2016年6月11日に30回目となった結イレブン。今回は初の遠方での出張開催、東京都八王子市にある「アミダステーション」にお邪魔して、避難と避難解除について考えました。

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第一部:県外・広域避難とは、避難解除とは~『原発避難白書』『廃炉図鑑』をひもとく~
(話し手:鈴木亮 A SEED JAPAN)

【葛尾村避難解除目前!一方、広域避難者は、未だ11万人】
鈴木:「みなさん忘れがちですが、現在も原子力緊急事態宣言発令中です。そして、避難者も未だ多いですが、避難には分類があることを知っていますか?
避難指示は8万人、県民200万人の4%です。県内避難は約5.5万人で、強制避難と区域外避難で県内の人を指します。県外避難は約4.5万人で、強制避難と区域外避難で県外の人を指します。広域避難は11万人を超えています。
避難指示は、ちょうど明日、6月12日に葛尾村が全村解除予定です。広域避難の受け入れ先は増えていて、それぞれの自治体で住宅支援等の制度を用意しています。」
 
【避難の種類ごとになされるべき支援とその課題】
鈴木:「賠償金の金額の基準が交通事故と一緒なんです。また、将来計画の、区域外避難の苦しみ、叶わない「帰りたい」気持ち、「放射能恐怖症」という誤解など(『原発避難白書』より)の課題が残されています。そして廃炉費用の問題ですが、2014年までに5,912億円かかっており、10年で2兆円(『福島第一原発廃炉図鑑』より)です。
 避難の分類別にみても、それぞれに応じた支援・取り組みが必要です。なお、避難解除のテーブルと広域避難のテーブルにおける20mSv基準の見直しの議論には差があります。」


第二部:現場からの報告

【都内で県外避難者の支援を続ける~矢内寿氏(ふんばろう福島)】
私は「ふんばろう東日本プロジェクト」で、新宿にて活動を開始しました。
活動として、ふくしま避難者の集いや、借り上げ自治会やNPOなど当事者団体への活動資金支援、仮設住宅自治会活動の支援をしています。今後は、復興公営住宅のコミュニティー形成支援、当事者団体と支援者のシンポジウムや、スタディーツアーを考えています。

空間線量率は基準以下の地域が増えていますが、ふるさとに戻らない人も多いです。様々な理由がそこにはあります。「生活環境の未整備」という理由が最大のネックとなっていますが、そのほかに、「震災前からの付き合いが変化し、ふるさとへの愛着も薄まった」という理由も高い割合となっています。

160611矢内氏

【地元が国と対等意識を持って復興計画を~原田洋二氏(浪江復興塾)】
私は浪江町出身です。震災をきっかけに、このままではいけないと思いふるさとへ戻りました。まずは2年間復興委員をやりましたが、行政サイドで進む復興計画は住民の思いをしっかり汲んでいないと感じ、「なみえ復興大学」立ち上げたのです。

500分の1のスケールで町を再現したところ、「思い出の集積場」としての町に戻りたいという住民の思いを感じました。帰りたい人が帰れる町づくりをしたいです。

なんと言っても国(東電)などの加害者の論理で復興計画が進むのが一番嫌です。地元行政が国と対等意識を持ち、復興計画を作ってもらいたいと思います。例えば「博物館」を作るとか良いのではないでしょうか。

160611原田氏

【八王子で県外自主避難者の保養と、地域に根差したエネルギーづくり~宮元万梨子氏(福島こども支援八王子)】
「アミダステーション」を活動拠点に、2012年から、おもに自主避難している人たちを対象に、ふくしまの親子を招待して交流合宿をしています。現在は福島の広い範囲からの参加があります。栄養士や地元農家協力のもとでの食事会もあります。これからも、地域のお母さんたちをつなげたり、相談に乗ったりしたいと考えています。

また、「はちエネ&市民電力」ということで、現地での発電支援も行っています。博物館に使う電力の発電、東京の中小企業経営者による発電所設置などです。市民発電とともに、南相馬に訪問し、夢気球イベントも行いました。行政の支援も得て、地域との連携を進めています。

160611宮元氏

【本田紀生氏(元気になろう福島)】
活動としては、おもに中間支援を行っています。田村市にある「蓮笑庵」を福島の拠点としたいです。また、「くらしの学校」をつくりました。川内村の農業復興、大熊町のコミュニティ再建などにも取り組んでいます。福島県の復興はこれからが正念場ですし、産官民学連携が不可欠です。大手企業の協力の元、浜通りの農業復興の事業を現在進めていますが、ますますの支援を呼びかけたいと思います。結イレブンも30回を数えましたが、福島県も様々な事業助成を行っていますので、そういう資金も活用していきたいと思います。

160611本田氏


第三部:東京で出来る事~買う、行く、働く、学ぶ、語る、交わる~

会の後半では4つのグループに分かれ、白熱した話し合いを経て、発表を行いました!
Aグループ【現地へ気軽に】
 実際に福島を見て、「自分で感じる」ことが一番で、これに尽きると思います。「元気になろう福島」にて、1万円からの参加費で現地の案内ツアーに参加可能です。
Bグループ【観光・巻き込み】
 観光!
Cグループ【文化・交流の歴史】
 震災後の悲惨な写真などが展示されることは多くあるが、そうではなく大切なのはそれぞれの地域の歴史的な文化ではないか。歴史的つながりの継承が出来れば良い。歴史的つながりがある自治体間同士で、出張展覧会をしてみても良いのではないでしょうか。
Dグループ【場づくり・結イレブン】
 結イレブンがネットワークコーディネートすべきです!!!スポンサー探しに自治体、大学などへアプローチしていくことも重要と考えます。

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最後に
 今回は販売も好調でした。30回の節目で、遠方開催の可能性をさらに広げる有意義な時間となりました。
 
(ライター:わーすー)

    

結イレブンの年間チラシはこちらです!⇒https://drive.google.com/file/d/0B9k20QuFwb02UW5mOTAtdHZTWUE/view?usp=sharing