お前だけ。あなただけ。
幸せなコト、それは君しかいないと思えるコト。
つまり。
俺にはお前しかいないってこと。
そう。
お前だけ。
:::
「もうあんな奴知らない!!!」
お昼の時間。
教室が騒がしい中、それでも一際目立つ声で叫んだ女生徒がいた。
「ミキ、どうしたの?」
蘭は友人のその様子にただならぬものを感じて、そっと問いた。
「蘭!聞いてくれる??あのね、カズキの奴・・・浮気してたのーーーー!!」
怒声をあげながら瞳に一杯の涙で訴える友人。
蘭は取り合えず落ち着かせようと背をなでながら椅子に座るよう促した。
「大丈夫だから・・・ミキ落ち着いてゆっくり話して?」
周りにいた数人の友人達も何事だ?と近づいてきた。
どうやらミキは彼氏に浮気をされていたようだ。
「・・・・カズキ・・・最近ずっと連絡取れなくて・・・私と一緒にいても楽しそうじゃないし・・なんかおかしいなって思ってたの。」
「うん・・。」
「どうしても気になって・・・カズキのバイト先に行ってバイト終わるの待ってたら・・そしてら・・・っつ・・・。」
ミキはそう言いながら歯を食い縛って涙を必死に堪えるようにして。
「同じバイトの女と仲良さそうに腕組みながら出てきて・・・・・・・。」
あまりにもミキの泣き顔を見ているのが悲しすぎて・・・蘭はミキを抱きしめて。
子供をあやすように頭を撫でた。
「・・・っ本当に・・・本当に好きだったんだよ?・・なのに・・・っひどいよ。」
「うん、・・うん。」
「ずっと一緒にいようって・・・・私だけって・・・言ってくれたんだよ?」
「うん。」
ただただ頷いて、何度も何度も髪を撫でてあげる蘭。
しだいに周りの女子達も上から覆い被さるようにソレに続いて抱きしめた。
「ミキ・・・そんな奴のためになんて泣くな!!あんたにはもっとイイ男がいる!!」
「そうだよっ!!カズキにミキはもったいないよ!!」
「・・・っありがと・・・ミンナありがとーーー。」
ミキはそう言って更に泣き出した。
周りの友人達も一緒に泣き出した。
どうして?
どうして人は平気で嘘をつくんだろう。
嘘をつかれた方の気持ちが本当にわからないんだろうか。
それに・・・・。
どうして?
どうして・・・他に行こうとしてしまうんだろう。
他に行かれた方の気持ちを少しでも考えたコトはあるんだろうか。
どうして・・・。
お前だけ。
あなただけ。
にできない?
悲しすぎる人間の性に蘭は胸を強く締め付けられた。
:::
「うたったーーーーー!!」
結局あの後、蘭と数人の友人達はミキを励まそうと急遽カラオケに行くことを計画した。
カラオケが終了した頃にはミキにも笑顔が戻ってきていて。
次の恋だ!!とはりきっていた。
でもそこにいるミンナは気付いていた。
きっと、家に帰れば、ミキはまた涙を流すのだろう・・・・・と。
本当に好きだった・・・でも裏切ったあの人を想って。
帰り際みんなと別れて蘭が一人となる帰り道の方に行こうとするとミキが走り寄ってきた。
「蘭・・・今日はありがとね。」
「いいんだよ・・・・元気でた?」
「もう、ばっちり!!あとで蘭と皆にお礼しなきゃね。」
そう笑うミキ。
なんとなく胸が痛む蘭。
やっぱりどこか辛そうだから。
「あのね・・・・カズキの事・・やっぱり、まだ全然好きなんだ。」
小さな声で聞かされた事実に蘭はそれほど驚かなかった。
「浮気されたのは悔しいけど・・・それは今思えば私に落ち度があったから他の人に目がいっちゃったわけだし。でも・・・きっともう取り戻そうとしても取り戻せないって・・なんとなくわかるから・・・今回はカズキのせいにしちゃおうって思う。」
「・・・・いいんじゃない?・・・また他に好きな人が出来たら、今度こそミキだけを見て貰おうとすれば。その時に落ち度があったとかそんなこと何も関係なくなってるはずだもんね。」
「・・・私だけ・・・・って言って貰えるようになりたいな。」
「ミキなら大丈夫だよ。絶対生涯、ミキだけ・・・ミキもその人だけ・・って思える時がくるから・・・がんばろうね?」
「・・・ん。」
ミキが笑った。
それは本当に自然に笑った笑顔だった。
「・・・・・蘭はイイ人と出会えて良かったね。」
「へ?」
急に話を自分にふられて唖然とする蘭。
「だって、工藤君は間違っても浮気なんかしないもの。」
「そう・・・・かな?」
蘭はそう言われてはっとする。
そんなコト考えた事なかった。
新一に浮気される?
「そうだよーーーーもう蘭がいなきゃ生きていけないって感じじゃん!!」
「そんなコトは・・・。」
「でも本当、絶対工藤君は蘭を悲しませる事はしない・・・言い切れる。」
「・・・・ありがと。」
「あっ!私の家こっち・・・じゃぁ今日は本当にありがとう・・・私にはみんないてくれるんだって思ったらすごく心強くなったよ。」
「そうだよ・・・ミキにはみんなついてるよ!また明日学校で。」
そう言って別れを告げた後、蘭は家とは反対の方向に足を向けた。
:::
ドアノブに手をかけてゆっくり回すけど。
鍵がかかっているようで開きはしなかった。
「お掛けになった電話は現在電波の届かない所にあるか電源が入っていません・・・」
その家の家主の携帯に連絡を取っても応答がない。
蘭はなんとなく今日の出来事を思い出し不安になってしまった。
ミキはああ言ってくれたけど、所詮新一も健全な男子高校生。
本当にありえない?
蘭は玄関のドアを背にしてその場に座り込んだ。
無償に淋しくて、恐くて。
このまま彼はどこか他の場所へ行ったまま自分の所へ帰ってきてくれなかったら?
また?
ふと空を見上げるといつのまにか真っ暗で。
星がキラキラと輝いていた。
腕時計を見ると夜の9時をさしていた。
今気付けば最近まともに連絡を取り合ってなかった。
事件が続いていて。
―――本当に事件?
蘭の頭のなかはいつのまにか、カズキと同じ行為をしようとする新一が浮かんできてしまう。
そんな事はない。
そんな事はありはしない。
信じている。
信じている・・・・はずなのに。
「早く・・・っ帰ってきてよぉ・・・。」
抱えた膝に頭を埋めるようにして呟いた一言。
夜空に星が一瞬に流れた。
けれど、私は気付かない。
その代わりー・・・・
「蘭?」
「しん・・・いち?」
はっとして顔をあげる蘭。
目の前には驚いた顔をしている新一。
蘭はそのまますぐに起き上がって新一の胸に飛び込んだ。
「おっおい蘭?・・どうしたんだよ?」
「・・・・・・・。」
何もいわずにただぎゅっと抱きつく蘭。
「・・・ずっとこんなトコで待ってたのか?あぶねーだろ?」
蘭は新一の胸元から顔をあげようとしない。
「博士に鍵借りるとか・・・いろいろあんだろ?」
「・・・・なんで電源入ってないのよ。」
「へ?」
「どこ行ってたの?本当に・・・本当に事件だったの?」
「・・・・・ら・・・ん?」
「他に・・・・行きたくなっちゃった?」
「おいっどうしたんだよ?何言ってるんだ?」
「っだって・・・・・!!」
::::
「で?・・・・蘭は俺にそのカズキとかいう奴みたいに他に女がいるんじゃないかと?」
コクンと頷く蘭。
蘭は今日あったことを新一に話した。
するとはーーーーっと深くため息をつく新一。
「俺って信用ねーの?」
「・・・・・・・・。」
たくっと言った感じで頭をクシャクシャと掻き乱した新一はその後蘭の前に立って深呼吸してこう言いのけた。
「俺には・・・・お前だけだよ。」
「だから今も、これからも・・・・・他に行ったりしねーよ。」
「・・・・・・。」
「わかったか?」
少しだけ頬を染めて視線を逸らしてからデコピンを一つ・・・・言われた一言に蘭は呆けてから。
そっと笑った。
「私も新一だけだよ。」
幸せなコト、それはあなたしかいないと思えるコト。
つまり・・・・私にはあなたしかいないんだよ。
そう。
あなただけ。
FIN
:::後書き
HAPPY ENDINGの次はまたもや浮気話。
今度は新一が浮気してたら?編です。
ないだろうけどね!!
最近ポルノばっか聴いてるkakoでした!!
2005.07.01 作品
2010.06.01 kako
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