片想いの君へ贈る。 | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。



ただ、本能だった。




何も頭に浮かぶものはなくて。



ただ、触れたかったの。



ねぇ、あれは罪だった?






:::





目の前にはすやすやと眠る君。




誰もいない教室。



光が灯されていないその部屋は自然の光に染まって。




しだいに落ちていく。




ゆっくりと影がかかる。





空いた窓から入る風にカーテンがゆらめいた。




同時に流れるサラサラの君の前髪。




君がうつ伏せる席の前の席に腰をかけて、静かにその姿を目に写す。




君が気付かないように、そっと。



息をするのさえ慎重に。




腕に蹲る顔は少しだけ隙間から瞳を覗かせる。


決してその瞳は開くことはないけれど。




長い睫毛から目が離せない。



綺麗だと思うと胸がキュッと締まる気がして。



息をするのが辛くなって。



寝息とともに揺れる肩。

睫毛が微かに反応する。




ねぇ。


どうかその瞳を開いて。



その瞳で私を捕えて?





「・・・・・・・しん・・・いち。」





そっと君の髪に触れて。



愛しいその想いを籠めて。



静かに静かに。



君の名前を口にした。







ピクッと微かに君がみじろぐ。





足りない。




足りないよ。





ねぇ。



どうして君は・・・






ねぇ、知ってる?




その席は・・・









私の席なんだよ?








たまらない何かが身体の中心からうずめいてきて。



私の頂きに達した。







そっと軽く身体を起こして。




風に揺れる君の前髪から覗く額に。






静かに。


静かに。



一瞬のキス。







「・・・・・・・ん。」






はっとする。




突然の君の反応に一気に凍りつく。




だめ。



ここで君の瞳に会ってしまったら。







予感がした私はガタッと先程までの沈黙を破って駆け出した。






ねぇ。




止まらなかったの。






「・・・・・はぁ、はぁ・・・・・・。」





ひたすら走った。





息が切れることなんて、どうでもよかった。




とにかく走った。






怖かったけど。




なんだか私の心は晴れていて。





向かい風が心地よくて。






「・・・・・っはぁ。」




校門までたどり着いた時。




君から決して見えることのない死角に身を隠して。









一度も口にしたことのない言葉をつぶやいた。









「ー・・・・・・っすき。」







胸が熱くなって。





涙があふれた。






「すき・・・・・すき・・・・・。」





門に手をついてそのまま崩れる。






俯く先には足をついた地面が見えた。






思わず笑ってしまった。







つい最近芽生えたこの気持ちは。




あっという間に加速していく。





止まることなんて知らない。







いつ、爆発するのだろう。





その時、君はどんな顔をするのかな。




受け止めてくれるのかな。











ドクンドクンと脈打つ心臓を掌でギュッと鷲掴む。






どうか、この想いが枯れませんように。










座ったまま見上げた空はすっかり夕暮れ。





涙を拭うこともなく。




顔を上げたまま目を閉じた。




風の中に冬の訪れを感じた。









片想いの君へ贈る、



私の秘めごと。






おわり




:::あとがき


すっごい突発!!



なんか、あれですよ、寝てる君にちゅー展開を書きたくなって。。。


気付いたらこんなの出来上がりました。




部活が終わって忘れ物を取りに教室に戻った蘭。

そこには幼馴染の新一君がいて。

新一君は偶然を装いらんちゃんと一緒に帰るために教室で時間を潰していました。

しかし昨夜小説を読んでいて寝てなくて本気で寝てしまっていたのです。

そしてそこであることに気付く蘭ちゃん。


そう、新一君が突っ伏して寝ていたその席は・・・

蘭ちゃんの席だった!


なんで?


と頭がこんがらかる蘭ちゃん。


もーその展開に想いがあふれてしまう・・・・


というのを書いてみたかった。


よく逆バージョンはあるじゃないですか!(好きな男の子の席に女の子が座るという)・・・


ちょっと捉え方では新一キモイ!

と思うかもしれないけど・・・


新蘭だし・・・許してやって下さい。



ちなみに新ちゃん本気で気づいてません。

蘭ちゃんうまく逃げ切りました。


で、蘭ちゃんいないことに気付いて落ち込むという・・・・

なんのために待っていたんだというね。



翌日、お互い知られたくない二人はそのまま秘密を隠し通します。

昨日のことに触れることはありません。


だって。


片想いの君へ贈る二つの秘密が重なってしまったのですから・・・




という説明ないと全くわからないお話でした。



失礼しました。




2010.12.06 kako






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