Angles/The Strokes | Surf’s-Up

Surf’s-Up

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Surf’s-Up The Strokes,5年ぶりのニューアルバム。「5年ぶり」「あのストロークスの」、挙げ句の果てには「ロックンロールの救世主」なんて言葉までが飛び交う様で迎えられた新作であるが、かなり評価のlほうは分かれているようだ。

 まずMachu Picchuのオリエンタルなイントロに度肝を抜かれる。あれ、ロックンロールは?とかなり不安な気持ちになるが、徐々に熱を帯びながら上り詰めていくグルーヴがたまらない。

続くUnder Cover Of Darknessは、ギターリフのかっこよさが際だっている。取り立てて革新的なアイディアはないが、微妙な音の外し方がめちゃくちゃかっこいい。センスの良さというか、ストロークスの真骨頂がここに現れていると言っても過言ではない。

 全体的に80’sの香りを感じるTwo Kinds Of Happiness、Radioheadに対する彼らの回答のようなYou're So Right、大胆に「打ち込みサウンドを導入したGamesなどサウンドのバラエティの豊かさでは格段に広がった。それでいて、どの曲も無理がないというか、自然体で取り組んでいるような感がある。メロディーも派手さはないけど、じんわりと広がっていくような味わいがある。作り上げたというよりは、最初からそこにあったような、そんな佇まいを感じる楽曲達だ。

そして、このアルバムでのギターサウンドの冴えは半端ではない。何をやっても必然と思えるくらい、ジャストな響きを持っている。

ロックンロールのイノベイターとして彼らを見ている人にとっては、どうしても物足りないところがあるのはわかる。しかし、そういった視点はとうに捨てるべきではないだろうか?

彼らは単に、粋にロックンロールを「着こなす」バンドなのだ。そして今作でも、誰にもまねのできないやり方で最高にかっこよく着こなしているのだ。センスといってしまえば簡単だけど、どんなことをしてもファットにならずタイトでスタイリッシュに鳴らすことができるのは、ストロークスだけだろう。バンドの凄みが十二分に感じられる良いアルバムだと思う。

ベストトラックは前述のUnder Cover Of Darknessとシンプルなギターとシンセ、ダークなメロディーラインが絶妙に絡み合った、ラストを飾るLife Is Simple In The Moonlight。

★★★★☆(19/07/11)