Viva La Vida Or Death And All His Friends | Surf’s-Up

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Coldplayの3年ぶりの新作。ブライアン・イーノをプロデューサーに迎えたことからもわかるように、明らかにこれまでのイメージを払拭し、新たな挑戦をしようというバンドの意気込みが伝わってくる。


ただ、新たな挑戦といっても、劇的に変わったという印象はない。曲作りについても、おそらくそんなには変わっていないと思う。変わったのは、曲に対するアプローチだろう。かつては、叙情的なものをよりエモーショナルに伝えようというところがあったと思う。喜びや悲しみをウェットなセンスでまとめあげる力は美メロバンドが数多登場する中でも、頭千個分くらいぬきんでていた。


しかしながら、その「安牌」を捨ててまで、やりたかったという表現衝動がこのアルバムからひしひしと感じられるし、むしろ素晴らしい形として具現化されたのではないだろうか。


まず新しいなと感じるのは、トータルとしては1曲ながら組曲的な展開を見せるものが数曲存在していることだ。この試みが成功しているのかどうか、そこは評価が分かれるところだろうが、個人的には実におもしろいと思うし、とくに「Yes」は秀逸とも言える出来だ。


そして、「Lost!」「Viva La Vida 」といった曲は、以前からのファンでもすんなりと受け入れられそうな曲。オーケストラ風に味付けがされた「Viva La Vida 」は今作のリード・トラックとも言える1曲であり、新たなアンセムとして認知されそう(個人的は「lost!」の方が好きだが)。


全体的な仕上がりで考えると、これまでの3作に引けをとらないクオリティーを持っていると思う。ただ、うまく説明できないけど、聞くときに妙な「むずむず」を覚えるのも事実。見た目はかっこいいけど、新しい服をまだ着こなせていないというか。自分たちとイーノのサウンドのバランスがもう少しとれたらよかったのにな、と思う。U2なんかと比較されないようになったら、本物じゃないかな。


おすすめ度★★★★(07/15/08)


Violet Hill