Twisted Wheel/Twisted wheel | Surf’s-Up

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

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 マンチェスター出身の3人組、Twisted wheelの1st。かのリアムが「ザ・ジャムかダムドみてぇだぜ」と最大級の賛辞でかわいがっているバンド。そして、あのラッド親父ポール・ウェラーのお墨付きもしっかりもらっている。昨年デビューを果たしたらしいが、その後イアン・ブラウン、ザ・コーラル、カサビアン、ザ・ビュー、ハッピー・マンデイズらとツアーを回ったらしい、全くどこまでもマンチェな奴らなのである。


 記念すべきファーストのプロデューサーは、あのデイヴ・サーディー。そしてその内容は、小細工なし、直球のみ、ほとんどの曲が2,3分台というどシンプルなガレージ・ロックンロール。60S'のブリティッシュ・ロックンロールのマナーを忠実に守り、テンションの高さ、ギリギリ感など3ピースバンド特有の危うい魅力を十分に醸しだし、爆走する姿は男でも惚れ惚れする。


 スタイリッシュではないし器用さもないけれど、自分たちの出したい音が明確で全くぶれていない。それ故にバンドのワイルドなグルーヴ感がガシガシ伝わってくる。個人的にはジャムやダムドよりも、R&B色の強いステアーズの1stあたりのテイストを強く感じる。まだまだ荒削りであるが、洗練されていない故の強烈さを持ったロックンロール。「天然性の強さ」とでも言おうか、音楽に対する無邪気な愛が天衣無縫のパワーへと昇華されているように見える。

  以上の文からもわかるように、革新性は全くないもののUKのトラディショナルなロックンロールをかっこよく鳴らすバンドとして今後もっと認知されてほしいと思う。というよりは、「そもそもガレージってこんな音なんじゃないの?」と胸を張って言えるくらい、爽快なロックンロールである。


 好きなものを、好きなようにやる。こんなシンプルなことの持つ意味を改めて考えてしまうのは、あまりにもそれができない人たちが多いからだ。もちろん自分も含めて。なぜできないのか?このアルバムに、その答えがあるわけではない。しかしながら、僕の場合このアルバムを聴いている間だけは、そんなもやもやはどこかへ吹き飛ばすことができる。


 おすすめ度★★★★☆(31/07/09)

'Lucy The Castle'