エセノミストは旅が好きでした。

学生の時、ある時期にいろんな国に行きました。


そのほとんどが、楽しみーワクワク!

と言う気持ちで赴いたものでしたが、ひとつだけ。

ただ一つだけ、もうどうでもいい、何もかもが嫌になって逃亡したことがあります。


家族や、他…

もうどうでもよくなって、とにかく逃げたかったんです。


そして、アジアのとある国。

ちょうどクリスマスでしたから、人々はみんなとても楽しそうで、町は賑やかでした。

私はただ一人。

行くあてもなければ、話す人さえいない。

キリスト教徒の多いその国では、クリスマスは家族と過ごすという習慣があるのに、異国人の私はたった一人。


仕方なく、毎日飲み歩いてました。

そしてバーの女の子と仲良くなりました。


同世代のその子たちは流ちょうに英語を話すわけでもないのですが、その国の人たちから見れば外国かぶれしている!そう批判されていたようでした。

彼女たちの飾り気のない、屈託のない笑顔に癒され、私は毎日そこへ行きました。


そして、いよいよ最終日。

もう日本へ帰る、私がそう言うと。





彼女は意外にも

Congratulations.




そういったのです。

え??なんで、悲しんでくれないの?仲良しになったと思ってたのは私だけ?

私はもう、わからなくなりました。

そんな私に、彼女は



Because, you will meet your families.

とびっきりの笑顔でそう答えたのです。


遠い異国で、なくしかけていたものの大切さを認識したときでした。

水野さんの新刊を見て、そんな気持ちを思い出しました。