今年スタートする主な法律・制度

――改正独占禁止法、下請けいじめなどに課徴金。


2010/01/01, 日経産業新聞, 22ページ, 有, 265文字


 改正独占禁止法が1月1日に施行された。今回の改正の柱は課徴金対象の拡大だ。不当な低価格販売(廉価販売)などで競合企業を市場から排除したり、新規参入を妨げたりする「排除型私的独占」が課徴金の対象に加わった。大企業による下請けいじめや、大規模小売店が仕入れ先のメーカーに無償で応援要員の派遣を要請するといった「優越的地位の乱用」にも課徴金が科せられるようになった。
 違反行為を「自首」すれば課徴金が減免される「リーニエンシー」の対象事業者数を増やした。申告順に3社だったが、5社になった。追加の2社には新たな情報の提供が求められる。



今年スタートする主な法律・制度

――改正育児・介護休業法、育休取得期間、2ヵ月長く


2010/01/01, 日経産業新聞, 22ページ, 有, 260文字


 育児・介護休業法が改正され、その一部が6月30日に施行される。父母ともに育児休業を取得する場合の休業期間を「子どもが1歳になるまで」から「1歳2カ月になるまで」に延びている。母親と父親が交代で育休を取得しやすくするのが目的だ。
 3歳までの子どもがいる従業員に、勤務時間短縮や残業免除などの措置を講じることも義務付ける。子どもが病気の場合も就学前の子どもが1人なら年5日、2人以上であれば年10日の看護休暇が取れるようになる。介護が必要な家族が1人いる場合も年5日、2人以上なら年10日の介護休暇を取得できるようになる。



今年スタートする主な法律・制度

――改正労働基準法、残業時の賃金割増率上げ。


2010/01/01, 日経産業新聞, 22ページ, 有, 268文字


 改正労働基準法が4月1日に施行される。長時間労働の是正が目的で、月60時間を超える残業(時間外労働)に対する賃金の割増率を現行の「25%以上」から「50%以上」に引き上げる。残業時間が60時間以下であっても、45時間を超えた部分については、割増率を25%超にするという努力義務を企業に課す。改正法で追加された割増賃金は、経営側と従業員側との話し合いによって、有給休暇に振り替えることが可能になる。日単位ではなく、時間単位でも有給休暇を消化できるようになる。
 ただ、中小企業に対しては経営状況に配慮して、3年の猶予期間が設けられている。



今年スタートする主な法律・制度

――国際会計基準(IFRS)、海外M&A進めやすく


2010/01/01, 日経産業新聞, 22ページ, 有, 309文字


 国際会計基準(IFRS)とは、国際会計基準審議会(IASB)が作り、現在、110カ国以上が採用する会計ルールのことだ。金融庁は3月中にも日本の上場企業がIFRSを任意適用することを認める方針だ。上場企業へのIFRS義務付けの時期は2015~16年の見通し。会計基準が一本化されれば、国境を越えた企業間の業績比較やM&A(合併・買収)を進めやすくなる。
 IFRSでは、売上高の計上方法が変わるほか、新しい利益の表示方法である「包括利益」を公表しなければならない。初年度の決算書で過去2、3期分の数値もIFRSで開示する必要もある。
【図・写真】国際会計基準関連書籍の売り上げも伸びている(東京都千代田区の丸善丸の内本店)