豚の角煮 こだわってみました | スイスからフランスで夢を

豚の角煮 こだわってみました



ワケあって作ることになった豚の角煮。


昔からたまに作っていましたが、これが一番!
ていうのには未だに出会っていないし、
お店においても食べたことがありません。

そしてネット上には「豚」と入力するだけで、
山のように角煮のレシピが出てきます。

豚の角煮を作ろうと思ったらまず
サイトをみて皆さんこう思いませんか?

肉を焼いてから煮たり、
下茹でしてから煮たり、
結局どのやり方が一番美味しいの?

僕はめちゃめちゃそう思いました!
でなんか心から燃えたぎる情熱が出てきたので
様々なパターンで試してみることにしましたので、
豚の角煮を作ろうと思うかたの
参考になればと思います。

ちなみに僕のこだわってみたのは、調味料の分量
ではなく

作り方と入れる材料です。

味付けの好みは人それぞれ違うので、
美味い感覚は一定ではないです。

甘い人が好きな人もいれば
薄めが好きな人もいると思うので

甘いのが好きな人は砂糖を足す。

薄めの人は塩や砂糖を減らす。

などあくまでベースとして捉えて頂ければ
幸いです。


まず初めに注意事項。


・肉を下茹でしている時は生姜と葱(青い部分)
 などを入れています。
 生姜と葱の一番の役目は肉の臭みを消すと
 いうよりも、風味をよくするという事です。
 そして化学的に解明されているかはわかりませんが
 肉を柔らかくする酵素があるといわれています。

・肉を茹でる時は水から茹でています。
 茹でるお湯は豚肉に対してひたひた
 丁度いいきっちりおさまる鍋を使用
 しています。
 全体的にムラなく火入れする為には
 肉を重ねない方がよいでしょう。
 今回は茹で汁を使うという点で、
 豚肉自体のダシも使用したいので
 必要最低限のお湯で茹でます。

・茹でる時は必ず沸騰させない。
 沸騰させると、肉繊維が硬くなりやすいのと
 柔らかくなったときに対流で崩れやすくなります。
 必ず鍋のふちが沸々しているくらいでとどめます。
 そして鍋の蓋や、あるいはクッキングシートなどで、
 落としぶたをして水分の蒸発を防ぐとともに、
 肉の乾燥を防ぎます。

・そして調味料と共に煮た豚肉は熱いまま
 汁につけて常温で粗熱を取った後に、
 半日から一日冷蔵庫で寝かせます。
 味が一番染み込んでなじむのは、
 冷めている時です。
 この作業をおこたると味がのらない
 角煮になってしまいます。
 寝かせた後に汁と共に再加熱して
 完成になります。


・今回使用した肉は豚バラブロックです。
 写真は皮つきですが、あってもなくても
 かまいません。

$海外 素人 スギ瑞西生活
 



以上の点をふまえて
今回の試してみたパターンはこちら



1、 肉を塩漬けして1日マリネ。
   その肉をお湯で柔らかく串がスッと
   通るくらいまで茹でる。
   その茹で汁に調味料(醤油、砂糖、ニンニク
   生姜、葱)「以下調味料Aとする」
   を入れて軽く煮込む。   

2、 肉を塩漬けして1日マリネ。
   その肉をお湯で柔らかく串がスッと
   通るくらいまで茹でる。
   茹で汁は捨てて、新たなお湯に和風のダシの素
   (勿論通常のダシならもっとよい)を入れて、
   調味料Aを加えて煮込む。

  
  注、肉を塩漬けする意味は、肉自体の旨みを
    アップさせるための技法。
    生ハムやベーコンなどと同じ原理。


3、 そのままの肉を
   その肉をお湯で柔らかく串がスッと
   通るくらいまで茹でる。
   その茹で汁に調味料Aを入れて軽く煮込む。   

4、 そのままの肉を
   その肉をお湯で柔らかく串がスッと
   通るくらいまで茹でる。
   茹で汁は捨てて、新たなお湯に和風のダシの素
   を入れて、調味料Aを加えて煮込む。

5、 肉の脂身面に焼き色を付ける。
   その肉をお湯で柔らかく串がスッと
   通るくらいまで茹でる。
   その茹で汁に調味料Aを入れて軽く煮込む。


6、 肉の脂身面に焼き色を付ける。
   その肉を調味料Aとお湯で柔らかく串がスッと
   通るくらいまで茹でる。
   

7、 そのままの肉を
  お湯で柔らかく串がスッと通るくらいまで茹でる。
  その茹で汁に調味料Aとダシを入れて軽く煮込む。

8、 そのままの肉を
   調味料Aとお湯で柔らかく串がスッと
   通るくらいまで茹でる。

  
以上の8パターンを試してみました。

海外 素人 スギ瑞西生活
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一日寝かせた後に、肉の中まで柔らかくなるまで
温めてから、水を片手に味見してみました。





批評




基準1 肉の味自体がよかったもの

1と2の塩漬けしたものは、塩漬けしたことによって
肉自体の味はよかったモノの、角煮として一般的な
味ではないかと思う。
美味しいけど、角煮というよりは
塩漬け豚バラ肉のやわらか煮、醤油風味
というかんじ。

一番味が良かったのは、4番
一番味が悪かったのは、8番


基準2 ダシ汁の味がよかったもの

1の塩漬けした肉の茹で汁を使用した
ダシは、塩分が追加された為に、少し
味が濃く感じる。

一番味がよかったのは、7番
一番味が悪かったのは、8番

やはり、醤油を入れて煮込む方法は
避けた方がよい。
醤油の風味が消えて、くどさだけが残り、
不味くなる。

 
基準3 肉質、柔らかさについて

1と2の塩漬けしたものについては、
塩の脱水作用によって、肉繊維、脂身共に
しまっている為に、そのまま茹でるより若干の
硬さが生じている。
そして肉に焼き色を付ける場合も、今回は
脂身しかしていないが、
肉の面にもつけてしまうと、熱で焼き固まって
しまうので、その部分がやはり硬くなって
煮込んでも戻りにくいのでしない方がよい。

一番柔らかいのは、4番
一番硬くなったのは、6番

基準2と同様に、醤油を入れて煮込むと
その塩分で硬くなりやすい。
長く煮込めば柔らかくはなるだろうが、
味の面では良くないはずです。





以上の考察を踏まえて
僕が個人的に美味しいと思う角煮のポイント


少し甘めで味がしっかり染み込んでいる。

脂っこくなくて、しつこくない。

箸で切れるくらい柔らかい、トロトロ。

汁もご飯にかけて食べたいくらい美味しい


この理想の角煮を作る


僕の今の時点での作り方を
紹介したいと思います。



1、豚バラ肉ブロックの
  脂身の部分に格子状の切り込みを入れる。
  切り込みを入れることにより、後で焼き色を 
  つけた時に、余分な脂を取り除ける。

2、軽く全面に塩をして10分ほど置く。
  軽く塩をする事により、肉の余分な水分と共に
  臭みが抜けて、旨みが出る。
  しかし一日マリネしないので、硬くはならない。

3、肉の脂身の部分を香ばしくじっくり
  焼き色を付ける。
  この作業により、余分な脂が抜けて、
  さらに旨みが凝縮する。

4、肉とひたひたの水、生姜のスライスと葱の
  青い部分を入れて(少量で良い)
  柔らかくなるまで煮込む。
  水から煮ることで、急激に肉に火が入り
  繊維が締まり硬くなるのを防ぎます。
  竹串やつまようじの、とがってない方で
  スッと通るくらいまで煮込む。
  約3h前後。(肉の質によって多少前後します)
  肉は茹でていると、一度タンパク質が変性して
  硬くなった後に長時間弱火で煮込むことによって、
  硬さの原因の筋繊維を束ねているコラーゲンが
  分解されて、ゼラチン化し徐々に柔らかくなります。
  脂身の部分はゆっくりと脂が抜けて
  プルプルのコラーゲンの部分が残ります。
  茹でている間、浮いてきた灰汁は取り除き、
  落としブタをして弱火で煮込みます。

5、その茹で汁をベースに
  (この豚の茹で汁を使うことによって
   後に入れる和風ダシと相乗効果に
   なります。そして肉の風味も残る
   だから個人的に使った方が美味しいと思う)
   醤油、砂糖、生姜スライス、ニンニクスライス、
   葱の端、そして和風ダシの素を加えます。
  レシピは好みですが、一応のベースとして
  
  豚肉の茹で汁   500cc
  醤油       100cc
  砂糖       100g
  和風だしの素   12~15g
  (顆粒タイプ)    
  生姜スライス   1~2枚
  ニンニクスライス  1片分
  葱の端       5㎝程

    になります。
  これを加えて15分程軽く弱火で煮込みます。
  この作業で、肉とダシを一体化させます。
  塩分が入っているので煮込み過ぎない!

6、粗熱をとって、1日冷蔵庫で寝かせます。
  冷めている時に味が一番染み込みます。
  この作業により味が馴染み更に、
  余計な脂を固めます。

7、一日寝かせた汁の表面には分離した白い脂が、
  浮いているので、取り除きます。
  脂っぽいのが好きな方はそのままでも良いでしょう
  そして汁ごと再加熱します。
  これも弱火で沸騰させないように
  時間をかけて肉の中心部分まで温めます。
  一日冷えている分、熱くなっても全体が
  柔らかく戻るまでに少し時間がかかります。

8、柔らかくなったら肉は完成です。
  美味しいダシをひと手間加えて、ソースにします。
  水溶き片栗粉でとろみをつけます。
  (水溶き片栗粉の基本の分量は1対1です。)
  必ず沸いている液体に入れて下さい。
  そうしないとダマになりやすく、きちんとした
  効果が得られません。
  最後の仕上げにごま油を少々入れて香りをプラス
ソースをかけて

  完成です!!

  
$海外 素人 スギ瑞西生活
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色よくするために青菜を添えました。


これが今の僕の技量でできる範囲の
最高の作り方です。(調味料の分量は別として)

参考にして喜んでいただければ幸いでございます。

味は僕好みです もちろん

ちなみによく入れる酒がこのレシピには入っていませんが
理由は

家になかったから・・

です。
すいません

スイスではなかなか普通の小さいスーパーにないんすよ。

酒を入れた方が酵素の働きで更に柔らかくなるはずです。
水分の1/5程を酒にすると良いでしょう。


後柔らかさだけの点でいうと、肉を蒸した方が
柔らかくなるでしょう。
水蒸気で全体的にムラなく柔らかく火が入るだけでなく
余計な脂分も落ちて、温度管理も容易です。
柔らかくなったら同様に調味すればOKです。


皆さん貴重な時間で
長い角煮話をみて頂いてありがとうございました
m(__)m

今回の件でわかったのは

一回こだわったら、さらにこだわりが出てくること!


深すぎて底がみえねーー


角煮でこれだけ深かったらフランス料理を考えると
リアルに笑えてきます。

楽しすぎる。


ではよい角煮ライフを(ーー゛)


おまけの角煮ムービー
もちながらの撮影でギコチナイ箸使いですが・・・