政府は、小中学校の全生徒に対し、1人に1台、PCを無償配布することを決めました。
日経新聞:
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52336700Z11C19A1MM0000/
デジタル教科書関連が事業の中心である当社にとっては、大きく関係する決定です。
小中学校の現状は、いわゆるICT環境の整備が遅れているため、一人一台どころか、先生が学校内でWifiを利用することすら難しいという環境があたりまえです。
学校の外では、家でもお店でも、Wifiはどこでも利用できますし、まもなく5Gが登場しようとするところであるのに、どうしてここまで整備が遅れたのかと、いつも不思議に思います。
ひとつには、学校では、未だにスマホの持ち込みが禁止であることがあります。
もうひとつは、視力の低下など、子どもの健康面におけるリスクがあるとされていることです。この議論は、教育業界のあちこちで聞くことができます。
それを聞くときに、私はいつも思うのです。確かにまだ幼い子ども達の健康リスクは問題ですが、しかし、多くのお父さんお母さんは、会社に行けば、パソコンなしには仕事ができない環境にあって、長時間、そのブルーライトや電磁場にさらされながら、仕事をしています。
そっちはどうでもいいの?そう思います。
大人の生活・仕事では、パソコンどころか、スマホを眺める時間はさらに長くなっていて、睡眠時間を除き、ディスプレイを見ない時間のほうが短いという状況です。
様々な健康リスクや実際の被害も明らかになっており、特に睡眠障害の増加は、大きな問題であると思います。
こうした問題の抑止や解決のための議論のなかに、学校でのPCやスマホの利用の話があってしかるべきだと思うのですが、学校でのそれは、何か世間一般の問題とは別に扱われることが多く、とても違和感を感じます。
もちろん、将来ある子どもの健康リスクは大きな問題ですが、お父さんやお母さんにも未来があるわけで、子どもの未来はそれとも連動していますから、同時に考えながら、技術進歩による解決や、法整備による被害の抑止の可能性を探っていくのであれば、議論の意味はあるかと思いますが。
このように、学校では、何事も「外界」とは連動しないことが前提で、話が進みます。
「世間は世間、学校は学校」というわけです。
このような風潮が存在する中で、PCが生徒1人に1台となったとき、既に1人1台以上となっている「外界」でのナレッジが活かされるのかというところが、非常に心配になるところです。
当社のようなIT開発会社では、それこそ、四六時中、パソコンに向かっているわけで、ブルーライトカットの眼鏡を用意したり、スマートウォッチやPCアプリで、座り居っぱなしが1時間を超えたら警告するとか、休憩スペースを用意するとか、観葉植物を増やすとか、会社も従業員も、いろいろと工夫をしており、そのナレッジは蓄積されているはずです。
これを活用しない手はないと思います。
私も使っていますが、ブルーライトカットの眼鏡は必須です。既に生徒にブルーライトカットの眼鏡を配布している学校もありますが、こういった学校はたいがい、何事についても「外界」との隔たりのない学校で、数少ない先進校です。
そうでない学校では、「子どもの健康によくない」という結論で議論は終わりです。子ども達は学校から一歩出れば、スマホ漬けで、これは残念ながら、益々その傾向は強くなるでしょう。しかし、それはだいたい「家庭の問題」で片づけられてしまいます。
会社だって、業務により従業員の健康被害が発生すれば、これは会社の責任ですので対策しますが、退社後の生活のことまで関与はしません。それは当然です。しかし、少なくとも、世間一般で言われる、対策に対する情報を収集し、適用しようとしますので、そうしたナレッジが活用されます。
学校ではそれがないのです。
学校はなにか特別な空間のように扱われており、外界にある知識や経験は、容易に持ち込まれることがありません。
おそらく、PCの選定や運用は、自治体の判断に委ねられるのだと思いますが、ぜひ、外界のナレッジを活用するためにも、お父さんやお母さん、地域の一般人、企業などの意見をよくよく取り入れてもらいたいところです。もちろん当の子ども達の意見も。
まあ、それは政府・行政としては大変で面倒な話になるわけですし、反対だけを主張する妙な団体、個人が紛れ込んだりすると、それこそ議論どころでなくなってしまう恐れもありますが、そうならないように、ここは頑張ってほしいところです。