皆様、こんにちは!本日も昼休みに、更新いたします。
大分県臼杵市唐人町、陶山歯科医院院長の陶山直昭です。


先日の日曜日ですが、大分県歯科医師会館にて行なわれた
「がん患者歯科医療連携講習会」を受講したわけなんですが
がんの特徴や、その治療法について…専門外の私であっても
実に理解しやすく、本当に有益なセミナーだったと思います。

がんの治療法には、手術放射線療法、そして化学療法
3本の柱があり、我々歯科医師に関連する口腔領域において
抗がん剤副作用である、口内炎が問題となっております。

抗がん剤と言っても、本当にたくさんの種類がありまして…
様々な種別に分類され、作用機序も異なっているわけですが
がんの種類や患者さんの状態により、主治医が的確に判断し
その患者さんに使用する抗がん剤が、決められるんです。

ただ、どんな薬にも「治療域」というものが存在しておりまして
下の図のように、薬の効果と副作用が出現する投与量の
広いほど、その薬は「使い勝手が良い」と言われています。
こののことを「治療域」というわけですが、抗がん剤
「治療域」が狭いため、副作用が出現しやすいんです。

陶山歯科医院・徒然日記-薬の治療域
(抗がん剤の治療域の幅は、たいへん狭いんです。)

抗がん剤の中にも、副作用として口内炎が出やすいものがあり
下記に示した薬は、口内炎の発生頻度が高いとされています。

・植物アルカロイド…塩酸イリノテカン、エトポシド
・アルキル化剤…シクロフォスファミド、メルファラン
・白金化合物…シスプラチン
・代謝拮抗剤…5-FU、カペシタピン、シタラピン等
・微小管作用役…ドセタキセル水和物、パクリタキセル


こうして薬の一般名を羅列しても、頭が混乱するだけですが
アルキル化剤代謝拮抗剤は、口内炎が起きやすいそうで
その中でも代謝拮抗剤である5-FUや、メソトレキセート等は
高い頻度で口内炎が現れることが、多いと言われていまして
まずはそれらの薬から、憶えておいた方が良いと思います。

口内炎抗がん剤投与後、1週間前後で出現するそうですが
酷くなると口腔内全体が潰瘍化し、嚥下障害を伴うんです。
通常であれば粘膜が再生する、10日目ぐらいに治りますが
次の抗がん剤投与サイクルが始まったり、感染が酷い場合は
たいへん治りにくく、食事をとれなくなることもあります。

そうすると治療に対する意欲も低下し、精神的苦痛が生じ
場合によっては薬の量を減らしたり、中止も余儀なくされ
がんの治療そのものにも、大きな影響を与えてしまいます。

最近になって、手術前から口腔ケアを行なうことにより…
抗がん剤投与後の口内炎を、軽減させることが注目されて
また投与後も、口腔ケアを実施することで口内炎を予防し
加えて術後合併症も防ぐことが、認知されてきました。
がん治療口腔ケアは、絶対に切り離せないものなんです。