2005年新一誕生日記念小説「Ring」 | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
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※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。

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遠くで鐘の鳴る音が聴こえた。

それを聴くとあの時のあの音が蘇る。

“死ぬ時は一緒だぜ・・・”

そう誓ったあの日。

あれから丁度1年。

俺はまた一つ年を重ねる。

あの時とは違う事といえば。

躰はちゃんと年相応。


そして



赤い糸はちゃんと君と繋がっていたという事。



:::



「ねぇねぇ新一、二人のラッキーカラーは赤だって!!」


雑誌を片手に抱えて興奮したように話すのは。




俺の恋人。




「あーそう。」

「何よそのやる気のない返事はー!!」

「・・・まじ?赤!すっげー嬉しい!やったな!・・・・・・・・ってラッキーカラーは大騒ぎするもんなのか?」


俺がそう言うと蘭はうぅ・・っと不貞腐れたように俺の隣に座ってきた。


「だって・・・まただったんだもん。」

「は?」

「・・・・なんでもない。」


蘭はそう言ってソファに足を上げて腕で膝を抱えそこに顔を置いた。


彼女が言いたい事はわかっているけど。



1年前のあの事件を忘れた訳がない。





ラッキーカラーは赤。





それが俺達を救ったと言っても過言じゃない。


「ね・・・・新一明後日の夜暇?」

「明後日?3日か?」

「うん。」

「暇だけど?」

「本当?」


嬉しそうな顔で見てくる蘭。


彼女が何を企んでるかぐらいお見通しだ。


今年は忘れてない。





けど・・・・・忘れたふりをしよう。





「じゃぁ、その日オールナイトの映画付き合って!!」

「・・・・・・わかったわかった。」


また映画か。
さすがに覚えてても変ではないとは思うけどきっとびっくりさせたいんだろうから・・・このまま忘れたフリを続ける。


「約束よ?夜10時頃迎えに来るからね。」

「・・・・俺が迎えに行くよ。」

「なんで?私が行くってば。」

「バーロ、夜道なんかを一人で歩かれたら困んだろ!」


これだからコイツはいつもどっか抜けてんだよ。
自分が女だってことくらい自覚しろよな。
第一そんじょそこらの女より目立つんだからよ。


「・・・・わかった。じゃぁ待ってるね?」

「よし。」


そう言っているといつのまにやら園子との約束の時間になったとかで蘭は一先ず俺の家から出ていった。


窓から帰っていく蘭の後姿を見つめながら呟く。


「今年も赤・・・・・か。」





:::





5月3日 pm10:00。


毛利探偵事務所のチャイムが鳴る。


「あっ新一!!時間ぴったりなんて珍しいわね。」


ドアから顔を出した蘭はしっかりとめかしこんでいた。
自分とのデートのために彼女が自分を着飾ろうとするのは嬉しい。
ただ一言言ってしまえば着飾る必要などなく、そのままで十分であるのだが・・・・。


より一層魅力的になった蘭の後ろにピリピリとした視線を感じる。


「おじさん、こんばんわ。」

「・・・・おう。」


その視線は彼女の父親。

その顔は不機嫌極まりない。


「蘭のことお借りします。」


俺のその言葉に眉をピクっと上げたおじさん。


「・・・・わかってるだろうが、蘭に変な事すんじゃねぇぞ。」

「ちょっとお父さん何言ってるのよ!!」

「わかってます。・・・自信はないですけど。」

「何ぃ!?」

「しっ新一!?」


親子揃って驚いた顔をしているのに微笑しながら蘭の手を取って。


「行くぞ?」





「え、あ・・・うん!じゃぁ、お父さん行ってきます!!」


俺に手をひかれ近くに置いてあった鞄を手に取り蘭はおじさんにそう言い残した。


「おい、新一!?冗談じゃねぇ、俺は許さねぇぞっておぃコラ!待て!!」


おじさんの怒鳴り声から逃げるように手を取ったまま走った。





「もう!新一ってば何言ってるのよ!」


怒った蘭が腕を振り払ってきた。


「しゃーねぇだろ?お前といて何もしねぇ自信、本当ねーもん。」


さらっといいのける。


「・・・・・・っ。」


一気に赤くなる蘭にまた笑みが浮かんだ。

離された手をもう一度ゆっくりと握った。


「できるだけ我慢すっから安心しろよ。」


「もぅ・・・やだぁ。」


蘭は俺の腕に顔を押しつけてきた。

髪の隙間から見える耳朶が赤い。


「・・・・で?今日は何観るんだ?」


「・・・・・。」


俺がそう問うと蘭は黙ってしまった。


「蘭??」

「まだ、秘密。」

「あ、そ。」


そのままゆっくり歩いて街路地を二人並んで歩く。
夜の闇にライトアップされてなんとなくいい味を出している。


「その映画何時からなんだ?」

「えと・・・・11時から。」

「どこの映画館?」

「米化シティビル。」

「・・・・・・・。」


これってどうなんだ?


ここまであの時と同じパターン。


これでもまだ気づかないってのはおかしいか?


いや・・・でも蘭は絶対なんか企んでるんだろうし。


いいや。


このまま黙ってよう。


「・・・・ふーん。」

「少し前に再改築されてオープンしてからまだ行ってなかったから。」


爆破事件があったもんな・・・って、やっぱり気づいてて欲しいのか?





そんなことを言ってるうちに気づけばビルの前まで辿り着いていた。


映画の看板に目をやると・・・・





“赤い糸の伝説”





「え?」


「今夜限りで特別上演なんだって。」


看板をよく見れば下の方に記述されていた。





『一年前の名作が今夜11時から特別再登場。』





あの事件のあった日だけ特別公開ってか?

すんげー特別企画じゃねーか。


「そういや・・・結局見れなったもんな。」


ここまで言われて忘れていた・・・というのもなんとなく無理があるので仕方なく口にした。


「え?新一覚えてたの?」

「さすがに去年あんな事件があったら忘れねーだろ・・・・。」

「じゃぁ何?知ってて黙ってたの?」

「あぁ、だってお前・・・・・・・・・・・・・いや、なんでもね。」

「何よ?気になるじゃない。」





だってお前俺の驚く顔が見たいんだろ?とは言わないでおこう。





館内に入ると思ったより人は少なかった。
レイトショーだし・・・今夜限りだし・・・そんなこねぇか。


真中の席に座った。


周りに人はいない。


少し離れたところに何組かのカップルもいる。


「新一何か飲む?」

「いいよ、いらない・・蘭は?」

「んー私もいいや。」


腕時計を見る。


「11時、2分前・・・・もうすぐだな。」





ギュ。





急に肘掛に置いていた掌に柔らかい感触を感じた。





「え?」





横に目をやるとスクリーンを見ていた横顔がこちらを向いてきた。





「映画の間だけでいいから・・・握っててもいい?」





「いい・・・けど。」





一体どうしたというのか。
不思議がりながら蘭の思考を伺う。





「今日は・・・・・・ちゃんと新一がいるって感じてたいの。」


「・・・・・・・。」





あの事件の事を思い出しているのだろうか。





“わかってるの?私が今、どんな目に遭ってるか・・・・・”





俺がコナンなんかになっていなければ蘭をあんな目に遭わせる事もなかったよな。


いつもいつもコイツには無理をさせてばっかりで。





本当はどうしようもなく不安で淋しい筈なのに。





掌を動かして指を絡ませる様に自分の掌と蘭の掌を握ってみせた。





「これくらいいつでもしてやるよ。」





なんならずっと離さなくてもいいくらいだぜ?





俺の言葉にほっとしたように微笑む蘭。





ビーーーーーっという音が鳴ると場内は薄暗くなっていく。


何分間かの予告を終えスクリーンに赤い糸が映し出された。





例えただの伝説話だとしても・・・・私達が出会えた事は紛れもない真実。


それを運命だと言うのならば・・・・・何か証拠が欲しいのならば・・・。


そこにあるのは・・・・二人を繋ぐ・・・・赤い・・・赤い糸。





ヒロインらしい女性の声が場内に響く。





正直言ってしまえばこういった少女趣味な話の映画なんて全くといっていいほど興味がないけれど。

なんとなく惹かれるものがあった。





今こうして蘭という存在を手にしたことから生まれた感情によるのかもしれない。


何よりも大切で。


何よりも守りたい。


願わくばそう想える君と出会えたのは運命であるように。


恋というものはこんなにも人の思考に変化を与えてしまうのか・・・と驚いた。





スクリーンの中で恋に落ちた二人の様子を見ていると・・・・





自分達と重なった。





何か惹かれるものを持ち、当然のごとく恋に落ちた二人。





でもそんな二人はいろいろな苦難を迎える。





まるで、コナンになってしまった俺と、新一を健気に待つ蘭のようで。





こんな映画をこんな真剣に見る事になるとは思いもしなかった。





映画のストーリーを追っていくと、あの日の俺達と同じような場面に。


突然の事故によって閉じ込められてしまった女性。


数分の遅れでその事件現場に辿りついた男性。


男性は彼女が閉じ込められてる事を知り絶望する。





どう考えても彼女は助からない運命にあるからだ。





最初は懸命になんとか手立てを考える二人だが、女性の一言で場面は急に変わる。





ふと繋がれている掌に力が篭った気がした。





さり気なくそちらの様子を伺うと・・・・・





目が合った瞬間微笑みながら小声で・・・・・








同時に外でボーンという鐘のなる音が微かに聞こえた。








「ハッピーバースデー、新一。」








『好きよ・・・・・大輔。』








“だって・・・・もう・・・・もう言えないかもしれないから・・・”


『もう・・・言えないかもしれないから。』











あの事件の時の俺達と同じような会話を続けるスクリーンの中の恋人。








「・・・サンキュ。」






『・・・・・だったら・・・・・・俺、ずっと傍にいるから。』





素直に微笑み返した。





“・・・・死ぬ時は一緒だぜ・・・・”





『・・・・死ぬ時は一緒だろ・・・・』








「死ぬ時は一緒だぜ・・・って言葉。」





「すっごく嬉しかったんだよ。」





頭を寄りかけてくる。
ふと香る大好きな匂い。
さらっとした髪の感覚に溺れそうになる。
今ここでキスしたら怒るかな・・・怒るよなぁ、など欲を膨らませては消し去る。





「あの言葉聞いた時は・・・死んでもいいやって思ったよ。」





耳に届く小さな声が段々はかなげになっていく。


丁度映画のヒーローとヒロインの緊急事態の中ゆっくりと繰り広げられる会話に、場面は一気に盛り上がる。





「でも死んだら新一に会えないでしょ?誕生日祝ってあげられないでしょう?」





「『例え一緒に死んでもあなたと同じ場所に行ける保証なんかない。』」





タイミングよく蘭の言葉とヒロインの言葉がだぶった。








フッと微笑してみせる。





「俺はそれでも会いに行く自信はあるけどな。」


「・・・・ばか。」


蘭が耳元で苦笑した。それがくすぐったくて俺も笑ってた。





「蘭、俺欲しいもんあんだけど・・・。」


「え?プレゼントもちゃんとあるよ?」


「その他に・・・・。」


「何?」


気付けば俺は蘭の顎を手で軽く上げ勢い任せに口付けた。


図っての行動なのかどうかはわからないが、


スクリーンの中の恋人達も気付けば女性は助かっていて、二人は甘い口付けに・・・自分達の恋に酔い痴れていた。








『私達が出会えたのって運命って思っていいよね?』


『赤い糸の繋がった運命の恋人だよ。』








そっと唇を離すと蘭の瞳は少し潤んで。


おじさん・・・・やっぱ俺、自信ねーや。


赤い糸の伝説のように小指と小指で結ばれた男と女はちゃんと巡り合い愛を語る。





さぁ、誰の仕業で仕組まれた??





間違いなく俺と蘭の小指にも見えない赤い糸がある事を信じる。


それはきっと切るに切れない。


時には頑丈で、でも脆い糸。





映画を見終わり、ロビーで少し立ち止まって話しをしていると。


「はい、これさっき言ってたプレゼント。」


「お、サンキュ!!・・・・因みに中身は?」


「今月のラッキーカラーは?」


「・・・・・・・・・赤いポロシャツ?」


「んーーおしい。今回は赤のストライプのワイシャツ。」


「へー、ありがとな!!まぁこれは後で見るって事で・・・・・ホラ!!」


蘭に小さなリボンのついた袋を差し出す。


「何?」


「プレゼント。」


「え・・・だって今日は新一の誕生日でしょ?」


「誕生日じゃなきゃ彼女にプレゼントあげられねーのかよ?」


「そういうわけじゃ・・・・・・・見ていいの?」


「どうぞ。」


俺の了解を得ると蘭はその袋を開いた。


中から出てきたのは・・・・・





「・・・ゆび・・・・わ?」


「赤い糸はさすがにしてらんねーだろ?せめてソレくらいはしてろよ。」


「いっいいの?」


「あぁ。サイズあってるか?つけてみろよ。」


「うん。」


そのまま蘭は固まって動かなくなってしまった。


「どした?」


「・・ど・・どの指に?」


真っ赤な顔をして俯いて言う蘭が愛らしい。


俺は蘭の右手を取って薬指に嵌めた。


「お、ぴったし。・・・・とりあえずはここだな。」


「ここにつけてていいの?」


「ったりめーだろ?」


「ありがとう。」


うれしそうにする蘭をみてこっちもうれしくなる。


「・・・とりあえず今日は右手な、左手は・・・また今度・・・な?」


悪戯気に笑って見上げる。



「え?」


「俺の予約済み。」


「それって・・・・。」


蘭は放心状態のようにその場でポカンとしてる。





「・・・赤い糸は小指なのになんで指輪は薬指なんだろうな。」


「えっ・・・あぁ・・・・・言われてみれば。」


「まぁ、蘭のはどっちも俺のもんだけど??」


「っ!!・・・・なんか今日の新一おかしいよ。」


「どのへんが?」


「その・・・・あの・・・・。」


“だって・・・切りたくなかったんだもん・・・”








「あの時の蘭は素直で可愛かったのになー。」


「え?」


「だって切りたくなかったんだもん・・・だもんなー。」


「なっ!!ば、ばか!!」





“赤い糸は新一とつながっているかもしれないでしょ?”





君と迎えられた18の誕生日。


これからも俺達の前に立ちはだかるモノはきっとたくさんあるだろうけど。


俺達が出会えたのは運命。


そう赤い糸を手繰り寄せて出会った二人。


だから、二人は永遠に一緒なんだ。


愛しているよ。


赤い糸の繋がった俺の恋人。





このあと、二人がどのようにして誕生日を過ごしたかは・・・・ご想像にお任せします・・・。


あっ、ひとつだけ。


帰宅した蘭ちゃんが小五郎さんの質問攻めにあったことだけは確かです。




---Fin---

くっさい映画!!!(笑)
赤い糸の伝説・・・こんな映画にしてごめんなさい。
結局どうなったんだよ?笑。
一番困ったのはこの映画主演が日本人だってこと!!
大輔・・とか無難ですよね。
もう少しひねれよ・・・・。
外人だったら候補一杯あったのにーーーーーーー><(変なとこでこだわるな。)
でもでもやっぱ新ちゃんお誕生日っていったら、「時計仕掛けの摩天楼」でしょ!!
赤い糸でしょ!!
映画コミックスひっぱりだしてきましたよ!!
久しぶりに見たけど・・・・
やっぱこの映画いいよねvv
新蘭度カナリ高い!!
なんだかんだコレ一番すきかもーーーーーーーー^^

赤いポロシャツはどうなったのか行方が気になってます。
かってにストライプシャツにしてごめんなさい。

題名の『Ring』の意味には二つあります。
一つはその名の通り“指輪”。
そしてもう一つは“鐘が鳴る”。
一応この小説の中に二つの内容取り入れているのでこの題にしました。
ホラーじゃないよvv(自爆)
誕生日小説・・・・・なのになぁ。
ぱっとしなくてすみません。
しかもよみづらいし話の展開めちゃくちゃだし・・・・
とりあえず遅くなったけど新一君・・・・
お誕生日おめでとうございましたvv

・・・と2005.05.07のkakoが語っていました。

:::後書き


かぁーーーーーーー!!なんだこの小説!!
すんげー無理あるよ!!
しかもしかも・・・・・


色々と無理がありますが・・。

初めて書いた新一バースデー小説でした。

恥ずかしいな・・・・本当。



2010.11.07 kako 



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