0411 なにかもちがってますか 鬼頭莫宏 | あなたの隣のマンガさん。(Ver.5)

0411 なにかもちがってますか 鬼頭莫宏

☆☆☆
何気ない毎日を送っていた日比野光(ひびのみつる)は
転校生・一社高蔵(いっしゃこうぞう)との出会いにより
特殊な能力を開花させる
”世の間違いを正すため”と
力の行使先に選んだ行為は
「車の運転しながら
携帯電話を使っているやつを殺す」こと・・・

なにかもちがってますか(1) (アフタヌーンKC)/鬼頭 莫宏

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青春自転車漫画「のりりん」の評で書きましたが
「のりりん」を読んでいて感じた
冷や冷やの思いは
どうやら杞憂に終わったみたいです
その代わりといってはなんですが
”黒”鬼頭はここに結実していたようです

平凡な街に住む
平凡な少年の日常が
出会いによって変えられる話
といいますと
ハーレム型超能力バトル
”平凡なボクがセカイを救う”的な
中学二年生あたりの
微妙なお年頃に抱きがちな
異能の力や存在への妄想
いわゆる厨二病(ちゅうにびょう)をこじらせたマンガさんを
想像してしまいますが
このマンガさん
といいますか作者さんの作風は
もう一つの厨二病です
”ロジカルもしもBOX”
あるいは
”ボクの考えるセカイ統治の仕組み”

”もしもこの現実世界に
一つだけ変更を加えたならば
この世界はこの様に変革する
あるいは変革できる”

ありきたりで
誰もが一度は抱く妄想を
実に丁寧に描いています
いわゆる”厨二病”というテイストです
コレ、とても扱いが難しいんですよ
悪く扱うと、すぐにクサくなっちゃう
子供っぽくなるし、飽きも早くなる
どうやってこの作者さんはそれを回避しているのか
地に足のついた丁寧な描写と
現実は現実として冷静に、といいますか
冷徹に見つめる視点のおかげです
(言うのは簡単ですが・・・)
この作者さん
全く自己陶酔とは無縁です
これが大切なところだと思います
他の多くの作者さんたちは
この厨二病テイストで
自らの作品さんをゴテゴテと装飾しちゃうのに対し
ホント、全くもって淡白です
そっけない
これまでのマンガさんにも
このマンガさんにも
人の死についての描写が頻繁にでてきますが
ゴテゴテと過剰に語りません
それでありながら人の死が
”重いものである”
あるいは ”軽いものである”ということを
”重く”伝えてきます
数多の厨二病作者さんとの一番の違いが
ここにあると思います

読者の一番の関心ごと
”かっこいい”小道具なんかどうでもいいんです
”かっこいい”物語を見せてください
このマンガさん
”かっこいい”物語の予感がします
注目‼


追記
はじめにこのタイトルをみて
糸井重里さんの
「いいまつがい」のオマージュと思いきや
”ま”と”も”を入れ替える
まともを変える
常識を変革する! という意味ですよね?


更に追記
主人公の能力が
”入れ替える能力”と思いきや実は・・・
ってことで
”なにもかも ちがってますか”
の一つ目の”も”を抜き取ったんですよね?


更に更に追記
こういう妄想を楽しめるのが
ロジカルに筋を組み立てている
鬼頭漫画の良さのひとつですね
(投げっぱなしの伏線や
ただ単に出してみただけとかがない)



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