子供の頃から、ずっと成績は良かった。
でも、1番じゃない。
先頭集団にはいても、1番じゃない。
子供の頃は、自分の努力が足りないからだ、と思っていた。
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時々書いてきた、「おまえには華がない」と言われた、という話。
華がない、とは、その場でトップではない、すなわち1番ではない、ということ。
でもそれ、いつも、じゃない?いつも2番だよね?
なぜだ?
最後の最後で、譲る、んだ。他の誰かに。
だから2番なんだ。
では、なぜ?
1番になったら、何か怖いことが起こる、と思っているのか?
違う。
2番でなければならない、と思っているんだ。
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時々出てくるキーワード。子供の頃の私に向けられた言葉。「男だったらよかったのに。」
すなわち、女である私は二級品。
一級品である男に、譲らなければならない。
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実は、私は男性に非常に厳しい。
特に自分より上に立つ男性に。上司とか、今回のカウンセリングとか。
それは、自分が二級品である、と思っているから。
一級品なら、しっかりしてほしい。迷わないで、私を導いて。ちゃんとして。
上に立つ人は、そういう私からのプレッシャーをひしひしと感じるらしい(笑)。
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でも、ということは、本音は違うことを言っている。
私は二級品じゃない。女である私は、二級品じゃない。
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化粧をする。
チークを塗る。
ティッシュでぬぐう。
口紅を塗る。
ティッシュでぬぐう。
どんどん色は薄くなる。ぼやける。
消しゴムで雑に消すみたい。
顔の上に、はっきりしたラインはひとつもない。
その行為が、我ながらずっと謎だった。化粧をしたいのか、したくないのか。
最後の最後でおびえたように線を消す。
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本音は違うことを言っている。
私は女で、私は一級品。
化粧をしよう。ちゃんと装って。
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だから今日、化粧をして、ぞくぞくしながら、線を消さなかった。
アホちゃうか、と思って、アホとちゃう、とアクセサリーをした。
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今日のカウンセリングで、私はこう言った。
かなりのところまできたと思う。でも、まだもう一息、ということもわかる。
その最後の扉の向こう側が怖い。
そうしたら、こういわれた。
「でも、扉の向こう側に何があるかなんて、開けてみないとわからない。」