彼の名前は「ナイーブ刑事」。
捜査課のボスがそう呼び始めた。
「おい、ナイーブ、お前の誕生日過ぎちゃったな。
気がつかなくて悪かった」
「いいんですよ、別に」

誕生日の日、「ナイーブ」刑事がしたこと。
それは「鍵屋」にいったこと。

なぜ「鍵屋」?

それは「この世にひとつしかない鍵」をつくってもらいに行ったのだ。
つまり鍵屋のおじさんに「このギザギザのところを適当に切ってもらうことできませんかね? つまりどこの鍵穴にもあわないように、、、」とたずねた。
「そんな注文はじめてだな。変わっているね、兄ちゃん」
「いや、どこの鍵穴にもあわない鍵って素敵だな、と思って」
「そうか。ほらできた」

すぐにどこにも合わない鍵は完成した。
それが自分への誕生日プレゼント。

「ナイーブ刑事」は今日もその鍵を仕事前に見ようと思ってポケットから財布をとりだした。
財布の小銭入れに鍵はあるはずだ。

しかしそこには鍵がなかった。。。。
どうやらその鍵を落としたらしい。
「ナイーブ刑事」はため息を深くついた。

「俺って、、、だめだなあ」

今頃、どこの鍵穴にもあわない鍵はどこかの路上に落ちているんだろう。
誰かに拾われているか、それとも雑踏に踏まれているか。

それこそが自分の「心の鍵」のような気がしてきた。


心を開く鍵よ、どこへ???


彼の名前は「ナイーブ」刑事。