ヌングイで私たちはある1人の現地人と知り合った。
アミッシーというバーバーショップを営む男性だ。
彼との出会いはヌングイに向かうダラダラという乗り合いトラックの中。
彼はブラウン管の小型テレビとステレオコンポを持って、乗り込んできた。
私たちの隣に座り、明るい笑顔で「日本人か?スワヒリ語は喋れるか?」と英語で話しかけてきた。
「日本人だよ。スワヒリ語は話せないけどスワヒリ語ブック持っているんだ。」
そこから会話ははじまり、車内では世間話をしたり、スワヒリ語ブックを使って簡単な自己紹介をしたりして過ごした。
この時はまだ私たちは彼のことを警戒していた。
こうやって近づいてきて、後からお金を要求してきたりする輩が多いからだ。
バスがヌングイに近づいてきた時、アミッシーがこう言った。
「バスステーション近くには悪い客引きが多いから、俺が君たちを宿まで案内してあげるよ」と。
ええ?君もそういってチップよこせとか請求する仲間なんじゃないの?
という思いを心に抱きながらも私はなんとなく、なんとなくだけど、それまでの会話の中で彼は信用できるかもという気持ちが芽生えつつあった。
マサはこの時もまだ警戒していたらしい。
バスステーションに着くとたくさんの客引きが私たちに声をかけてきた。
そんな客引き達から私たちを守りつつ、宿に案内してくれるアミッシー。
「ところでアミッシー、そのテレビとコンポはどうしたの?」
と尋ねると、
なんと明日、アミッシーのバーバーショップがオープンらしく、お店の備品として購入したということではないか。
「俺の店は宿に行く道の途中にあるから、この荷物だけ置いてもいいか」
ということでアミッシーのお店にいくことに。
この時、アミッシーのお店はまだ壁紙が貼り終わったばかりで何もない空間でした。
「これから準備するんだ!」と張りきっているアミッシー。
そして自分の荷物を置いたアミッシーは私達を宿へと案内しはじめた。
私の荷物まで持ってくれた。
「ここはインターネットができるんだよ。ここは絵が買える。ここはスーパー。」と宿までの道を歩いている間、アミッシーはガイドのようにいろんなことを教えてくれた。
宿に無事に到着するとアミッシーはお金の請求をすることなく、「またね」と去っていった。
この時点で私は彼を信用できる人間だと思ったがマサはまだ少し疑っていたらしい。
ビーチでのんびりしてから町へ繰り出すとアミッシーに再び出会った。
「店が完成した!」ということなので見に行ってみることに。
うわああ!
さっきまで何にもなかったのにテレビも映るし、音楽も流れるし、お客さんが座る椅子や、鏡、台、全部が完成している!!
すごいすごい!と興奮する私達。
アミッシーも嬉しそう。
「このあと予定はあるのか?」と聞かれ「夕日を見にいこうと思っているんだ」と伝えると
「もう日没まで時間がないから僕が案内するよ!」と言われ、ついていくことに。
メインロードからはずれ、近道だということでローカルな道を進むアミッシー。
この時マサは、こんな何もないところに連れていかれて何かあったら・・・とまだ少し疑っていたらしい。
アミッシーのおかげで日没時間前にビーチにつくが、残念ながらこの日は曇っていて夕日は見れなかった。
そんな私達をアミッシーは別の場所へ案内してくれた。
ビーチに並ぶ高級ホテルだ!
ここは、アミッシーが昔働いていた場所らしい。
アミッシーは元々は塗装業だったのだが、ここザンジバルに暮らす人々はそんなに豊かじゃないのでお家の壁を塗る人はほとんどいないらしい。
お客さんのほとんどはゲストハウスやホテル。
だから儲からなくてバーバーショーップに転職したらしい。
本当は今でも塗装屋として働いきたいんだって。
塗装業から床屋ってだいぶジャンルが違うように感じるけど、それも面白いか!
元々手先が器用なのだろう。
アミッシーに案内されなかったら、ここに高級ホテルがあるなんて知ることができなかった。
ほとんどのホテルが洗練されていて外観を見るだけでも楽しめた。
広い庭があり、ヨーロッパのどこかの国のような雰囲気だった。
この時カメラを持っていなかった私達。
翌日、絶対写真に収めたいと思い、カメラ持参で再び訪れちゃいました。
マサはこの時アミッシーとたくさん会話をしてようやく彼は信用できると思えたらしい。
いっぱいいっぱいいろんな話をした。
その夜、別れる際にもアミッシーは
「このあと、俺は帰っちゃうけど何か問題ある?聞きたいことある?夜ご飯食べたあと外に出かけるんだったら危ないから待っていようか?」
とすごく私達のことを気にかけてくれた。
「大丈夫だよ」
と伝えると
「また明日会いに来るね」
と言ってくれた。
そして翌日。
チェックアウトをしてお昼までビーチで時間をつぶしているとアミッシーが遊びにきた!
「昨日は大丈夫だった?何も問題ない?」
とまず最初に私達を心配してくれる。
「全く問題ないよ、最高だよ!13時半位ののダラダラで帰るから13時にアミッシーにお別れ言いたいからお店にいくよ!頑張ってね!!」
と約束して別れる私達。
そして時間になり、宿を出ると・・・
「めちゃくちゃ忙しいよ、今ようやくひと段落♪」
と息を切らしてアミッシーがやってきた!
めちゃくちゃ忙しいのに私達を心配して迎えにきてくれた!!
優しすぎるよ!なんて、なんていい人なの!!
アミッシーのお店にはたくさんの人の髪の毛が落ちていた!
おお!繁盛しているだ!良かった良かった。
アミッシーのお店でスタッフ皆で写真を撮った。
お客さんの席にも座らせてもらった。
何番の髪型にしますか~?なんて冗談も言いあった。
そして時間が来るとアミッシーはダラダラステーションまで送ると言い出した。
「いいよいいよ、申し訳ないから!」
と断るけど
「送りたいから!」
と。
ダラダラステーションに着くとここは最高に快適だよとダラダラの運転手に私たちを助手席に乗せるように指示してくれた。
(トラックの助手席には2人乗ることができるみたい)
そしてハグをする私達。
「何年後、何十年後になってもいいから、また来てくれよな。」
というアミッシーを見ると目がウルウルしている。
それを見て私もウルウル。
ふっとマサをみると・・・
マサもウルウルしている!!
この旅で私は毎回別れの時にはウルウルしているけど、マサがウルウルしたのは初ではないだろうか。
その位アミッシーの優しさに感動したらしい。
国境やムベアで嫌なやつにたくさんあったけど、そのこと全部忘れちゃうくらい、タンザニアの印象が塗り替えられた。
アミッシーという人に出会えただけでタンザニアという国が忘れられない国になった。
ありがとうアミッシー。
ありがとう。ありがとう。
絶対忘れないから!
ヌングイに行く方。
アミッシーのバーバーショップはホテルまでの道中にあります。
頑張っているアミッシーをみかけたら「JANBO!」と声をかけてみてください。
きっと素敵な笑顔で答えてくれるはず☆
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