0411 フロントミッションドッグライフ&ドッグスタイル C.H.LINE | あなたの隣のマンガさん。(Ver.5)

0411 フロントミッションドッグライフ&ドッグスタイル C.H.LINE

★★☆
およそ常人の想像をはるかに超える
戦場の現実ーーー
瓦礫の山は知っている
戦い散った者達の
魂の咆哮をーーー
太田垣康男が全霊を掛けて挑む
「FRONT MISSION」の新たな世界
瓦礫の下にーーー
真実はある

FRONT MISSION DOG LIFE & DOG STYLE 1 (ヤングガンガンコミ.../太田垣 康男

¥530
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中国漁船の領海侵犯
北朝鮮によるヨンピョン島への砲撃
日米合同演習のロシア機による妨害
世界情勢がきな臭い昨今
日本で流行っているのは
戦場カメラマン・・・
というのはあまり関係ありませんが
今回は
このマンガさんを取り上げます

とにかく熱いです
泥臭く汗臭い
非常に暑苦しいです
しかしこれがいいんですねェ
太田垣マンガの醍醐味です
「一平」という警察官モノ
「ムーンライトマイル」という宇宙SF
どちらも冷徹な「現実」という壁に
青臭くも挑んでゆく
ときに敗れ
ときに打ち勝つ
熱い男達の物語です
今回作者さんが選んだ舞台
「戦場」
これが熱くならないわけがない

このマンガさん
基本的にオムニバスです
戦場の中に生きる人々に
容赦なく降りかかる無慈悲な運命を
これでもかと描写していきます
グロですが
スプラッタ的なグロよりも
生々しい人々のサガがグロテスクです
しかしこれこそが
このマンガさんの美点なんですよ
命について
極限の人間ドラマを描き出すならば
このグロテスクが欠かせなく思います
儚いから尊い
脆いから愛おしい
そういった気持ちを
否応なく喚起します

例えば初めの一編
突然戦地となった現場に居合わせる
平和な国出身のジャーナリストの物語
カメラの向こうに広がる凄惨な現実
確かに酷い現実がありますが
そこで行われているものに対して
湧き上がってくる怒りや悲しみを
外に伝えるべく表現するという
ジャーナリスティックな観点よりも
レンズの向こうの現実が
レンズのこちら側に訪れること
自分の身に降りかかることに恐怖する
当事者としての自分
これまで第三者として
外から眺め切り取ってきた現実に
今度は切り取られる恐怖
もうそこに
ジャーナリストという他人は
いないわけです

物語の中では
三人のジャーナリストが出てきます
一人はただの被災者となった・・・
一人は沸き起こる恐怖心を
好奇心にすり替えて紛らわせた・・・
一人はカメラになりきることで
自らを輪の外に置いた・・・
正気の対応ってなんなんでしょうね
正気で生き残る
狂気で生き残る
正気を保って死ぬ
狂気に落ちて死ぬ
正気と狂気の差はなんなんでしょうね

命とは
平和とは
人間とは
そういったことに
思いを馳せてしまう
深くてグロな
マンガさんです


追記 渡辺陽一さんもきっと
癒し系じゃすまされない
壮絶な体験をくぐってきたに
違いありません
そういえばこの間のインタビューで
一人で夜
布団の中で泣いていることがある
なんていっていました
やはり当事者でもあるわけですね



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