ミールのブログ

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一、はじめに~道義国家回復の道標~

 支那の思想家・老子は『道徳経』第五十四章で次のように、祭祀の重要性を述べています。

 「善く建つる者は

 

 

(くだ)けず、善く

 

 

(いだ)く者は脱せず。子孫

 

 

(しそん)を以て祭祀

 

 

(さいし)して

 

 

()まず。

 德を建て、德で抱へたものは、久遠の存在であつて、宇宙の生命と倶に滅びない。子孫も、先祖の德を思つて、祭祀(まつり)を絶やすことがない。

「之を身に修むれば、その德乃ち眞なり。之を家に修むれば、その德乃ち餘り。之を郷に修むれば、其の德乃ち長たり。之を邦に修むれば、其の德乃ち豐かなり。之を天下に修むれば、其の德すなわち普し」

 

『之』とは無爲(むゐ)卽ち(はから)はざる自然の神啓より流れ出でたる德である。この德は人爲(じんゐ)(すなは)ち僞物の德ではないから、身に修むれば、その德は眞であり、一家で行へば、その餘德(よとく)九族を潤し、これを一郷一村に行へば、よく長たるを得、一國にこれを行へば、その德一國を霑し、之を天下に治むれば、全世界の民衆ことごとく、普くその餘德にうるほふのである。(書き下し文・解説は、谷口雅春師『老子を現代に生かす』p175~176)

 

我が国にあてはめれば、家庭で祖霊祭祀を行えば徳は有り余り、各地域で氏神鎮守様・忠魂碑・護国神社の祭祀を行えば徳が永続し、国において宮中祭祀・靖国神社の祭祀を斎行すれば、徳がみちた道義国家となることだと思います。

しかるに、我が国の現状は、このような本来の神国日本の国柄や道理がなおざりにされているのではないかと危惧します。お盆と終戦記念日の時節に際し、改めて靖国神社のあり方や英霊の御心から何を学び、現在に活かすかを考えてみたいと思います。

 

二、隣国の靖国神社批判を排す~特に中共を中心に~

 そもそも世界各国の戦没者の慰霊は、その国の伝統的な宗教に基づいてなされているのは自明のことです。ある国が、文化精神史的違いからその国の慰霊の在り方を替えさせるのは、まさしく内政干渉です。我が国の政府・為政者は、これを国際法的道理でもって説き続ける必要があります。また現行憲法二十条などにみられる所謂「政教分離」原則も、「政治と宗教の完全分離」という無神論的な国家の無宗教化ではなく、国によって多様な政教関係があるという国際常識に立ち返る必要があります。

 現状においては中華人民共和国(以下 中共政府または中共)や韓国の内政干渉が甚だしいですが、ここではアジアの大国・中共に関して先の戦争について若干触れておきます。

そもそも我が国が支那事変(日中戦争)で交戦したのは中華民国政府であり、1949年に成立した中華人民共和国政府ではないことは改めて確認しておかなければならない事実です。

 谷口雅春先生は、次のように指摘なされました。

 

「「中共政府支配の支那大陸」とは一度も日本は戦争したこともないから平和条約をあらためて結ぶ必要もないわけで、中国大陸に中共政府ができていることは、中華民国内の国内の政争にすぎないのである。」(谷口雅春師『占領憲法下の政治批判』所収「世界の中の日本、何を為すべきか」佐藤内閣の中国政策よりp94)

 

しかし、その後、米国と中共との間で国交回復の動きがあるなかで、我が国も呼応して中共との国交を回復し、日中共同声明・日中平和友好条約を締結するに至ります。

現在、中共は、首相の靖国参拝に対する執拗な非難、我が国固有の領土である小笠原諸島や尖閣諸島海域への度重なる領海侵犯、チャイナマネーによる主要な土地・企業の買収を行っています。そして南シナ海のスプラトリー諸島(南沙諸島)・パラセル諸島(西沙諸島)を軍事要塞化してアジア・太平洋の地域覇権を狙い、更には経済力と軍事力を増強して米国に替わって世界覇権に挑戦しています。

つまり、中共は、日中平和友好条約第1条・第2条に明確に違反しているのです(注1)。支那の思想家・孔子は、政治の要諦は「名を正す」と指摘しました。日中平和友好条約は名実があまりにもかけ離れているのです。我が国が「価値観外交」を掲げて「法の支配」を主張するなら、国連憲章を遵守して、日中平和友好条約第5条2項に従って、破棄通告を為すことを選択肢に入れても過言ではない事態とも言えます。

今後は日本・米国・台湾の三国軍事同盟の確立、豪州・印度・英国との同盟形成をも視野に入れた外交をわが国が主体的に展開することが、「米中新冷戦」の国際情勢下でのわが国の戦略だと考えます。その為にも国内的には、占領憲法無効宣言・大日本帝国憲法復原改正を為し、緊迫する国際情勢に対応する体制を整備していく必要があります。

まさに大日本帝国憲法下で、日清・日露の戦役に立ち向かわれた護国の英霊が為されたように、国防の意志を強固にし、防衛力増強の決断と気概が問われているのです。

 

ところで、中共建国の祖・毛沢東は、支那事変(日中戦争)に関して、田中角栄首相の訪中の際に以下のように述べたといわれています。

 

「……われわれは日本に感謝しなければならない。日本が中国を侵略しなければ、われわれには国共合作を取得できず、最後政権取得まで発展もできなかった。……われわれには、あなたたちの助けがあったこそ、今日北京であなたたちと会見することができた」(大紀元評論・謝天奇「日本に感謝していた毛沢東「侵略で共産党が強大に」公開文献で少なくとも6回」)

 

毛沢東は、それ以前にも佐々木更三を始めとする日本社会党の訪中団に対して、日本皇軍に『感謝』する言葉をのべています。

毛沢東の論理を援用すれば、中共建国に寄与した日本皇軍の兵士が祀られているところが靖国神社であり、中共から批判される云われはそもそもありません。現に1985年に所謂「A級戦犯合祀」を理由に、中曽根康弘首相の靖国参拝を中共が批判するまでは、首相の靖国参拝を批判したことはありませんでした。

もし仮に、我が国に支那事変の責任があるとすれば、今日、チベット・ウイグル・南モンゴル・満州など諸民族の自由と民族自決権を阻害する中共の建国を結果として幇助した責任であり、これに向き合うなら、ソ連崩壊のように中共解体を促すことが、先の大戦で「大東亜共栄圏」を掲げて戦い散華された護国の英霊の御心に適うことにもなりましょう(注2)。

いわれなき隣国からの非難には、相互主義の観点から理非曲直を糺して、堂々と靖國神社に参拝する気概を持ち、護国の英霊に国難を乗り超えることを誓う宰相・為政者の出現が今こそ求められています。

 

三、靖国神社国家護持と天皇陛下の御親拝への道

 麻生太郎副総理は、以前『靖国にいやさかあれ』という論稿を発表され、政治化された靖国から静かな祈りの場を取り戻すために、宗教法人「靖国神社」を任意解散して、特別立法に基づいた「国立追悼施設靖国社(招魂社)」とする公益法人化を私案として提示されたことがありました。

 少子高齢社会の進行と靖国神社を支えるご遺族の方が年々少なくなっていること、特に国家の為に散華された方を、どのようなあり方で国家が祀るのかという「靖国の公共性」を担保するためにも、いずれ靖国神社国家護持という問題に正面から取り組まねばならないときが来ると思われます。

ただそれには時間がかかります。

かつて靖国神社国家護持法案が廃案になったときに、谷口雅春先生は、日本国憲法の無効宣言が成立するまでは、国家が奉斎団体なる代わりに、現行憲法下でも「信教の自由」の観点から天皇陛下のご親祭は可能であると、次のように述べられました。

 

「現憲法下ではその二十条により靖国神社の国家祭祀には抵抗が多いから、同条の信教の自由に基き天皇陛下が御自身の御意志にて靖国の神霊を祭祀するのは違憲ではない。そして、その費用は天皇の皇室費(御生活費)の中から支出すればよいのであって、それは国会で皇室費を増額すれば事足りるのだから、これは頗る簡単なことなのである(中略)信教は自由であるから靖国神社が宗教法人そのままで天皇陛下が御親祭あらせられても一向差支えはないと私は思っている。そしてその費用は、吾々が先祖の霊を祭る仏壇を購入し維持するのに、自分の家計から支出するのと同じように皇室費の中から天皇ご自身の費用として支出することにすればよい訳である」(谷口雅春師『私の日本憲法論』所収「靖国神社の国家祭祀ついて」p225~p226)

 

戦後、中共の靖国批判以前には、昭和天皇の行幸が八回、皇太子殿下(現上皇陛下)の行啓が四回なされています。最終的には、天皇陛下の御親拝・勅祭の環境を整えていくことが神国日本の為政者・臣民(国民)の務めであろうかと思います。

 

四、おわりに~靖国神社創建の精神に立ち返る~

 明治大帝の思し召しのごとく、「大皇國をば安國と知食す事ぞと思食すが故に、靖國神社と改め稱へ、別格官幣社と定め奉りて、(謹略)今より後彌遠永に怠ることなく祭り給はむ」(『招魂社を靖國神社と改稱し給へる御祭文』)ためにも天皇の祭祀大権を回復して、内政干渉を毅然として跳ね除ける独立自尊の精神を国家として取り戻す。そのことが靖国神社・護国神社に祀られる護国の英霊の御心に適うことだと思います。

(注1)日中平和友好条約の条文は以下の通り。

 

第一条

1   両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。
2 両締約国は、前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。



第二条

 両締約国は、そのいずれも、アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。

第三条

 両締約国は、善隣友好の精神に基づき、かつ、平等及び互恵並びに内政に対する相互不干渉の原則に従い、両国間の経済関係及び文化関係の一層の発展並びに両国民の交流の促進のために努力する。

第四条

 この条約は、第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものではない。

第五条
 

1   この条約は、批准されるものとし、東京で行われる批准書の交換の日に効力を生ずる。この条約は、十年間効力を有するものとし、その後は、2の規定に定めるところによつて終了するまで効力を存続する。
2 いずれの一方の締約国も、一年前に他方の締約国に対して文書による予告を与えることにより、最初の十年の期間の満了の際またはその後いつでもこの条約を終了させることができる。

 

(注2)関岡英之『帝国陸軍  知られざる地政学戦略ー見果てぬ「防共回廊」』 参照。関岡氏よると「防共回廊」構想とは、「旧帝国陸軍が極秘に推進していた地政学戦略の一環であり、モンゴル。ウイグルの独立を支援して反共親日国家群を樹立し、ソ連の南下を防ぎ、中国共産党との連携を遮断し、東アジアの赤化を阻止するという壮大な構想」のことであり、中共における民族問題,、ジェノサイドが問題視される今日改めて見直すべき構想であろうと思われます。

 

【参考文献】

・葦津珍彦著 阪本是丸注『新版 国家神道とは何だったのか』神社新報社

・麻生太郎オフィシャルサイト「靖国にいやさかあれ(新聞投稿)」http://www.aso-taro.jp/lecture/talk/060811.html

・大原康男編著『「靖国神社」への呪縛を解く』小学館文庫

・江藤淳 小堀桂一郎編『新版靖國論集』近代出版社

・杉本延博『御歴代天皇の詔勅謹解』展転社

・関岡英之『帝国陸軍  知られざる地政学戦略ー見果てぬ「防共回廊」』祥伝社

・谷口雅春『老子を現代に生かす』光明思想普及會

・谷口雅春『占領憲法下の政治批判』日本教文社

・谷口雅春『私の日本憲法論』日本教文社                                                                       

・中川八洋『国民の憲法改正』ビジネス社

・中川八洋『亡国の「東アジア共同体』』北星堂

・中川八洋ゼミ講義「日中平和条約の破棄を習近平に通告せよ──尖閣だけでなく、九州まで中共に献上する“空前絶後の売国奴”安倍晋三の底なし狂気」(https://nakagawayatsuhiro.com/?p=1059

・宮澤佳廣『靖国神社が消える日』小学館

・南出喜久治『占領憲法の正體』国書刊行会

・大紀元評論・謝天奇「日本に感謝していた毛沢東「侵略で共産党が強大に」公開文献で少なくとも6回」(https://www.epochtimes.jp/2017/01/26668-p.html)

(ときみつる會機関誌「心のかけはし 令和3年7-8月号」一部増補・改定)