古本やで一冊の本を手に取った。
「何用あって月世界へ 山本夏彦名言集」
辛口エッセイで有名な山本夏彦氏はH14に胃ガンのため、87才で亡くなりました。
氏の本を数冊持っています。その辛口には、どっきっとさせられますが、よく考えてみると「なるほどなぁー」と思うことが多かった。短いエッセイのなかで、人がうすうす感じながらも、容易に言葉として出せないことを、表現しているように思えます。
私はそこにカタルシスを感じます。
ちょっと刺激的で、嫌いな人も多いでしょう。
けれども、その皮肉や風刺には、人や社会に対する「関心」があると思っています。
短いものを幾つか書き出してみました。あなたはどのように感じるでしょうか。
「自己の心身を反省して、その欠点を自覚することが、人間としての美徳だといわれているがうそである。すくなくとも人はそれに魅せられない。欠点はあってもそれを卑下せず、むしろ自覚せず傲然たる者にかえって長所を発見する。」
「私たちは何回でも何百回でも同じ言葉にだまされる。」
「昨日までの言葉が今日恥ずかしくならないような、少し敬意のある言葉を自在に操って、皮肉揶揄風刺するのが文明というものではないかと私は心得る。
「思う人に思われず、思わぬ人に思われるのが人の世の常で、この世は「おあいにく様」に満ちているところなのに、この言葉が用いられることが少ないのは遺憾である。」
「私が信用できるかできないかは最も私が知る。私は私を信じない。困れば何をしでかすか分からない存在だと思っている。幸い困らなかっただけである。」
「正邪美醜、その双方を兼ねて初めて人なんだと思うんです。」
「私は人生は些事からなると見ている。些事にしか関心がない。些事を通して大事に至るよりほか、私は大事に至りようを知らないのである。」
「親切というのはむずかしいという自覚を、親切な人は忘れがちである。」
「世の中には自分で経験しなければ会得できないことが山ほどある。親はすでにそれを経験しているから、子を危ぶんで一々さし図したがる。気のきいた子供なら親の言うことなんかきかないからいいが、唯々諾々ときくようだお子供はいつまでも一人前になれない。親がじゃまして子に経験させないからである。」
にほんブログ村
←管理者がとても喜びます、ポッチ!ρ( ̄∇ ̄o)