The Horrorsの2nd。今までは「ガレージ・ゴス」というともすれば、ビジュアル的な感じで見られてしまいそうな少々安い括りを受けていたわけだが、今作では大飛躍を遂げている。
聴けば一目瞭然なのだが、Joy DivisionやTelevisionを思わせるようなニュウェーヴ色が格段に強まっている。仄暗い空間に浮かび上がる情念的なサウンド。それがめちゃめちゃかっこいい。
オープニングのMirror's Imageは静かなイントロから、徐々に高揚していき、不協和音と咆吼するギターを伴いながら沸点へとたどり着くその過程が素晴らしく美しいナンバー。2曲目Three Decadesはマイブラっぽいウォール・オブ・ギターノイズと吐き出されるようなヴォーカルが特徴的でガレージとシューゲイザーの融合みたいなサウンド。3曲目Who Can Sayも地を這うようなギターとベースを、ドラマチックなシンセ音が切り裂いていく叙情性を秘めたナンバー。
と、最初から聞き所満載で耳が離せない。全体的に話すと、まず1曲1曲のクオリティーが非常に高い。全曲シングルカットできそうなほど、キラーチューンの連続である。特にギターとシンセのフレーズが持つ破壊力は半端ではない。聴き手の脳に強引に入り込んでくるような力強さがある。プロデューサーにクリス・カニンガムが名を連ねているからというわけではないが、曲のコンセプトと言うべき音像が強烈に目に浮かんでくるのだ。聴き手のイマジネーションに強く働きかける力を持っているロックである。
個人的なハイライトを挙げるのは難しいが、やはりエンディングのSea Within A Sea。無機的に走るシンセ音が漲る緊張感ととてつもない高揚感を与えてくれる。そして刹那的な最後を迎える8分近い大作である。
もうこの手の「後追いニューウェーヴ」が出尽くしたかなと思われるかもしれないが、自分たちの狙いがしっかりしていてぶれなければ、これだけすごいものを作れるのである。大傑作。
おすすめ度★★★★★(04/06/09)