Fall in LovE with heR.-後編- | S w e e t 

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主に名探偵コナンのノーマルカップリング(主に新蘭)を中心とした二次創作ブログです。
イラストや小説をひっそりと更新中。
気の合う方は気軽にコメント下さると嬉しいです。
※一部年齢指定作品も混ざっていますのでご注意ください。

all in ovE with he.



なぁ。

お前を失ったら、俺は何を求めて生きればいい?


俺はさ。


生まれて、初めてお前に会った時からお前のいない世界なんて考えられないんだよ。




あの温もりを知った今。

安心を知った今。

幸せを知った今。





たった一日だろうとお前と離れるのは苦痛でしかないいんだ。





:::




「・・・蘭?」


「・・・れ?・・・・あなた、誰?」


一瞬で視界が黒く染まった。


「・・何、言ってんだ?新一だろ?ふざけんなって・・・。」


「知らない、新一なんて知らない。」


頭を抱えて蘭は泣きだした。

おい、今何が起きてるんだ?






:::



「ショックによる一時的な記憶喪失でしょう。」


「記憶喪失?」


パニックに陥った蘭を見て通りかかった看護士が医者を呼び検査を行った。


そして判明した病名・・・・といえるのだろうか?


「殺人現場を見た事のショックでしょう。後、以前にも一度同じようなケースで記憶喪失になっていますね?それで脳がショックな出来事に対しナイーブになって記憶喪失になりやすい脳にになってしまった・・・。」


医者のいう事を頭で理解しながらまたあの恐怖が蘇った。
また蘭に自分の存在を忘れられてしまう孤独感・・・・絶望。
毎回思う。


何で蘭なんだ??






取り合えず何を悔やんだとしても今の状況が治る訳でもない。

俺は取り合えず焦っている自分を落ち着かせて蘭の病室に向かった。


小五郎や英理に連絡を取ろうとしても二人とも仕事で連絡が取れずにいる。


一体どうすれば蘭の記憶は戻るのだろう。


蘭の病室の前で一度躊躇ってから決心して二度ノックをして中にいる人物へと声を掛ける。



「・・・・入ってもいいか?」


「・・・・どうぞ。」


一瞬、先刻病室に入る時に怒鳴り散らした俺の声が耳に入り蘭に拒否されるのでは?
と思ったが蘭はすんなりと受け入れてくれた。


「さっきはごめんな?いきなり怒鳴ったりして。」


申し訳なさそうに話しかけると蘭は何も言わずにただ首を横に振った。


その行動に苦笑してベットの横にある椅子に腰掛けた。


「自己紹介がまだだったよな?俺、工藤新一っていうんだ。よろしくな?」


ニッと笑うと蘭は首を傾げて、


「し・・・んいち?」


と俺の名を呼んだ。


名を呼ばれるというのはこんなにも嬉しい事だったろうか?


「新一・・・さんは私と友達だったの?」


新一さんという今までに呼ばれたことのない、いい方に胸が痛んだ。


「・・・友達?んー違うな。」

「じゃぁなぁに?」


恋人だよ。


という勇気はなかった。


「幼馴染ってヤツ。幼馴染ってわかるか?」


俺がそうやって問うと蘭はコクンと頷いた。


どうやら脳の知識的なものではなく本当に人物や過ごしてきた時間だけを綺麗に忘れているようだ。


「小さい頃からずっと一緒なの?」



どう答えるべきかな。
蘭はどんな風に俺のいう事を受止めるんだろう。




「ずっと・・・・一緒だよ。」




蘭はそれを聞くと少しだけ顔を染めた。


条件反射みたいなものなんだろうか?



それから俺は必ず蘭の病室に向かうようにした。


何度も何度も蘭をこんな目に合わせた神林の存在を憎んだ。

きっと今アイツに会ったら俺は何をしだすかわからない。

でも会う度蘭の笑顔が増えていくことの方に神経が回るようになった。




「蘭!今日は土産つきだぜ?」

「わぁ!!美味しそうっありがとう新一さん。」


相変わらず“新一さん”という呼び方は変わらずにいたが本当に蘭は前の蘭と何ら変わりなくなった。
笑った顔も、怒った顔も、悲しそうな顔も・・・・・


目の前の魅力的な少女は記憶がないだけ。


ただそれだけ。



蘭が記憶を無くして5日が経とうとした時、急に蘭から言われた言葉に俺は驚きを隠せなかった。




「ね・・・・新一さんて私の事好きだったでしょう?」


「・・・・・!?」


目を見開いて飲んでいたコーヒーを噴き出しそうになった。


「やっぱり・・・そうでしょ?」


「・・・・・・。」


一体この状況を俺にどうしろというんだ?


目の前には自分の最も大切で、もっとも愛している恋人が自分のことを好きでしょ?と言ってきたわけだ。


これではなんのために今まで隠してきたのかわからない。


「ごめんなさい。」


今にも泣き出しそうな顔でそういう蘭の意味がわからなかった。


「何で・・・謝るんだ?」


「だって・・・・私が記憶喪失になんてならなければ・・・・・その。」


なんとなく蘭の言いたいことは想像できた。


そう、こうなると思ったから言いたくなかったんだ。


「蘭?よく聞け。確かに俺はお前の事が好きだった・・イヤ好きなんだ。それは記憶をなくした今のお前でもかわんねーんだよ。俺が好きなのは記憶がある無し関係なくたった一人・・・」





頭を撫でてやる。






「今ここにいる毛利蘭なんだよ。」








俺の中はいつだって蘭で一杯で。
俺は毎日毎日恋に落ちるんだよ。
すんげー綺麗で素敵な事だろ?
いつもおまえを自分だけのモノしてたいんだ。

愛情ってのは時にはとてつもなく恐ろしいもの。
きっと蘭を手にするためならどんなことだてやってのけてしまいそうで。
例えそれが自分の最も嫌う罪を犯すことになっても。

俺はなんだってやってのける。

気付いた恋に大人とか子供とかもう関係ないんだ。

俺が蘭を好きで好きで・・・・・


躰を重ね合えるのが幸せだ。
お前に触れられる事が幸せだ。


なぁ・・・もし俺達が出会えなければこんな風に笑い合うこともなかったのかな。


もしも二人深く想い合えるなら、
今ここで死んだっていいぜ?




何度お前から逃げて、何度お前を求めた?


どうしてあの日々を覚えてないんだよと言ってしまえば簡単だけど、
夢だと想う事も簡単だけど、



記憶のないお前とだって恋に落ちる自信はあるよ。



自意識過剰?
でも俺にはお前。
お前には俺しかいないって・・・・そう思ったら駄目か?


いつも初恋のような俺達の恋愛は運命。
深い深い想いを互いに持ってるから。


お前の声に、
お前の優しさに、
お前のその瞳に俺は恋するんだよ。




「最近すっごく想うの・・・どうして私は新一さんのことを何も覚えてないんだろうって。
会うたびに想うのよ?
新一さんとの想い出を失った自分が悔しい・・・・。」




「ねぇ?どうして私あなたのこと忘れてるの?」




「いやだよ・・・・・怖いよ・・・・・・何も覚えてない自分が悲しいよ。」




あぁ目の前の存在が儚くて・・・愛しくてしょうがない。


そっとガラスのように扱って抱きしめた。





「新一さん・・・私もねきっと新一さんのこと好きなんだよ。」





やがて運命の二人はまた恋に落ちて、まるで初めてかのように唇を重ね合う。





::::




「えっ?事情聴取ですか?」



最近は蘭のことばかりを気にしていたせいか警察と連絡を取合うのは久しぶりだ。
話を聞けば、あの残酷な事件の容疑者である神林基樹が口を割らないというものだった。

はじめのころはいつもニヤニヤと笑いながらゲームが楽しみだ。と言うだけで最近は他には何も話そうとしないらしい。

そしてつい最近になって急に話だしたらしい。


「俺の口を割りたいんだったらアイツを・・・・工藤を連れてこい。」


それからはその言葉だけを繰り返しているらしく、仕方なく新一へ警察へくるようにと依頼したのだ。


大分日の経った今ではきっと変な気を起こすことはないと思うが、正直あいつに会うことに対して俺は少しの抵抗があった。
しかしこのまま何も進まずに終わってしまうのも自分の好みではない。
新一は取り合えず警視庁へと足を向けた。


「おお!工藤君!きてくれたか。」

「・・・・神林は?」

「すでに取り調べ室にいさせているよ。」



取り調べ室の窓から一度だけ神林を見る。

やっぱり見れば憎悪が生まれてきてしまうが必死に抑える。


「神林・・・工藤君を連れてきたぞ。」


警部がそう言うと神林は腕を組んで俯いていた顔をバッと上げた。


ゆっくりと警部の後をついて中に入る。
神林の表情が一気に明るくなる。


「・・・待ってたよ・・名探偵。」


嬉しそうに新一を見上げる神林。
椅子に座りながら新一は冷たく神林を睨み付ける。
向き合って始まる“話し合い”。


「そんな顔するなよ、名探偵・・・今から楽しい話を始めるっつーのにさぁ。」

「・・・・・あなたは何故そんなに俺に拘るんですか?」

「好奇心溢れているお前に興味があるんだよ。」

「どんな興味です?」

「・・・・まぁそんな急かすなよ。」



「なぁ名探偵・・・俺は神なんだよ・・・・名前にも神の字が入ってるだろう?
俺は偉大な人間だぜ?」


馬鹿かこいつは・・・。


「ちゃんと僕の質問に答えていただけますか?」


神林はつまらなそうな顔をして話し出した。


「・・・・・知ってるか?・・・・人には3種類ある。」

「・・・・。」

「1つは世の中を汚す馬鹿な奴ら、もう1つはそこいらにいるただの凡人、そして俺やお前みたいな優秀だったり特殊な奴。」


指を1本ずつ増やし最終的3本になる。


「ここで問題だ。この中で一番厄介なのはどれだ?」


何が言いたいんだコイツ。


「・・・・僕やあなたみたいな優秀だったり特殊な人間でしょうね。」


「そう!さすがだな名探偵。キットここにいる他の凡人は世の中を汚す馬鹿な奴ら・・・だと思っただろうなぁ。な、そうだろ警部さん?」


神林がおちゃらけたように警部に声を掛ける。


「神林さん・・・一体何をおっしゃりたいんです?」


「またまた・・・・気づいてるんだろ?」


「さぁ?」


神林は頬杖をついたまま俺に顔を近づけてきた。



「優秀だったり特殊なやつは一番暗い闇を持ってるんだよ・・・そうだろ?」



すぐ目の前で囁かれた俺は内心びくついた。
でもなんとか正常心を保つ。


「壊れかけた人間ほど危険なもんはねー・・・・ククク。」


初めて言葉を交わした時と同じ笑い声にまた寒気がした。


でもやっと神林のいいたいことが理解できた。


以前見た資料に神林は会社で大きなミスを犯した。
それからというもの神林の株は下がる一方。
きっとそんな中感じた人間の裏切りにこいつは自分を見失ったんだろう。
そして優秀な自分の中にもうひとつの自分を見つけてしまったんだ。

それが今の神林。

そう、確かに優秀な人間程隠れた影がある。
それは深い深い闇である。
世間に名探偵と騒がれる俺を知り、きっと自分と同じものを勝手に感じたのだろう。
俺を自分の犯罪に巻き込み・・多分俺の自制心を失わせ・・・・・


正義ぶった俺の闇が世間に広まる事を期待した


そうに違いない。


「・・・神林さん知ってますか?」

「なんだよ、名探偵?」



「壊れたかけた人間ほど弱いものはありません。」



それを聞くと神林は急に立ち上がり新一をじっと見る。



「壊れかけた人間ほど・・・・惨めなモノはない。」



追い込みをかけるように俺がそう言ってみせると神林は俺に飛び掛ってきた。


「お前に何がわかるんだ!?おまえだってどっかに俺とおんなじもん持ってんだよ、自分だけ偽善ぶってんじゃねーそ。」


「おい、やめろ!!」


周りにいた刑事たちが神林を止めに入る。


「もちろんです。僕にも闇はあります。でもあなたのようにその闇で道を踏みはずしたりはしない。」

「道を踏みはずしてしまったあなたは・・・・ただの犯罪者でしかない。」

「自分が正しいと思っている時点であなたはただの世の中を汚す馬鹿と変わりません。」



「今日はここでいったん中止だ。工藤君外へ出ていてくれ。」


警部の一声で黙って外へ出る。
後ろで神林の怒声が聞こえている。
あんな勘違いをしている奴のせいで2人の罪なき人の命が消えたかと思うと悔しくてしょうがない。
あんなやつのせいで蘭は記憶を失ったのかと思うと悔しくてしょうがない。

きっと俺も一歩間違えれば簡単に道を踏みはずすだろう。
その時はきっとアイツが関係しているんだろうけど。
でも俺にはアイツがいる限りきっとそれはないんだ。



暫くして取調室から警部と他数人の刑事と警官に抑えられた神林が出てきた。


俺と目が合うと神林はこう叫んだ。


「おい、工藤!ゲームセットの時にいた女がいたろ?あれお前の女だろ??」


「・・・・・。」


「またゲームしようって言ったよな?今度はあの女をターゲットにしたゲームにしようぜ・・・ハハハハ。」


今、こいつなんて言った!?


知らぬ間に新一の拳には力が篭っていた。


そして時はきた。


一瞬の出来事だった。


神林が動いたのだ。


神林を抑えながら隣を歩いていた警官の隙をついて。
拳銃を奪い取り警官を突き倒した。
そして拳銃を自分の前に出し周りの警官、刑事達と距離を作る。


「・・・車、用意しろよ。」


神林の言葉に誰も反応しない。


「用意しろっつってんだろ?!」


興奮しているのか叫びながら銃弾を天井に向けて3発。

婦警も何人かいたのか、
女性の恐怖の甲高い悲鳴が響く。

誰もが最悪だと感じている中。

たった一人だけ

違う考えを持っているものがいた。





「・・・なんでこんな奴の名前の中に神なんて文字が入るんだ?」



新一はぼそぼそと呟きながら神林に近づく


「くっ工藤くん!!」


高木刑事の狼狽した声がその場にいる者達の耳に響く


「・・・近寄んなよ。」


神林の低い声と同時に新一の足元に一発の銃弾が放たれるが

新一はびくともしない。

それどころか更に神林に近づこうとするのだ。


「・・・アイツが何した?お前に何の権利がある?お前は神なんかじゃない」

「ごちゃごちゃウルせえんだよ、早く車用意しろっつってんだ」


神林の1m前に新一は立つ

新一の額に向けられる銃口

誰もが唾を飲む





「さよなら日本警察の救世主。」





バァンッ





銃声とともに伸びた新一の腕が神林の手を取り
手首を壁に殴り付け拳銃を放させる。
床へ落ちようとする拳銃を素早く取った新一は
一気に床へと神林を押さえ込む。
そして神林の上に座るようにして神林の動きを止めて神林の額に銃口を押しつけた。

一瞬で形勢は逆転

誰もが今目の前で起きたことを必死に飲み込もうと努力しながら
犯人の上に乗って銃口を向けている探偵に目をやる。


「なんでお前なんかのせいでアイツがあんな目にあうんだよ。」


もはや神林に抵抗はない
それどころか
恐怖に怯えているのか体が震えている

周りの人間には死角になって見えていないようだが
新一の目は先程までの神林など相手にならない程の冷たい目をしている

誰がみても恐怖で襲われるだろう


「お前に人の命を奪う権利がある?いやないだろ?」


新一は内心おかしくてしょうがなかった
自分の何よりも大切な人を不幸な目に合わせて
罪なき人の命を何の理由もなく奪ってきたやつが
今自分の行動でこうまで怯えているなんて
馬鹿馬鹿しくて
でも許せない

こいつに自由なんて与えちゃいけない

たとえ牢獄だろうと・・・

場所を与えてはいけない



神林は確信した



自分は殺されると



この青年に殺されると



この青年の闇というものを甘くみすぎていた



時間が止まったように目に写る光景に
一人だけ素早く反応した刑事がいた


新一が引き金を引く寸前にその場に響いた声









「工藤くん!」









カチッ









一瞬本当にそこには何も音がなくなったと誰もが感じた。


新一が引いた引き金は弾を神林の頭に貫通させることなく小さな音だけ出して新一の手に持たれたままになっていた。


「・・・・・俺はお前とは違うんだよ。」


目の前で涙を流している神林を見て新一はそう呟いて体をどけた。



それに気づいた高木刑事が急いで神林に手錠をかけた。



ふと隣で俯いている新一に声をかける。


「く・・・工藤君?」


「・・・・・・・。」


返ってくる言葉はなく沈黙に高木刑事が胸をざわつかせると、


「すみません!ちょっとかっとなっちゃって・・・・ハハ。」


ぱっと明るい表情を浮かべて拳銃を高木刑事に差出しそう言いながら新一は立ち上がった。


「工藤君・・・?」


高木刑事はなんとなくそんな新一に違和感を覚えた。



目暮警部や他のここにいた人物がだんだんともとの行動に戻っていく。

神林の姿はもうここにはなかった。



「・・・・大丈夫です・・・・最初から弾切れだということには気づいてましたよ。
ただ・・・何かでアイツにわからせないと・・・やりきれなくて。」



そう言った新一に偽りがあったのかなんて高木にはわからなかった。

とりあえず目の前の少年は確実に心を痛めていることに違いない。


目の前の彼を癒せるたった一人の存在が今その存在さえも癒しを求めている状況を悲しく思う。

そして神林という男に嫌気がさす。


救えない男だ。


でも優秀だったり特殊な人間が一番危険だとしたら・・・・・



人が作り出した事件というものを解くことはきっといつかは出来ることだ。


けど人というものの・・・・


人というものだけはいつになっても理解できない・・・・そんな気がする。


人間ほど複雑で愚かで、脆く儚いものはない。






きっと、今日の出来事で神林という男の事件は解決したといえるだろう。
先程高木刑事から急に小さな子供のように泣き出し事件を起こした理由など全て話始めたという連絡が入った。




“ターゲットはあの女にしようぜ”



と軽く笑いながら言った神林を心のそこから消してやりたいと思ったのは事実。
確かに弾が全部切れていたことはどこかで気づいていたけど、
それさえも気づかないほど理性を失っていたとしたら間違いなく俺は・・・・



アイツを殺そうとした。




真実を求めて犯人を追い詰めてみすみす自殺させてしまったら、殺人者となんら変わりないと自覚しているはずなのに・・・・


今回俺は自殺どころか俺の手で消そうと思った。



俺のこんな闇の部分を知ったらアイツはどうするんだろう。




正直怖いな。


それでも・・・・・


やっぱ受け止めて、理解してくれるんじゃないかって思ってしまうけど・・・・・




本当自分は自分勝手な人間だと思う。




この傷を負った心を癒して欲しくて俺はそのまま警察病院に向かっていた。




----502号室
毛利蘭




きっと寝ているだろうな・・・と思いつつノックをして返事を待つ。

やっぱり返事はかえってこなくて。


静かにノブを回して、中を覗くとベットで横になっている蘭がいた。


近づいて蘭の顔をじっと見つめる。



「・・・・そんなことしても・・・お前のためにはならないよな。」




愚かなヤツの命を奪ったとしても蘭の記憶は戻らないし、蘭は喜んだりしない。


きっと泣いて悲しむお前を想像できたからあの時俺は自制を失わなかったんだよ。


眠った瞳が開いた時、記憶が蘇るといつもいつも願って見つめていた。

でもそれが叶った日は今のトコロない。



「蘭?目が覚めたら・・・・・3度目の記念日のお祝いしようか?」


そう言いながらそっと顔を重ねて。



“お姫様は王子様のキスで目覚めました。”



それが事実だとしたら何度だってしてやるよ。



少しベットから窓のカーテンを開けて、外を見る。



「・・・・蘭の好きそうな天気だな。」


起きたら散歩にでも連れていくかと思いついて振り向くと・・・・・・・





「・・・・新・・・・一?」




「・・・あっ目、覚めたのか?」




「・・・・ここ・・・どこ?今日は3度目の記念日のお買い物行ってたんじゃなかったっけ?」




「え・・・・?」




「ねぇ、なんで私こんなトコに・・・・・・・・新一?」




久しぶりに呼び捨てにされる自分の名前を愛しく想う。

久しぶりに呼び捨てで自分を呼ぶ声を愛しく想う。




「新一・・・・どうしたの、嫌なことでもあったの?顔・・・怖い・・・・っ。」




一瞬で俺の腕の中に収まる蘭。




「新一・・・苦しいよ・・・痛い・・・・・ねぇ・・・何で?何で・・・っ私涙が出るの?」


蘭の瞳からポロポロと涙がこぼれ始める。


「・・・・・記念日を迎えられたのが嬉しいんだろ?」




もしも、これからもこの先もずっと深く想い合って
愛し合うことが出来るんなら、
例え、ここで時を終えたとしても
俺はな・・・蘭。


ずっとお前に手を伸ばしていられる自信があるんだよ。




今年一番の幸せは今日もこうしてお前と一緒にいれて、
記念日を迎えて、
今日もお前の傍にいれることだよ。


また今日も俺はお前に恋をする。






Fin---






後書き:::


めっちゃ長くてごめんなさい。
この小説大塚愛さんの「Cherish」をもとに創作しました。


歌詞が所々パクッててごめんなさい。



特に言い訳することはありません。

言い訳しだしたらキリがないほどツッコミどころ満載なので。



後編も読んでいただきありがとうございました。




2005.03.26 作品



2010.07.22. kako








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