に犯人の事を色々と聴いた。
とりあえず犯人と俺が会うのは身体の具合がよくなってからになった。
また、警部にまで謝罪の言葉を貰ってしまった。
俺は自分で責任を持っていると思って行動していたけれど責任を持つことなんてまだまだ出来ていない。
まだ守られてる子どもにすぎない。


その現実に少し落ち込んだのは言うまでもない。




それから、医者からの許可が出次第東京に帰れることになった。


それが嬉しくて、蘭の顔が頭に浮かんだ。





病室に戻るため薄暗い廊下を歩いていると俺の病室のドアが開いていた。

もしかして俺がいないせいで・・・・と思い少し足早にドアへと向かう。



そっと部屋に入ると薄暗いまま。
開いたままの窓のカーテンがまた一つ揺れた。


けど・・・感じた。







「…蘭?」









ベッドの前に蹲った黒い影。

ゆっくりとこちらに顔を見せてくれた。





「新一…」






ずっと聴きたくて仕方なかった声が俺の名前を呼ぶ。
涙が出そうだ。


けれど、その声が震えていることに愕然とした。


なんで?



「おま、何で泣いて…どうかしたのか!?」





電気をつける事も忘れて駆け寄った。
まるで触れたら壊れてしまうもののようにそっと両手を差し出し蘭の両頬を包んだ。

あったけぇ。


潤んだ瞳が愛しい。



「どこ、行ってたのよ」

「え? あー、目暮警部のとこだよ。犯人がつかまったからよ。」


もう帰れるぜ。と安心させる為に笑いながら続ける。
蘭が目の前にいる。
どうして?なんて考えるだけもったいない。
今の蘭に会えている自分を幸福だと思う。



「それより蘭が、どうかしたのかって…」


「…た」


「あん?」



蘭に見つめられる。
酷く緊張した。
けれどそれさえも幸せだと思う自分がオカシイ。


そして蘭から告げられる一言にまた俺は驚かされる。









「会いたかった」










「会いたかったの」










繰り返されて言い直されるその言葉にただただ、驚くだけの俺。


震えながらも伝えてくれたその想いに、胸はもう一杯だった。



「バーロ」




そう一言口にすると蘭の表情が曇った。
きっと変な捉え方をしたんだろう。

でも今、その不安も拭い去ってやるから。

蘭の頬に触れていた手を離し蘭の腕へと伸ばした。


ぐっと引きよせて、一気に身体を奪った。



「蘭…」





「う、うん?」





腕の中の蘭は小さくて。
俺の胸の奥はぎゅーっと締め付けられて。




「あのさ、蘭・・・・・俺・・・・。」






もう、今しかないよな。
これ以上何を待つものがある?



ずっと待たせた本当に。


やっと本当に約束が守れるよ。


君がここにいるというその事実は少しだけ約束から抜け出したものだけど。
そんなの可愛いものだ。



さぁ・・・・心の準備はいいか?
















「ずっと蘭のこと・・・好きだったんだ・・・・今もこれからもきっと・・・・生涯お前のことしかみれない。」











ピクッと蘭が動く。
ぎゅっと抱きしめる力を強くした。


一つ一つゆっくりと伝えていく。





「長い間待たせて・・・・ごめん。約束・・・・守ってくれてありがとな。」




暫しの沈黙の後、蘭が顔を上げた。




「っ・・・・・ばかぁ・・・・待たせすぎだよ・・・・もう待ちきれなかったんだから。」



瞳には一杯の涙を溜めて。







「新一・・・・好き・・・・大好き・・・・・・好き過ぎて・・・・・苦しい。」







「全部受け止めるから・・・・お前も俺のことだけ見てて。」








額と額をくっつけて、微笑む。
愛しい。
この気持ち・・・なんていえばいいんだろう。






「ね・・・もう一回・・・・ぎゅっとして?」





嬉しいそのおねだりを俺は快く受け入れる。





そっと顔を近づけると。
自然と閉じられる瞳。

長い睫毛を一本一本確認しながら更に近づいて。





重なる影。














そんな二つの影をドアの影から黙って見守る大人が一人。





「今夜は一段と星が綺麗だ。」






嬉しそうに呟き・・・・
そして静かにそこを後にした。






NEXT>>8




:::後書き


随分と間あいてスミマセン・・・・

お話忘れてるだろうなー・・・

結局間の話は作れず飛ばしてしまいました。

ゆーりさま・・・本当にごめんなさい。


そしそして・・・


今回の話色々無理があるなぁ。


まず、犯人が捕まったいきさつが無理やりすぎる。

でも実は最初犯人は自首してくるって流れだったんですが・・

さすがにあっけなさすぎると思いこういう結果に変更しました。

本当事件系のことは何も考えられない。

更に・・・手術が終わってこんなにも回復が早いものなのか・・・

歩けるものなのか・・・・

このへん超テキトーですので!

あと蘭ちゃん速く着きすぎでないか?


どうやってこの病院にたどりついたんだ?


まぁそのへんは9話で明らかに・・・する・・・はず?


もー色々つっこみどころありすぎるのでもうやめます。

もー触れません。



最後に一言といえば・・・・。



ごめんなさい。




2011.01.13 kako



よかったらワンクリック願います!

(クリックはおひとりさま一日一回まででお願いします^^)
↓↓↓

にほんブログ村 イラストブログへ
にほんブログ村


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ
こちらもお願いします!!