U字溝かき出しの合間に、小さな日陰で、
わたしは、お母さんと話をした。
気丈にお話してくれたが、ご自宅も1.5mの津波被害。
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あの時はねぇ、団地の方で「津波だー!」って叫び声がしてね。
おじいちゃん、おばあちゃんと一緒にうちの2階に逃げたのね。
知らない人が流されてきて、うちの玄関に入ってきて
2階に上がろうとするんだけど、
うまく上がってこられなくてね。(水深30cmで大人の男性が自由に歩けなくなるそうだ)
私たちも手を伸ばしたけど、怖いから助けにはいかれないでしょう。
そんなでねぇ。。
外見たらね、この木におばあちゃんとお嫁さんかしらね。
必死につかまっているのよ。
ふたりのもう すぐそこ(足元)まで波が来てね。。
私たち何もできなくてね。
この二人は助かったんだわ。
次の日はね。
なんていうかねぇ。
この公園のフェンスに、女の子が一人、あっちの畑の隅に二人。
そんなでねぇ。。
この辺で7人、見つかったんだわ。
亡くなった人をあんなふうに見たことなんてなかったから。。。
私たちの作業が不思議だったのか、人見知りせず近寄ってきた子供たち。
公園でなくなったのは彼らの友人かもしれない。
無邪気にあそぶ彼らにも、自宅を失った者がいる。
でもねぇ、若い人みなさん来てくださって!
ずいぶんきれいになりましたー。
おかげさまでねぇ。
きれいになって。。。
皆さんお仕事してらっしゃるんでしょう?
日曜は休みたいですのに、こんな遠くへねぇ。申し訳ないですねぇ。。
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私はこれ以上話しを聞くことはできなかった。
家の前の公園で、女の子の遺体が見つかって、その公園で、近所の子供たちがまた遊ぶなんて、
私の今までの現実にはないことだ。
子供のいる人たち、ちょっと想像してみてくれる?
近所の公園のフェンスに、女の子の水死体。
自分の子供を遊ばせられる?
そういう環境だってこと。
そういう経験をした人たちだってこと。
奥に見える団地の多くの人が避難し、翌日遺体も見つかった公園。
トイレがむき出しなのはもともとあった壁が流されたから。
その人たちが、めっちゃちょっぴりのsueらの働きに感謝の気持ちや言葉をくれること。
何もしてないよ、何もできてないよって思う。
めちゃちょっぴりだよ。
お母さんのほうが、何倍もがんばって、何倍も大変で何倍も強いよって。
来年の夏に遊びに来るようにって行ってくれた。
家の前で一緒にご飯食べましょうって。
お店も再開するから(手作りの店だそうだ。今は何も残っていない。)
都会のセンスでアドバイスもしてね。
と。
そうだね。
そのころまで、私たちできるだけ手伝うから、体に気をつけて、元気でいてね。
みんなで、一緒に、がんばろうね。