先週オバマ政権による、追加的な金融規制法案が提示されました。
内容は、
①自己勘定取引の制限(リスクの高い商品への投資規制)
②銀行によるヘッジファンドやプライベートエクイティ兼営の禁止
③銀行が巨大化し過ぎることの抑制(預金額の上限設定)
等となっています。
この政策自体に対する評価は今は控えますが、このタイミングでこの発表はどうかと思います。
世界的に徐々にリスク許容度が戻ってきて、経済活動も徐々に最悪期を脱しつつあるなか、明らかに心理的にも実態経済的にも冷や水を浴びせることになります。
政権発足後ちょうど1年目でのこの発表、明らかに世論に迎合することによる「人気取り」にしか見えません。
発足後1年間で、失業率の上昇(雇用促進の遅れ)、中東情勢の悪化、などなどオバマ政権に対する見方が厳しくなるなかでの点数稼ぎと思われます。
この規制、実際に施行されたらかなりインパクト大きいです。①や②は投資銀行業務のなかでも相応な収益を
上げている業務です。これらに付随してくる業務を考えれば、結構な金額になると思います。
「やっちゃダメ」が増えるとそれだけ仕事が減ります。当たり前ですが。その分当然雇用も損なわれますし、また金融業界が生み出す経済効果も減ることになります。
もちろん他の業界全体に金融業界が及ぼしたマイナスの効果を検証する必要はありますが、リスキーな業務は即停止、というのも厳しすぎるでしょう。
イギリスはこれに同調しているようですが、アメリカ・イギリスというのは2大金融国です。自らの国力を落とすようなことをそこまで力強く推進するのは、果たして国益にかなってるのか。今は実を取るべき時だと思うのですが。
良くも悪くも米国依存の景気回復局面ですので、あまり過激な着地にならないように、今は祈るだけです。