1/5 タイトル未定「青春群像」発売記念イベント@汐留 | もうね。なにがなんやら

1/5 タイトル未定「青春群像」発売記念イベント@汐留

今回は2024年1月5日に行われたタイトル未定「青春群像」発売記念イベント@汐留シオサイト地下歩道についてレポートしていきたいと思います。



○イベント概要

タイトル未定は2020年4月に結成されたアイドルグループです。北海道札幌市を拠点に活動しています。ただ東京でもイベントを開催されたり対バンに参加されたりしているので、北海道に行かないと見れないということはありません。現在メンバー4人で活動しており、埼玉出身の阿部葉菜ちゃん以外は全員北海道出身となっています。作品としては2023年にシングルを2枚同時発売、アルバムを1枚リリースされており、今回はこのアルバムのリリース記念イベントとなっております。

 

会場となったのは汐留シオサイト地下歩道。以前はタワレコミニがあり、リリース記念イベントがよく開催されていたのですが閉店、イベントが開催されることがなくなってしまったのですが、2023年あたりから多くイベントが開催されるようになってきました。開催された1/5は金曜日。この日が仕事始めという方も多かったはず。イベント開始は19時からと仕事帰りにも参加しやすい時間となっていました。そのためお客さんの数もかなり多く、ざっと数えた限りで200人弱といった感じでした。私は開始ぎりぎりに現場へ到着したため注意事項の告知を聞けなかったのですが、コールは特に制限されていないようで、また写真撮影も可となっていました。ジャンプ等は禁止されていたのか不明ですが、曲調からして飛んで跳ねてというものではないので、激しくジャンプをするような人は皆無でした。

○ミニライブ

ミニライブは予定時刻通りスタート。ピアノソロから始まるオーバーチュアにのって4人が登場、ミニライブがスタートします。衣装は上は白の半そで、下は青のロングスカート、汐留シオサイトは地下歩道なので屋根はあるものの壁がなく、かなり寒いのですが、この出で立ちでもイベント中のMCでメンバーは「東京は雪がなく、あたたかい」と言っていたのでさすがだなと思いました。特典会では動きがあまりないので7分袖のヒートテックを着用されていましたが、それだけで耐えられちゃうのは凄いなと思いました。それではまずセットリストから。

 

1/5 タイトル未定「青春群像」発売記念イベント

@汐留シオサイト地下歩道

01.鼓動

02.踏切

03.主題歌

04.溺れる

MC

05.青春群像

 

終了は19:28でしたので約30分のミニライブでした。ミニライブ終了後は無料のハイタッチ会があり、その後に特典会が行われました。セットリストは5曲の構成、途中MCは1回ありましたが4曲目と5曲目の間にあり少し変則的ですね。

 

1曲目は「鼓動」、AメロからBメロまでファンからのクラップが入り、盛り上がる曲ですね。サビでは分かりやすい振りがあり会場に詰めかけた多くの方が振りコピされている様子を見ると、たまたま通りがかったからという人は少なく、多くが固定のファンな感じがしました。ただこのクラップが大きすぎて曲の前半部分は何を歌っているかほとんど聞き取れませんでした。仮に有料のライブでこれだったら次に行くことはないかなと思います。今回は公共施設に隣接した場所でのイベントだったため音量を絞っていたのかも知れません。もう一つの要因としては、メンバーがあまり声を張って歌わないということがあるかと思います。その分、耳あたりのやさしいふわっとした雰囲気があります。これが曲の世界観、グループのコンセプトに合っていますね。


タイトル未定のコンセプトは何か。公式サイトには「何者かになろうとしなくていい。 何者でもない今を大切に。」を掲げられています。ちょっと悪い言葉でまとめてみれば「曖昧模糊」となるでしょうか。楽曲はそのコンセプト通りで、今回聞いた5曲について歌詞を見ても舞台背景ははっきりしていないですし、物語がはっきりしません。ごくごく短い場面を切り取って1曲に引き延ばしている、そんな感じです。非現実な世界観ではないのですが前後の話がないので聞いていて、そうそう分かる分かるとはなり難いかなと思います。はっきり言って曖昧模糊。

 

例えば4曲目「溺れる」は、最初に突然雨に降られる描写があります。そこで主人公は何かに気が付いたのでしょうね。最後にはこんな中途半端な日々には溺れない、負けないと決意します。背景景色としては突拍子のないことではありません。傘を持っていない時に雨に降られることはたまにあります。しかしそこで何か決心することがあるでしょうか。私は無いですね。しかも濡らされたのはTシャツですから、そんなに寒い時期でもないでしょう。生暖かい風が吹いているなら春かも知れませんね。月形半平太よろしく「春雨じゃ濡れて行こう」でも良いわけです。しかも中盤には傘が出てきます。主人公は雨に降られTシャツが濡れてしまい「僕らこんな風に何もできない」そうですが、とりあえず傘をさしましょうよ。これが中島みゆきの「あした」のように、カーラジオが嵐を告げている中、会話もない二人がどしゃぶりの中に突っ込んでいく、何やってるんだろうね、私たち、これって何なのかな、愛かなと迫られれば納得するんですが、「溺れる」はその決意に至るまでが描かれておらず、共感しません。また途中、濡れても良いんだという決意も見えますが、傘も自分で捨てたわけではなく、風にさらわれただけですからね。自発的ではなく、結果「溺れない」「負けない」とありますが、力強さを感じません。

 

でもこれこそがタイトル未定の世界観なのかなと思います。「溺れない」「負けない」と決意したものの明日はどうだかね、って感じ。大体タイトルが「溺れない」ではなく「溺れる」ですからね。なんだかんだ言って、また溺れるんじゃないのと。と考えると、何者かになろうとしない、今はとりあえず、というのはコンセプト通りに思います。これを負けないと力強く歌われたらどうでしょう、やはりふわっとした声で歌われるのがぴったりだと思います。メンバーは可愛いですし、声もきれいなのでアイドルグループの一つとして好きになる人は多いかと思いますが、このコンセプト、世界観にはまるとその人にとってタイトル未定は唯一無二のグループになるかも知れませんね。

 

これはwikipediaからの引用になりますが、グループ名について「まだ定まっていない、足りない、未完成である ということを表現している。20歳前後の将来に対しての、何者にならなくてはいけないという不安になる気持ちの葛藤。また何者にでもなれるという希望を込めてこのグループ名をつけました」とのこと。これらの記述を見ていると「モラトリアム」という言葉が浮かんできます。「モラトリアム」というと学生の特権のように思いますが、実際は私も含め50代ともなると、今さら宇宙飛行士になれるわけもなく、なれると言ったら綺麗な言葉で言えば仏くらいなものなので、日々世間に揉まれながらも人生のモラトリアムを享受していたりします。タイトル未定の世界観は昭和世代に合っているかも知れないなと考えてしまいます。



○まとめ

パフォーマンスから離れて概念的なことを書いてしまいましたが、そういった世界観抜きにしても多くの人に愛されるグループかなと思います。メンバーは皆さん可愛いですし、パフォーマンスも優れています。特に歌唱面はとても安定しています。中でも阿部葉菜ちゃんは声が明瞭で際立っていますね。メンバー全員、音を外すことはないのは勿論、それぞれの一番いい響きの部分を全編通して無理なく出している、そんな印象を受けます。私は音楽のことがさっぱり分からないので歌が上手いかどうかは判別できませんが、色に例えると昨日乾いたばかりのような発色の良さを感じます。歌が上手い人はたくさんいるのでしょうが、この年代特有の活き活きとした感じは出せないのではないかなと思います。またそれを上手くつなぎ合わせ、良さを日出すような曲作りがされているように思います。深い部分は抜きにしても、1~2曲聞いただけでその良さは感じられると思います。

 

気になった方はぜひ札幌へ、というとなかなかハードルが高いのですが、5/20にZepp Diver Cityでワンマンライブが開催予定となっています。まだ聞いたことがないけど気になるということであれば、youtubeなどで聞くことも出来ますが、予備知識なしでふらっと出かけて行っても、特徴ははっきりしていますし、その良さも分かりやすいので楽しめるのではないかなと思います。第一次抽選はスタートしているのでぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。おすすめです。