Gorilla Manor/Local Natives | Surf’s-Up

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ロサンジェルスを拠点に活動している、Local Nativesの1st。ちなみにアルバムタイトルのGorilla Manorとはオレンジ・カウンティで共同生活をしていた家の名前。ロサンゼルスのスタジオで自費制作されたこのアルバム、すでに昨年アメリカでは大きな反響を呼び、今年はフジロックにも参戦。残念ながらこの時自分はよく知らないバンドで、見逃してしまった。


 高揚感溢れるメロディーラインに、トライバル・ビート、美しいコーラスワーク。この3点がこのアルバムの特徴。そのようにはっきりとした特徴があるにもかかわらず、予想以上に振れ幅の大きいサウンドを奏でている。


 メランコリックなギターリフと太古的なグルーヴが幽玄性を感じさせるWide Eyesから始まり、タイトでダンサブルなロックチューンSun Hands、コーラスワークが冴えを見せる個人的ベストトラックWorld News,ポスト・パンクの薫りを漂わせるCamera Talk,流麗なストリングスと力強いビートが見事に絡み合っていくWho Knows Who Cares・・・他にも聴き所は満載。Talking HeadsのWarning Signをカバーしているが、原曲のニューウェーヴ・テイストを自分たちのフィルターで力強く勇壮なものへと仕立て上げるセンスもなかなかのもの。


 多様で変化自在なサウンドを支えているのはリズムだろう。どの楽曲も強烈な推進力を持っているのはビートで、グルーヴ感を大事にしつつ繊細にメロディーが作られているようなふしが感じられる。また、音楽的素養の深さも感じられる。例えばアクロン・ファミリーのように個性的なスタイルをとりながらも、どこかスタンダードのような暖かみがある。今作ではそこが前衛的な部分と上手くバランスが取れているように見える。今後は更にそのバランスをきわどくしていくことができれば、大化けしそうな感がある。今のスタイルでも十分魅力的だが。


 デビュー作、しかも自費制作ということがウソなんじゃないかというくらい完成度は高い。いわゆるブルックリン系が好きな人なら、間違いなくツボな音。

おすすめ度★★★★☆(18/09/10)