塩沼亮潤著「歩くだけで不調が消える 歩行禅のすすめ」を読みました。
先日読んだ「先祖返りの国へ」の中に、塩沼亮潤さんのことが話題に上がっておりました。私も塩沼さんが教える「歩く瞑想」というものに興味があって、本書を購入しました。
著者は、仙台市にあるお寺の住職で、苦行である「大峯千日回峰行」という修行をされてきた方です。本書では、千日回峰行と仏教の教えをベースにした心のエクササイズ「歩行禅」について教えてくれています。
「大峯千日回峰行」とは
奈良県吉野山の金峯山寺蔵王堂から大峯山と呼ばれる山上ヶ岳までの往復４８キロメートルを一日16時間かけて歩き、それを1000日間、雪で山が閉ざされる期間を除いて足かけ9年にわたり続けるというもの。
道中は高低差１３００メートルの険しい山道。危険はいたるところにあり、一瞬も気が抜けません。いったん行に入ったら、絶対に途中でやめることは出来ないという掟もあります。文字通り命がけの行でした。
山道をひたすら歩きながら大自然の法則を学び、人間について、この世の定めについて、考えに考え抜いた千日回峰行の9年間。ここで得たもっとも大きなもののひとつが「人生の歩み方」についての悟りでした。
私にとってすべての行は、自分の人生の定めであり、そのなかでどんな状況であっても常にポジティブに考えられる、いつもプラスの思考ができるようになるための訓練だったと解釈しています。
【私の感想】
毎日山道を歩き続ける修行を通じて、プラスの思考ができるようになったと語っています。私が思い出したのは、トレイルランナーのスコット・ジュレクの著書「EAT&ＲＵＮ」です。スコットは山道を走りながら自問自答を繰り返します。そうして山道を走ることを通じて心の平穏を得ていきます。頭の中にある受け入れがたい現実を、身体の限界に身をおくことから、どう生きるべきかをつかんでいきます。私が思うには、スコット・ジュレクのトレイルランと、塩沼さんの「千日回峰行」で得た考え方は大きな共通点があると思います。
最近の私は、特にイライラしたり落ち込んだりしてしまうことがあり、塩沼さんやスコット・ジュレクのような「心の寛容さ」を持ちたいです。
歩行禅の効果とやり方
・歩行禅は、千日回峰行にヒントを得て、歩行（ウォーキング）と座禅と瞑想を組み合わせたもの。
・アメリカの精神医学誌に掲載された研究発表で、
軽いウォーキングなどの有酸素運動と瞑想を組み合わせると、うつ病の症状が改善し、前向きな気持ちになることがわかった、と書かれています。
・歩くことで脳の血流が良くなり、頭の働きが活性化します。
・歩くことにより、幸福感をアップさせる「セロトニン」という脳内ホルモンの分泌量が増えることがわかっています。
・歩行禅の一番のメリット。ポジティブになり嫌なことをプラスに考えられるようになる。
・まず「体幹を使って正しく立つ」。背中を伸ばし、肩甲骨を中央に寄せて胸を開く。
歩行禅の基本は3ステップ
１、「懺悔」：歩きながら、「ごめんなさい」を唱える
２、「感謝」：歩きながら、「ありがとう」を唱える
３、「坐禅」：瞑想して、今の自分と向き合う。
【私の感想】
先日、職場の上司が疲れて落ち込み気味な私に対して、「休みをとって歩いてきなさい」と助言してくれました。2時間ほど歩いてくると、本当に落ち込んだ気持ちが晴れて、肩の凝りが一気に取れた感じになりました。それからの私は、意識的にウォーキングをやっています。
本書を読んで、歩きながら「ごめんなさい」「ありがとう」と唱えることもしてみました。心の中で唱えていると、仕事の関係者、プライベート、過去にお世話になった方に、謝りたい気持ち、感謝の気持ちが湧いてきます。今の目の前の課題についても、余裕のなくなりイライラしがちな頭が寛容になる感じがありました。
大自然の中で歩行禅を
・お山は、自分自身との問答を重ねる瞑想には最高の環境です。
静かであること、野鳥のさえずりが安らぎを高めること。生い茂る植物に生命感が満ち溢れていること。
・事実、空海の開いた高野山、最澄の開いた比叡山、密教僧や修験者の修行した吉野から熊野にかけての大峰山など、いずれも山です。
みなさんも一度はぜひ、緑豊かな場所で、大自然のパワーを感じながら「実践」してみていただきたいと思います。
【私の感想】
空海も最澄も、塩沼さんも、山を歩いて修行したと思うと、私も山を歩きたくなり、早速歩いてきました。山道は、人とすれ違うこともほとんどなく、マスクをしないで歩けましたし、快適でした。今日の私は、身体が辛い所までは追い込まず、気持ちよいペースで歩いただけですが、日光を浴びて、汗ばむくらいの運動ができて、頭の中もすっきりして、山を歩くことは、良いことづくめに思えました。
私も地元は、身近に山道があってありがたいな、と思います。
ありがとうございました。