片恋06.ライバルにもなれない | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
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※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。



0 6 . ラ イ バ ル に も な れ な い


認める事は別に悪い事じゃない。
恥ずかしくもない。
きっと。
その事に気付けなかっただけ。
でも平気だよ。
今はしっかり認めて、堂々と前を見てるから。
もう心配しなくていいからね。
けど、誰かが心配してくれるって、とっても幸せな事だね。
思い出すと今でも温かい気持ちになるの。




:::




急にいなくなったアナタ。


こんな事今まで体験した事のない私には何が何だか分からなくて。

とにかく。

辛いよ。

今までが当たり前過ぎた。

苦しいよ。

何で?


それくらい自分でも分かってる。
けど、そうやって問い掛けないと惨めになる気がして仕方なかった。


「工藤ー…工藤はやっぱり休みか。そんなにすごい難事件なのか?」


担任の先生が不思議そうな顔をしながら新一の欠席を出席簿に記入した。
欠席の印が二ヵ月分。
こんな事初めてだ。
いくら事件絡みでも一週間を越える事はなかったし・・・だいち警察側が学校に行かせるか許可取るだろうし。
本当に音沙汰無し。
たくっ心配かけて何してるのよ。
連絡位まめによこしなさいよね。


たった一回の何ひとつ真実に辿りつけない電話なんかじゃ私の心は満たされない。


これでも結構淋しいと思ってるんだから。


けど、連絡くれないって事は私なんかに伝える価値もないって事だよね。
居場所を知らせて安心させる必要がないって思ってる・・・イコール、ドウデモイイ。


ショックだな。


新一が私に何も言わずにこういう事するなんて初めてだよね。
新一は今までもこれからも私に何でも言ってくれるものだと思ってたよ。
こうやって私達にはどんどん秘密ができてゆくのかな。

秘密ってものは素敵なものだっていつか新一のおばさまが言ってたね。
けど、こんなに嫌な思いになるのならそんな秘密の存在なんていらない。


調子のってたのかな。私。


何でも話してくれるって事は特別なんだと思ってた。
きっと私を少なからず特別に思ってくれてるって・・・・。


新一がいなくなっただけでこんなにも色々考えてしまって、
悩んで、
胸が苦しくて、
眠れない夜も続いて、
辛過ぎるよ。


こんな事知りたくなかった。
こんな自分知りたくなかった。


なんで今更こんな事に気づくんだろう。





教室に。
廊下に。
グラウンドに。
通学路に。
アナタの存在を見つけようと必死になる毎日。


そして結局アナタは何処にもいない。


どこに行ってしまったの?


置いて行かないで。





「蘭、三年生が蘭の事呼んでるんだけど。」


クラスメイトの茜が私の肩を軽くたたいてドアの方を指して告げた。


ドアにいるのはどこかで見た事のあるような三年生が三人立っていた。
何だか怖い顔をしてる。

あれ?どこで見たんだっけ?


あっ!!わかった。





一年生の頃よく新一の部活してるところ観にきてた人達だ。





嫌な予感はする。
大体予想はつく。
こんな事に慣れたくはないけど、今までも何度かこういう事はあった。


仕方なく私はゆっくりと立ち上がって先輩の後について行った。





人のあまり来ない体育館通路まで連れてこられて、益々嫌な予感が増す。


「急にごめんね、毛利さんに聞きたい事があって。」


一人の三年生が笑いながらそう言った。


「はぁ・・・・。」


一体何を聞かれるのだろうか。
いつも通り、幼馴染の私の存在を目障りだと蹴散らすのだろうか。


「毛利さんさ、工藤くんの居場所知らない訳?」

「えっ・・・知りません・・・けど?」


やっぱり新一関係か。
知ってたら私が教えて欲しい。


「んだよ、使えねー・・所詮アンタも工藤くんにとってはその程度の存在なんじゃん。」


真中に立っていた一番怖そうな感じの人が口を開いた。

使えないって・・・人を物扱い?
失礼にもほどがある。


それよりも何より一番引っかかったのは、

何でこの人にこんな風に言われなきゃならないの?

やっぱり私は新一にとって“所詮”・・・・な存在?



って事・・・・・





「てかさ、前から思ってたんだけどアンタ何様?」


「幼馴染みだかなんだか知んないけど、いつも工藤くんの回りをちょろちょろさぁ。別に彼女じゃないんだったらそんな風にしなくない?はっきり言って目障りだし。」


久しぶりだなこういうの。
入学したばっかりの頃も何度かこういう事言われて・・・・けどどういう訳かいつのまにかパッタリなくなったんだよね。


そういえばその時、本当に悔しくて、でも落ち込んでて。
元気のない私を見て心配してくれたんだよね新一が。
けど、本当に辛かった私は新一のせいだとか言って泣いて怒りながら何もかも話して新一にぶつけたんだよね。


あぁ、確かその後からだっけ。


私が上級生に呼び出されたりしなくなったのって。


でも新一がいなくなったらまた始まっちゃった。


どうして?


「この辺ではっきりさせときたいんだけど、アンタ実際工藤くんの事どう思ってる訳?」


真中の人が髪を軽く掻き分けながらうっとおしそうに問い掛けてきた言葉に思わず動きを失ってしまった。


新一の事?
好き・・・だよ。
連絡がなくて会えない日が続いて。
辛くて淋しくて仕方なくなる位好き。
ちゃんと気づいてる。








けど・・・人前で口にする勇気なんてないよ。








「新一は・・・ただの幼馴染です。」





私の弱虫。





「なーんだ。だったら毛利さんのする事は決まってるじゃない。」


さっきまでの怖い顔とは一変してとびきりの笑顔。


「私は工藤君の事が好き。だーーーーーぃ好き。誰にも譲りたくない。だから毛利さんみたいな人に工藤君の周りにいられるとすごく困るの。わかるよね?」








「二度と工藤君に近づかないで。」








馬鹿だなぁ、私は。





悔しい思いをさせられて、こんな人に負けたくない!って思ってるくせに。


何もできやしない。


これじゃぁ、ライバルにもなれないよ。





:::





「・・・蘭姉ちゃん、どうかしたの?」

「え?」

「なんか元気ないよ?」


あれから家に帰ってきて、ぼーっとしたままソファに座っていたら、目の前に心配そうな顔をしたコナン君。


なんでコナン君には分かっちゃうのかな。


「そんな事ないよ、いつも通り元気元気!」


カラ元気。
私ってば本当に馬鹿だね。
こんなのすぐ見破られちゃうのに。


けど弱った心はこうすることしか出来ないの。


あの時はこんなに気にするって思わなかったのに。
放課後一人で帰り道を歩いていたら思い知った。





今、隣に新一はイナイ。





それはこれから蘇る可能性があるとは言い切れなくて。


これからの人生でもきっとそういう事は何度も私を悩ませて悲しませるんだ。


そういう事ばかりが私の頭の中を独占してしまって。
こんな想いになったのは久しぶりだよ。


今の私には昔みたいに誰かにぶつける事も出来ない。


こんな小さい子にまで心配させて・・・情けないよ。


「蘭姉ちゃん・・・」


そんな瞳で見ないでよ。
アイツの顔が重なる。
弱くなる。


情けない。
情けないよ。


「・・・・っう。」


駄目だって思っても自分をもうコントロール出来ない。


結局私は何が辛いんだろう。
嫌なんだろう。


怖い先輩に呼び出された事?
新一がいない事?
うん。
それは辛いよ。すごく。
嫌だよ。とっても。


けど、何よりも辛くて嫌なのは・・・・・





「蘭・・・姉、ちゃん?」

「ごめっ、ごめんね。」


迷惑かけたくない。
心配かけたくない。


強がりな私は。


強がりで弱すぎるから。












好きな人を好きだと言う事さえ出来ない自分が嫌でしょうがないの。











そしてこんな私は。











この瞳の前じゃ我慢できないの。














「本当は会いたいの・・・・大好きなの・・・・側にいたいのっ・・・・誰にも渡したくないよ。」














「強がってても・・・本当は新一がいなきゃ私・・・・・・・。」














「何も・・・出来ない。」











「・・・蘭・・・・。」





そっと抱き寄せてくれた掌はとても小さくて小さくて・・・・
けれど、新一と同じで温かかった。





:::





「・・・・?」





ふと目が覚める。
あれ?私寝ちゃったの?


辺りを見渡すと真っ暗で夜だって事がわかった。
毛布がかかってる。
コナン君がかけてくれたのかな?


PRRRR


聞きなれた電話のコール音が耳に入ってきた。
受話器を手に取る。


「はい?」

「よぉ!」

「新一!?」

「久しぶりにかけてみようかと思って・・・元気だったか?」


受話器から聞こえてきた声は今、私が一番必要としている人のモノで。
これは夢じゃないかと思わず受話器を落としそうになって咄嗟に両手で支えた。


「元気かって・・・聞きたいのはこっちの方よ、一体今何処にいるの?」

「いやさ、前に話した通り厄介な事件抱えててさ・・・色んなトコ転々としてて・・・。」

「怪我したりしてないでしょうね?」

「してねーしてねー元気だって!」


今度連絡をよこしてきたら、言ってやろうって思ってた事が沢山あったのに・・・・


「ならいいけど・・・早く・・・・・早く帰ってきなさいよ?」


こういう言葉しか素直に出てこない。
新一の声だけに安心して、それだけで十分な自分がいて。


けど、今日の私はきっとそれだけじゃ満足出来ない。


どうしてこうタイミングがいいんだろう。



声を聞いてしまったら、もうどうしようもない。


そこに生まれるのは只会いたくて、側にいて欲しいって感情だけ。


「・・・・・・・・。」

「何で黙ってるのよ。」

「いや・・・・なんつーか・・・・・。」

「何・・よ?」

「なんかあったのか?」

「え?」

「なんとなく元気ないから・・・。」


なんで?


どうしてわかっちゃうの?


気づいてくれるくらい優しい人間なら。





側に・・・・・側にいてよ。





「そんな事・・・・・そん・・・・・な事ない・・・・・もん。」

「今すぐ帰るってのはできねーけど・・・話くらいなら・・・聞くぞ?」


心配してるけどすごく優しくて安心させてくれる声。


馬鹿。


何もわかってない。


そういう優しさは片想いの相手に貰えば貰うほど。





その人への想いを強くさせるだけなんだからね。





「・・・・・・・・ねぇ。」

「ん?」

「私達が高校に入学したばかりの頃、私が上級生によく呼び出されてた時期があったの覚えてる?」

「覚えてるよ。・・・・俺のせいだったんだろ?」


即答でかえってくるとは思わなかったよ。
本当に気にかけてくれていたんだね。

「別に新一は悪くないよ・・・・・なのに私ってば一方的に新一に言いたい事言って逃げ出して・・・・・卑怯者だったよね。」


結局その後、新一に謝ってなかった。

だって、絶対嫌われたって思ってたから。

なのに。

新一ってば。

次の日、何も言わずにいつもどおりの笑顔で私を迎えてくれたんだよね。


「そうだっけ?」


とぼけてる。
こういう時の新一は絶対覚えてる。


「あの時言ってなかったよね。」

「何を?」











一方的に感情をぶつけてしまって。


なのに黙って聞いてくれて。


怒ったりしないで私を受け入れてくれて。








「ごめんね。ありがとう。」





「何が?」





素っ気ない一言だけど。

私は知ってる。




その素っ気なさに含まれた君の優しさを。



「何でもない。・・・そういえば私が新一にその事言った後からそういう呼び出しが一切なくなったんだよね・・・・・何でだろ?」

「・・・・・へ?あぁ、それは・・・・まぁ、お前に言っても仕方がねぇって気づいたんじゃねーの?」


「そうなのかなぁ?」


「つーか、元気がないことと、それがどんな関係・・・・・!まさかまたおんなじ事されてんのか?」


「違う違う!!そんな事もうずっとないよ!てか別に元気だけど?深読みしすぎよ、探偵さん?」


なんでかな。
新一の声聞いたら、馬鹿らしくなっちゃったよ。


あんな事で悩むなんて時間がもったいない。
気持ちがもったいない。


そしてね。


決めたよ。














「とにかく!!早く帰ってきなさいよ!皆心配してるんだから。お夕飯作らなきゃいけないから、じゃーね。」

「へ?ら・・・・・・・プツ。」


思いっきり元気な声で電話を切った。


「~♪」


ガチャ。


ドアからコナン君が入ってきた。


「コナン君どこにいたの?これ、毛布かけてくれたんだよね?ありがとう。」


さっきまで使っていた畳まれた毛布を指してコナン君に近づいてお礼を言った。


「さっきは急に泣いたりしてごめんね?私、もう大丈夫だから。」


ギュっとコナン君を抱きしめて今の私を伝えてみた。


うん。

もう大丈夫。


「お腹空いたでしょ?今作るからちょっと待っててね。」





コナン君が私が放れた後、顔を赤くしながら不思議そうな顔をしていた事は、私は知らない。




:::





翌日。


「あの!」


昼休み、今度は私が昨日の三年生を呼び出した。





新一。
私決めたよ。


もう弱虫な自分にはおさらばするの。


新一が帰ってくるまでに私素直な子になる。


だからーーーーーー・・・・





「ちょっと毛利さん、一体こんなトコに呼び出して何の用なのよ。」


「・・・・昨日、私が言った事・・・・・・前言撤回させて下さい!!」

「はぁ?」





「私も好きです!・・・・新一の事好きなんです。譲るとか譲らないとか、そういう事じゃなくて、最終的に決めるのは新一だけど、私も負けませんから。」





「なっ!?」





「だから、新一が学校に復帰しても私は今までどおり、新一の側にいるつもりです。」





新一が帰ってきたら。
伝えようと思うの。





「失礼します。」








「「なっなんなのよ、あの女ぁぁぁぁぁぁぁ!!」」(三年生)





“好きだから、側にいさせて”って・・・・・・・・。





毛利蘭。


華も恥らう華の女子高生。


好きな人への想いは一直線。


ライバルなんかには負けません。





Fin or NEXT >>




:::後書き


なんかごちゃごちゃvv



「先輩からの呼び出しがぱったりなくなったのは、新一君が蘭ちゃんに嫌がらせした三年生に脅しかけたからです。
あたぼうよ!!です。」
と、2005.12.03のkakoが語っていました。


そばにいるのが当たり前の人が突然となりから消えた。

それは本当にぽっかりと心に穴が空くような・・・

なんともいえない淋しさで溢れてしまうと思うんですよね。

遠距離恋愛の人って・・・本当にすごいと思う!


次は新一(コナン)視点・・・予定?



2010.11.05 kako


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