
Los Campesinos!,スペイン語で「農民」という意味らしいが、このアルバムは、まさにそんな農民がかわいらしい武器を持って、めちゃくちゃに破壊していく「一揆」の様である。
1曲目「Death To Los Campesinos!」を聴けば一目瞭然、彼らの武器とは瑞々しいメロディー、疾走感のあるサウンド。そして、ギターポップの見本市とでもいうように、サウンドの幅も広い。演奏力がないといわれるが、むしろそこをバンドの個性としてうまく昇華できているのは、センスの良さだろう。メンバー構成上のことでもあるが、男女混合でヴォーカルが調子外れに掛け合う感じが、妙にツボにはまる。前半はパワープレイで押しまくり、中盤からは変化を付けてじわじわとメロディーを広げていく。
メロディーは超ポップでありながら、彼らが一貫して表現しているのは、今そこに訪れている「世界の終わり」の風景。何気ないようで、じわじわと蝕まれている僕らの日常を、彼らはまるでノートに書き殴るように歌う。そこでぶちまけられる不満や怒り。しかし、彼らは「何かを変えよう」と主張するわけではない。
かれらがこの「一揆」を通して伝えたいのは「自分なりの武器を持ち、自分が光り輝く瞬間を手に入れよう」ということなんじゃないかと思う。これって、みんなが言うように、やっぱりパンクなんだと思う。
おすすめ度★★★★(4/26/08)
Death To Los Campesinos!