「人には最後のどんづまりの所でひとつだけ持っている権利がある。
好きな道を選んで、その道の先で死ぬ権利だよ。
なんだかんだと迷ったら、自分の選んだ道の先でくたばりゃいいんだよ」
小説「東天の獅子」(夢枕獏)より
講道館柔道の創世記、破竹の勢いで講道館四天王と呼ばれていた西郷四郎が、
教え子の減ったある古流柔術の師範が見世物小屋で技を見せ木戸銭を取っている姿を見て、
感動する場面。
実際に見る前は落ちぶれた柔術師範の姿を見ていいものかと、
悩んでいた西郷だが、柔術師範の真摯な姿を目にし、己の浅はかさを恥じる。
そんな西郷に対し、柔術師範の知人が優しく投げた台詞が冒頭である。
自分の根っ子は何か?
自分にとって一番大切な価値観は何なのか?
ふだんから確認しておくことは、道を迷わないためにも、
とても大切なのだと思う。
東天の獅子 第4巻 天の巻・嘉納流柔術/夢枕 獏
¥1,890
Amazon.co.jp